テテマーチ社と和解し、キャッチコピーの類似チェックサービスと、コピーのフリー素材サイト「こぴーや」をつくります。
株式会社コピーライター代表のはせがわてつじです。
テテマーチ株式会社さま(以下、テテマーチさん)の電柱広告が、ぼくが過去に制作した電柱広告と似ていたことについて、テテマーチさんと話したことをお伝えできればと思います。
はせがわサイドから見た経緯
◆ テテマーチさん、電柱広告のツイートをする
◆ はせがわ、発見して以下のツイートをする
◆ テテマーチ社内で、上のはせがわのツイートを共有
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◆ ”はせがわとテテマーチ社員の共通の知人”から、はせがわに話し合いの打診の連絡
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◆ はせがわ、株式会社コピーライター社員、テテマーチ社員3人(うち役員2人)の5名でビデオチャットにて話し合い
【話し合ったこと】
・テテマーチさんから謝罪
・テテマーチさんから経緯説明
・はせがわから、ツイート気づいた時に一報ほしかった旨を伝える
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◆ テテマーチさんから「経緯報告書」が届く
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◆ はせがわから、本件の今後の対応、テテマーチさんの考える理想の流れ(はせがわの動きも含め)を教えていただくよう依頼
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◆ テテマーチさんから「今後の理想」が届く
【今後の理想】
・テテマーチからお詫びをリリース
リファレンスチェックの甘さを認識し、
本件に関するお詫びを社外的にリリース
・和解したことを両者でリリース
・関連ツイートの削除
※ツイートだけ見た方が誤解しないため
・ご連絡をいただいた関係者への結果通達
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◆ テテマーチ社長から直接、お詫びと見解のメールが届く
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◆ テテマーチさんから、リリース文の案が届く
はせがわも、このnoteを作成
はせがわの謝罪
制作者を責めることにつながる可能性のあるツイートをしたことをテテマーチさん、電柱広告の制作者の方々に謝罪します。あくまでぼく個人の考えですが、コピーを書いた人や、クリエイティブディレクションをした人など、個人を責めるのはおかしいと思っています。広告は、制作会社、代理店、クライアント、ときに媒体社も含めたみんなで同意して世に出すものだからです。
(※ただし自分が制作した広告が問題になったら、自分個人が責められるようにします。それも含めて広告の仕事だと思っているからで、自分が関わってない一般的な広告制作物の責任は、関係者平等だと考えてます)
パクリエイティブ問題
まず、パクリ=悪いことだというところで思考停止する人が多いと感じてますが、似たようなコピーを使ったとしても、犯罪をしたわけではありません。ぼくが敏腕弁護士に依頼して訴えたからといっておそらく勝てません。(”白い恋人”と”面白い恋人”みたいな商標などは別問題です)
あくまで制作会社、制作者のマナーとか気持ちの問題だと思っています。今回のコピーを考えた方は「似てるけどこのコピーなら問題ないな」という判断だっただけです。「誰かが書いたようなコピーは書きたくない」とぼくは思っているのですが、これは個々の考えのちがいかもしれません。このパクリ問題は、ハッキリとした基準がないので責めてもしょうがないです。ぼくだって、過去につくったコピーで、どこかのコピーに似ているというのはたくさんあると思います。自分の中でのモノサシとしては、元ネタを考えた人に会ったときに話せないことはしない。気になったら、提案前に事前に確認するようにしています。
テテマーチさんと今後やっていくこと
あたらしいテテマーチの電柱広告をつくります。
テテマーチさんと話し合い、今回の電柱広告をそのまま出しておくのもよくないので、あたらしい電柱広告をつくって差し替えることにしました。まだ企画は考え中です。ちなみにぼくからのお願いで、テテマーチさんから制作費をいただくことはありません。差し替えのキッカケをつくったのはぼくですし、広告に難癖つけて仕事をとる手法を広めるのは望んでいないので。
また、今回の原体験を踏まえ、テテマーチさんと話し合って、下記2つの取り組みをはじめます。
キャッチコピーの類似チェックサービス「コピーチェッカー」をはじめます。
株式会社コピーライターの電柱広告は世の中の99.9%以上の人は知りません。でも、[面白い電柱広告]とか[電柱広告 キャッチコピー]で出てきますし、
YouTubeで[電柱広告]で出てきます。
みんなでいろんな検索をすれば見つかりやすいですし、広告の事例に詳しい人がいれば「あれに似てる」と指摘できます。ぼくは今はあまり見れてませんが、広告賞の受賞コピーやノミネート作品などを見まくっているので、それなりに広告の事例を知っています。コピーに関して言えば、自分よりコピーを知ってる人はいないと言えるくらい、脳内にコピーの図書館を備えているつもりです。コピーオタクの友達もいるので、提案前に「こんなコピーありましたっけ?」と聞くこともあります。
・・・ということで、キャッチコピーの類似チェックサービス「コピーチェッカー」をはじめます。
試験段階の運用にはなりますが、copywritercojp@gmail.com に件名「コピーチェッカー」で送ってください。メールをいただいたらNDAを結び、コピーのチェックに入らせていただきます。ぼく以外の複数のメンバー、広告賞も多数受賞して取り組んでいる方など(全員NDA締結済)もチェックします。「宣伝会議賞の1次通過でこういうコピーがあった」など、ググるだけではチェックできない、類似コピーも見つけられるかもしれません。コピーだけでなく、企画のチェックを受けつける「企画チェッカー」もできます。メールアドレスはとりあえずのものですが、ゆくゆくはAIなどを使って事例チェックができるサイトにできたらなと考えています。
キャッチコピーのフリー素材サイト「こぴーや」をつくります。
コピーに著作権はないので、いっそコピーをフリー素材として配布したらおもしろいのかなと思いました。日本の元祖コピーライターといわれる平賀源内は、「土用の丑の日」というコピーが今も毎年使われていることを、たぶん喜んでいるのではないかと思います。
これはまだ構想段階なのですが、
みんなが使える!
キャッチコピーのフリー素材サイト
「こぴーや」
コピーが検索できたり、業種別/媒体別などカテゴリーでも分かれていて、
[上を向く広告シリーズ]
上を向く◯◯
上を向いて◯◯ろう。
[柱シリーズ]
◯◯の柱
みたいに、キャッチコピーを考えるときに使える素材サイトで、コピーはぼくやテテマーチ社員の方たち、ぼくがやってるコピサーのメンバー、そのほか外部の方でいろいろ考えていきます。フリー素材サイトではありますが、考えたコピーライターにカンパも送れる仕組みがあるといいなと思います。「今週のコピーがコンビニのコピー機でコピーできる」という企画もあったらおもしろそうです。ぼくの仕事仲間が言ってました。「コピーはコピーされたがっている」と。
謝罪してくれて、ありがとうございます。
上でも書きましたが、今回の問題、犯罪にふれているわけではありません。静観することもできたと思いますが、時間をつくって謝罪をしていただけたテテマーチさんに感謝しております。こんな出会い方でしたが、サービスをいっしょにつくれたので、今回の電柱広告に感謝しています。ピンチはチャンスじゃないですが、テテマーチさんのビジョンは「たのもうけ」。やばい事態でも、たのしく頼もしく解決していくことができる会社になっていくと思いました。これからテテマーチさんといっしょに仕事をするクライアント、代理店、制作会社の人たちが、どうかたのしい時間を過ごせますように。
あと、話し合いの仲介をしてくれた仕事仲間にも、この場を借りて感謝いたします。麻婆豆腐をごちそうさせていただきます。
援護してくれて、ありがとうございます。
今回の問題はわざわざ絡むメリットが1つもないのですが、そんな中、援護してくれた友人がいました。ぼくは自分のことを誰にも援護してもらえない人間だと思っていたので、とてもうれしかったです。その友人と、テテマーチさんがいっしょに仕事をしてくれたらとてもうれしいです。テテマーチさんにも話し合いの場で、無理なお願いですが、希望として伝えさせていただきました。
以上、長くなってすみません。
テテマーチさんからのリリースは、以下のリンクをご覧ください。
電柱広告のキャッチコピーに関するお詫びとご報告
https://tetemarche.co.jp/news/tete-23062101