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温かみを宿した「手づくりの廃校再生」に挑戦したい #廃校再生日記 01

(イントロ)
こんにちは。もともと広告の仕事をしている牧野ですが1年ほど前からがっつりと廃校再生事業 SHIP (SHIBUYA IWAI PARK) に取り組んでいます。1日1校以上が廃校になっているこの日本で廃校(遊休資産)の再生はとても重要なテーマになるはずです。あくまでひとつのケースとして、誰か必要な人に届けばいいなと「 #廃校再生日記 」を(不定期で)書いていけたらと思います。

南房総・岩井海岸にある渋谷区の臨海学園

名称は SHIP = SHIBUYA IWAI PARK です。

東京から車で75分ほど、南房総「岩井海岸」というおだやかで美しい2kmほどの海岸です。そこから防風林を抜け、徒歩3分ほどのところにその廃校はありました。

3年前の夏、ふらりと通りかかったときに見つけて、なんて魅力的な場所だろうかと惹きつけられました。そこは、渋谷区が保有し、渋谷区が運営していた臨海学園でした。なので普通の学校とは違い「宿泊する」ことを目的とした珍しい学校でもあります。

2018年に廃校になり、2023年の1月にスタートしたプロポーザルに参加しDEという会社で賃貸借契約を結ぶことが決まりました。同年7月に運営会社として「南房企画」をつくり、ドタバタの廃校再生事業がスタートしました。

スタートした頃の臨海学園(廃校)

委託ではなく、あくまで賃貸。設備投資も自分たち。クラファンで1000万円集めるも、浄化槽で1600万円がかかっていきなり赤字。

渋谷区から「賃貸」で借りているだけなので、渋谷区の事業ではありません。あくまで我々が民間として、勝手に再生するという状態です。すなわち、設備も含めて我々が投資をするという契約です。

プロポーザルの前に把握できておければよかったものです、浄化槽は老朽化して使えなかったり、雨漏りしているところが多数あったり、設備には大きな投資がかかることが判明します(もちろん、うっすらわかってはいたことなのですが)。

浄化槽を設置しないとトイレが使えません。なんとか古いものを使えないかと試行錯誤したものの、やはりダメでした。水道も開通してみましたが、すぐに水漏れをして水道代だけで10万円の損失がでたりしています。

クラファンをさせてもらって1000万円もの支援をいただいたものの50人層の浄化槽を設置するのに1600万円ほどかかりました。2024年の6月になんとか2つのトイレが使えるようになったのです。(トイレが使えるようになった瞬間の喜びはすごいものでした)

正直に言えば、僕のやっているDEという会社も南房企画もまだまだ小さい会社です。なので資金調達をしない限りは、このような大きな事業を進めることはできません。銀行からの融資などを進めていきたいのですが、実績もなくまだ大きな金額の融資は難しい状況にあります。

まずはとにかく稼働。Do It Ourselves の精神で。

なので、とにかく稼動させるべく、DIYでできるかぎり自分たちの力でやることに挑戦しています(もちろん水道や電気などなど工事が必要なところはプロに頼んでいます)。

コーヒーの文字を書くメンバーの磯村

↓この1年でのBefore Afterをまとめてみました!


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外観は「色を塗る」ことで新しく。(色を塗るのは自分たちでできる)
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天井を剥がし、床を剥がし、一枚板と学校の机椅子を活用
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グリーンをいれることでだいぶ雰囲気が変わりました
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ともとシンボリックだった椰子の木をバーカウンターにしました
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シャワー棟を復旧して温水シャワーと唯一のトイレをここに
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この廊下はもともとよかったのですが、黄色にしてより鮮やかに
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椰子の木テーブルの隣にはピザ釜とファイヤープレイスを
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赤いカフェスタンドでコーヒーやクレープを販売

2024年の夏、なんとかグランドを活用してプレオープン。

いろんな人たちに支えられて、2024年の7月20日にプレオープンという形で、小さなカフェスタンドをつくり、グラウンドを解放して使えるようにしました。目指すのは、誰もが入れる「公園のようなローカル複合施設」です。

正直、まだまだ整っていないことも多いし、準備不足も否めないのですが、それでもなんとかカフェスタンドをオープンして「人が集まれる場所」として一歩を踏み出しました。5年間、廃校で人気がなかった学校に人が集い、命が吹き込まれたような感覚があります。

地元のこどもたちが遊びにきてくれるのはとてもうれしい
椰子の木テーブルは夜がとてもいい感じに。
焚き火しながらBBQしながらピザ釜でピザを焼く


この1年間は岩井地域の人たちと関係性をつくった一年でもあります。地元の子どもたちを招待するハロウィンを開催したり、地元の老人バンド「ボケ防止バンド」の方々が「演奏したい」と来てくれたりと地元の面白いイベントを開催することができました。

ハロウィンでお菓子なげイベント
ヤギ(プー)と仲良くしてくれる微笑ましいこどもたち
平均年齢75歳のボケ防止バンド
50人以上が聞きに来てくれてすごい集客力に驚く

温かい血の通った手作りの廃校再生。公園のようなローカル複合施設をつくりたい。

本当に「まだまだこれから」という状態で、進捗は1割ほどです。来年に向けて、ホテルやレストラン、ビールの醸造所、さまざまなローカル事業者のテナントなどを作っていく予定です。

でもこの一年をかけて、使われていなかった施設にまた血が通い始めたのだ、という瞬間の喜びはきっとずっと忘れることはないだろうと思います。

はっきり言って、めちゃくちゃ前途多難です。融資が受けられなくて頓挫する可能性だってありえます。でもとにかくやりがいに溢れています。岩井海岸とこの廃校のポテンシャルはものすごいものがあります。日々過ごしていて、毎日のように「なんて素敵な場所だろうか」と実感しています。
やりたいことは、ざっくりと書けば、「血の通った廃校再生」です。大きな資本を持たない我々だからこそできる廃校再生、地域創生があるはだと、この1年で確信しています。作り手の性格や、体温を感じる、そんな場所づくりをしていきたいと思います。

大桃さんのSHIPイメージ

大桃さんに描いてもらったこの絵のようなそんな場所です。
すこしでもこれに近づけられるよう、チームみんなで頑張っていきます。


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