私の昭和歌謡134 花はおそかった 1967
バカヤロー!雲は知らないこの気持ち。どこにぶつけりゃいいのだろうか
この曲を聴いた時、ごめんなさい、笑ってしまった。
小学生の私にとって、セリフの言葉「大嫌いだ 白い雲なんて!」と、さいごの「バカヤロー」はかなりインパクトがあった。
作詞の星野哲郎は別名がたくさんある。
歌詞は最初の2行で決まる。
こう言ってのけた星野さんの曲では「男はつらいよ」と「涙を抱いた渡り鳥」が浮かぶ。それこそ多作だ。
でも、このセリフはもう、なんとも言えないわww
「こんな悲しい窓の中を雲は知らないんだ」
僕の命である、かおるちゃんが(多分病気で)危篤なんだ。そして、かおるちゃんが好きだったクロッカスの花を、僕は探しに行く。
戻ってくると、かおるちゃんはもう亡くなっていた。
「どんなに空が晴れたって それが何になるんだ」
そして、「大嫌いだ 白い雲なんて!」と呟く。
もうこれだけでお腹いっぱいになるが、歌い始めて耳に残る歌詞がクロッカスだ。
なんでクロッカスなのなの?
クロッカスの野生を子供の私は見たことがなかった。友達の家には水耕栽培のクロッカスがあったから、球根ごと持ってきたのか?どうやって手に抱かせたのか?
Grokに切花と、球根付きを描いてもらった。おお!
疑問はふくらんだ。しかもクロッカスの定番は薄紫だけど、私は当時白いクロッカスだと思った。きっと白い雲という歌詞があったからだろう。
まあ、でも、そんなことは悩まずにモノマネして歌うのが、昭和の小学生だ。
🎵かおるちゃん、ジャジャジャジャン、遅くなってごめんね🎵
みたいに陽気に歌った。
この作曲は、米山正夫。
かの有名な美空ひばりの「リンゴ追分」や、星野哲郎とのコンビの「三百六十五歩のマーチ」の作曲者だ。
その二人が、まるで売れ筋をさらりと作ったかのような、この曲。今になって思えば、ほほう、とうなづいてしまう私。
でも、当時だって違和感はあった。
かおるちゃんという名前を入れたところ。
「大嫌いだ」とか「バカヤロー」の詩的じゃない怒りの言葉があったこと。
かおるちゃんの好きな花が耳にひっかかるクロッカスだったこと。
なんか、曲が演歌風なのに、歌詞がフォーク。不思議な組み合わせだった。
昭和歌謡の中では、どんなジャンルに入れたらいいのか?(笑)
ちょっと悩む。
【参考資料】
ショート ヴァージョン
フル ヴァージョン
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