私の昭和歌謡119 長い髪の少女 1968
本牧と聞けばヨコハマ憧れのアマチュアバンドのひしめく夜
ゴールデンカップスの3枚目のシングル。橋本淳&鈴木邦彦作。
ビートルズの後も、日本のグループサウンズは飼われた猫を続けてた。作詞作曲はプロ。歌謡曲風ってことだ。
見た目は洋風のバンドが、子供の頃から聞き慣れた曲調の歌を歌うところが、昭和のグループサウンズってこと。
ゴールデンカップスは、ハーフのバンドという触れ込みだった。おっと、触れ込みなんかじゃなく、小学6年生の私は本当にハーフだと思っていた。
デイヴ平尾は鼻が広がったボーカル。
ギターは、エディ藩とケネス伊東。
ベースがルイズルイス加部。
そして我らがアイドルは、ドラムスのマモル・マヌー!
このあと、キーボードのミッキー吉野や柳ジョージなどの実力派たちが交代で出入りしてる。
でも、私が知っているのは、「長い髪の少女」のバンドのゴールデンカップスだけだ。
グループ名は、本牧にあったメンバーの行きつけのクラブ『ゴールデン・カップ』から付けられた。本牧だって!神奈川の田舎に住んでいる私は、横浜とか本牧なんか聞いただけで夢見てしまったんだ。
まぁ、テレビでチラッと見るくらいだから、全員ハーフだと思っていたし、その中でも、メインボーカルのマモル・マヌーは、最高にクールだった。(当時はハンサムと言った)
この歌で印象的なのは、ちょっとハスキーなマモル・マヌーの歌声と、途中で突然歌う、デイブ平尾の叫ぶような「どうぞ」「きっと」「あまい」「つらい」のフレーズ。これって、私にはかなり違和感があったw
マモル・マヌーの、石原裕次郎みたいな演歌風の歌声に、デイブ平尾が突然、洋風にソウルフルに登場する。そこの歌詞だけが、はっきり記憶に残っている。
さてさて。この歌詞には「少女」「貴女」「あの人」そして「僕」が登場する。気にしなければ、深く考えなければ、まぁ「悲しい過去のある女性を気遣いながら、愛する僕」の歌ってことになるんだが。
少女=貴女=あの人なのか?
少女と、貴女=あの人は別なのか?
少女も貴女もあの人も別人なのか?
この3つの種別を変えると、この愛の物語は大きく変わってしまうのだ。
橋本淳さん、たくさん仕事を抱えてて、適当に書いたんじゃないですよね?
今はメンバーはほとんど、亡くなっていない。
この歌が流行って5年くらい経ってから「悪魔のようなあいつ」というテレビドラマがあった。ジュリーが3億円犯人の男娼で登場する。これにデイブ平尾も登場している。
今見たら、どこもかしこも、学芸会のようなちゃっちー感じだけど、その頃の私は、確かにヨコハマの夜に生きる男たちを、ワクワクしながら見ていた。危険や違法なものを美しいと感じた。
この、演歌風味のGSの歌を思い出すと、イケナイものに憧れていた少女の頃を思い出す。
【参考資料】
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