著作権Q&A~著作物~
{Q} 「共同著作物」とは何ですか?
A 「共同著作物」とは、「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」をいいます(2条1項12号)。
例えば、複数の者による座談会や会議を思い浮かべてください。そこでの出席者の発言内容の全体は、通常、「共同著作物」であると考えられます。出席者の個々の発言だけを取り上げても、結局のところ、個別的に利用することはできないと評価されるからです。また、例えば、甲の体験談を書籍にして出版しようとする場合に、甲が口述して、乙がその口述に基づき、それを筆記し、文章におこして、原稿を作成していくことがあります。このような場合、乙が単に甲の口述を書き写すだけでなく、文章構成や文体などを考慮しながら、乙なりに口述内容の取捨選択等を行いながら、文章を補充訂正し、そのようにして作成された原稿を甲がさらにチェックして、削除や補充訂正等を行い、最終的な原稿が確定するときは、以上のような甲と乙の創作への寄与は、「分離して個別的に利用することができない」ものと評価され、それゆえに、出来上がった著作物(甲の体験談をもとにした書籍)は、甲及び乙の「共同著作物」に当たると解されます。
「共同著作物」に該当すると、著作権法上、いくつか特別な扱い(64条、65条、51条2項、117条1項参照)がされるため、ある著作物が共同著作物に当たるか否かは、単なる定義上の問題だけにとどまりません。注意してください。
なお、1つの題号の下に書かれた作品であっても、第1章はA氏、第2章はB氏、第3章はC氏の執筆というように、各章を切り離して個別的に利用できるもの(これを「集合著作物」と呼んでいます。ただし、著作権法上の正式な用語ではありません。)は、上述した「共同著作物」ではありません。