私の昭和歌謡117 グッド・ナイト・ベイビー 1968
不愉快もたくさん聞けば慣れてきてやがて知らずに口ずさむ
グッド・ナイト・ベイビーは奇妙な曲だった。
今だから、巷に多様なww音楽があふれているけれど、その頃は、ドゥーワップを聞いたことがある日本人なんかいなかった。
キング・トーンズのヴォーカルは、およそ黒人音楽の発声ではない。歌謡曲でも、民謡でもない、独自のキンキンした声なのだ。それが、突如、あるフレーズの最後にファルセットになる。
🎵 きっと いーーつーか・は 🎵
この最後が裏声になるのを初めて聞いた時は、のけぞった。
おいおい、ヨーデルやったほうがいいだろ。突然1音ポンとあがって裏声だなんて、バカにしてるのか!
ふざけてるのか!こいつら。と思った。
ところが、サビは、結構歌謡曲なのだ。不安定な前半を払拭するように、景気良く、明るく、ドゥーワップのハモリがついて、聞ける!
中学生の私の感想だ。
じゃ68歳の私はどうだろう?
同じだ。今でも、不気味な声で、突如裏声で終えるフレーズは、印象的だ。
そして、サビは必ず歌ってしまう。
でも、このグループの声を真似たりしない。できないw
考えることはある。この主人公の女の子はどうなったのか?
若い娘と恋愛して、駆け落ちしたんだろう。そして、きっと君のパパもいつかはわかってれると歌っている。
とにかく、お休み。今夜は疲れてるだろう、お休み。
もう、それだけの歌詞。しかも「君のパパ」には参った。
私はママとパパという呼び方は68歳まで使ったことがない。まして、中学生でこの言葉を聞いて、違和感がばちばちだった。今も。
作詞は、
野口五郎の「博多みれん」の、ひろ・まなみ(大日方 俊子)。
作曲は、
和田アキ子の「どしゃぶりの雨の中で」の、むつ・ひろし(小田島和彦)。なかなかのコンビだ。
だから、これは異様なヴォーカルによる、作詞作曲歌謡曲コンビの、バリバリ昭和歌謡である。
それも、恥ずかしくなるような舞台脚色の物語と、ビートがきいたメロディーで、聞き手を惑わしてくれる。
私は当時、それが不快に思えただけだった。
今は?そりゃ年相応に、懐かしく聞ける。口ずさめる。
【参考資料】
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