条文解説【第22条(上演権及び演奏権) ▷ 第2条(定義)第1項第16号 ▷ 第2条(定義)第7項】
著作権法第22条(上演権及び演奏権):
「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。」
著作権法第2条(定義)第1項第16号:
「1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(ⅹⅵ) 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。」
著作権法第2条(定義)第7項:
「7 この法律において、「上演」、「演奏」…には、著作物の上演、演奏…で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏…を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。」(一部省略)
上演権とは、演奏権とは
著作権法第22条は、著作者が上演権及び演奏権を専有する旨を規定したものです。著作者は、公に、すなわち、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として、著作物を上演し、又は演奏する排他独占的な権利を享有します。
ここで「上演」とは、演奏・歌唱以外の方法により著作物を演ずること(2条1項16号)、つまり、著作物を演劇的に演じることを意味します。一方、「演奏」は、歌唱を含めて、著作物を音楽的に演じることを意味します。
「上演」・「演奏」には、いわゆる生(ライブ)で上演・演奏する行為だけでなく、上演・演奏を録音ないし録画したものを再生すること(その再生行為が「公衆送信」又は「上映」の範疇に入るものを除く。)、及び上演ないし演奏を電気通信設備を用いて伝達すること(その伝達行為が「公衆送信」の範疇に入るものを除く。)も含むとされています(2条7項)。例えば、音楽著作物を吹き込んだCDを著作権者に無断で公に再生したり、コンサートホールでの演奏を著作権者に無断でケーブルを通して館内のスピーカーで公衆に伝えることは、いずれも演奏権の侵害となります。
「公に」というのは、著作権法では、「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」という意味で統一して使われています(22条かっこ書参照)。ここで、「公衆」とは、不特定の者又は特定多数の者をいいます(2条5項参照)。この定義から、著作権法上、「特定少数」は「公衆」に該当しないため、家庭内やそれに準ずるごく限られた友人間におけるような「特定少数」に対する上演・演奏には、そもそも上演権・演奏権は及ばないことになります。