
Photo by
ヨハネス・フェルメール / メトロポリタン美術館
{Q} なぜ、実演家には「公表権」が認められていないのですか?/著作権Q&A~著作隣接権~
{Q} なぜ、実演家には「公表権」が認められていないのですか?
A 実演が、公衆への著作物等の伝達行為(公表)を前提としているからです。
著作者は、著作者人格権の1つとして、その著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利(公表権)を有しています(18条1項)。一方、「実演家人格権」として実演家に認められるのは、氏名表示権と同一性保持権のみです。つまり、実演家については、著作者人格権の中の公表権に相当する権利が規定されていません。これは、実演というのは、その性質上、公衆への著作物等の伝達行為(公表)を前提とする(実演家は、その実演を公衆に提供・提示してはじめて人格的又は財産的権利が付与される)ものであるため、そもそも、「実演を公表するのか、しないのかを決定できる」公表権なるものを認める意義がないからです。