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私の昭和歌謡68 夜と朝のあいだに 1969

少年はレエスの服を見に纏いひとり寝の夜のドラマを歌う


まぁびっくりした。
これ一曲しか覚えてないけれど、ピーターなる美少年歌手が登場した。といっても17歳。

見た目の美しさと反対に、こういう系は低音を響かせる歌声なんだね。
当時は歌が上手いとは思わなかった。でも、その声質と曲調は、歌謡曲でなく、ミュージカルの挿入歌のように聞こえた。

もちろんミュージカルなんか知らないから、どうしてあの頃、他の歌手や、他の曲と違った不思議な感じがしたのかを、今でこそ思えば、こうだったからかな、という感想だ。

まず題名も、ずいぶん能楽風な感じじゃない?
夜と朝のあいだって。

そしてそこに「ひとりの私」がいる。
その私は「天使の歌をきいている死人のよう」なの。わぁ!
また「鎖につながれたむく犬の遠吠え」や「夜明けを待ちわびる小鳥たち」がいる。

ピーターは凄みのある低音で
🎵お前も静かに眠れ🎵と歌って終える。

なかにし礼と村井邦彦はよく作ったなぁ。
ピーターのイメージにぴったりのこの曲。

ところがピーターは、黒澤映画「乱」を終えてからピタっとこの芸名を捨てて池畑慎之介となった。

そして俳優業に専念している。
今の人は「下町ロケット」の嫌味な弁護士は知っているかな。
少し年配の人は黒澤明の「乱」の狂阿弥を知っているだろう。
その他テレビやドラマにも出演している。

ピーターの父親は、上方舞吉村流の人間国宝にもなった家元吉村雄輝さんだ。きっと父親は長男に後を継がせたかったのだろうが、彼はデビューしていたし、そこはけじめと、実力のある者へ譲った。

71歳未婚。それこそ人生いろいろだったようだが、彼は元気だ。

私は「夜と朝のあいだに」をテレビで歌ってるピーターの姿しか記憶にない。その後から、今の今まで彼を見たり聴いたりしたことがない。

久しぶりに、私がテレビが大好きだったことを思い出してしまったww



【参考資料】



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