{Q}「氏名表示権」とは何ですか?/著作権Q&A~著作者人格権~
{Q039} 「氏名表示権」とは何ですか?
A 氏名表示権とは、著作物の原作品や著作物(複製物)の公表の際に、実名や変名を著作者名として表示する、又は表示しないことを決定する権利のことです。
氏名表示権(19条1項)は、著作者が有する著作者人格権の1つで、「その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利」のことです。「その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示」についても、同様に、原著作物の著作者の氏名表示権が働きます。ここで、「実名」とは、著作者の氏名又は名称を意味し、「変名」とは、著作者の雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるものを意味します(14条参照)。
「氏名表示権」は、著作者が自分の著作物の創作者であることを主張するための権利です。具体的には、自分の著作物の原作品や、その複製物の公表に際し、著作者名を表示するのか、しないのか、表示するとしたら実名を表示するのか変名を表示するのかを決定する権利のことです。
したがって、ある著作物の原作品や、その複製物を公表する際に、その著作物の著作者の実名又は変名を表示しない場合には、その非表示行為は、氏名表示権を侵害することになります。また、他人の著作物をあたかも自分の著作物であるかのように装って公表すれば、そのような盗作(剽窃行為)は、真の著作者名を表示していないのですから氏名表示権の侵害になります(この場合、著作権(著作財産権)の侵害問題も生じます)(注)。
(注) 真の著作者に代えて別人を著作者として表示する場合、刑事罰の対象になることもあります:「著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(121条)