著作権Q&A~その他(フリーランス新法と著作権)~
{Q} フリーランス**(個人事業主)のイラストレーターとして、主に企業からのお仕事を請け負っている者です。著作権について、いわゆるフリーランス新法**との関係で注意すべき点はありますか?
**フリーランス新法では、いわゆるフリーランスを「特定受託事業者」と呼んでいます。特定受託事業者(フリーランス)とは、「業務委託の相手方である事業者(個人又は1人法人)で、従業員を使用しないもの」を指す用語です。一般的にフリーランスと呼ばれる方には、「従業員を使用している」又は「消費者を相手に取引をしている」といった方が含まれる場合もありますが、フリーランス新法ではそのような一般的な意味でのフリーランスは、「フリーランス(特定受託事業者)」に該当しません。
**正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。令和6年11月1日より施行されています。
A 業務委託の成果物(あなたの場合にはイラスト)に著作権が発生する場合、特定業務委託事業者(あなたにお仕事を発注した者。発注事業者のこと。)が、当該著作権についての取扱いを一方的に定めるような場合には、フリーランス新法上問題となる場合があります。
特定業務委託事業者(発注事業者)は、給付の目的物(イラストの原画やデータなど)とともに、成果物(イラスト)に関する権利(著作権などの知的財産権)の譲渡やその利用許諾を受けたいなどの場合は、業務委託の際に「給付の内容」の一部として、当該権利の譲渡や利用許諾の範囲を書面等に明確に記載する必要があります。また、この場合には当該権利の譲渡や利用許諾に係る対価を報酬に加える必要があり、当該対価について特定受託事業者(フリーランス)との協議が一切行われることなく、特定業務委託事業者(発注事業者)が一方的に通常支払われる対価より低い額を定めた場合には、「買いたたき」として、フリーランス新法上、問題となるおそれがあります。
さらに、特定業務委託事業者(発注事業者)が、著作権等の知的財産権が特定受託事業者(フリーランス)にあるにもかかわらず、対価を支払わずに成果物(イラスト)の二次利用(著作権法27条・28条参照)を行うことなどによって、特定受託事業者(フリーランス)の利益を不当に害する場合には、「不当な経済上の利益の提供要請」としてフリーランス新法上問題となるおそれがあります。