私の昭和歌謡15 夜空の笛
思い出はチイタカタッタと遠ざかる私の時代私の青春
テルミン。この宇宙的な響きはどんな楽器なんだろう?
答えは主人と結婚してから知ることになった。「大人の科学雑誌」というマニア誌があって、付録がついてくる。それを買った。
赤い小さなテルミンを組み立て、しばらく遊んだ。不思議な音色。不思議な奏法。私の指が魔法を使う。でも本当の楽器は指じゃなく手で表現できるんだろーなー?と期待して、実現せず今に至っている。
「夜空の笛」はいろいろな要素で傑作な逸品なのだ。作詞も作曲も編曲も歌手も全てがユニークったらない。
まず作詞作曲はシンガーソングライターのハシリ、浜口庫之助!ハマクラさん。イントロのしょっぱなのテルミン、そして南洋を思わせるティンパニのリズム。
で、歌のはじめが歌詞じゃなくって、わけわからない呪文ww
🎵チイタカタッカ チイタカタッタ🎵と歌い始める。
守屋浩の低音はハスキーで魅力的だ。高音もハリがある。でも演歌や民謡歌手のような自慢げなハリじゃない。
リズムはズンチャチャズンチャチャと祭りっぽいところが泥臭くって不気味。それにまさかピッコロとは思えない(ピッコロだよね?)
この笛とメロディーとの掛け合いが和風なんだな。民謡の合いの手のように掛け合い絡み合って、気持ちを高揚させる。
🎵僕の姉さんの住んでる遠い国🎵 から、なんと小学校の体育で使うようなタンバリンがズンチャチャと加わるのだ。それで驚くのはまだ早い。
🎵ヤイヤイヤイ ヤイヤイヤイ ヤヤヤヤヤイ🎵 でタンバリンのリズムが変わる。えーーーっと驚く2拍にシャンと入るんだ。すごい。
この部分で”僕”は完全に妄想の世界の中にいるし、ラリってるし、私も一緒に歌ってるから、怖いものなしだ。でも・・・
🎵僕も行きたいな 夜空をかけて🎵 と1番が終える時、目が醒める。私は”僕”といっしょに行ってはいけない。
ホント、この曲を今の私は「幻想歌謡曲」と名付けよう。
”僕”の憧れの姉さんは、ダンスホールの踊り子なのだろうか?
都会で生きていくのはつらかったのだろうか?
でも、この曲調でイメージする南洋の島のような、異次元の宇宙のとある星へ行ってしまうなんて、うーん、アリかなぁ。
子供の頃、この歌を歌うと、決まっていつのまにか、途中から違う童謡を歌っていた。それは「森の小人」(1941年)
🎵森の木陰で どんじゃらほい 🎵
🎵あほういほういの どんじゃらほい🎵
この歌はパラオ島の夜祭をテーマにしている。最初「土人のお祭り」という曲名だったけれど、GHQから「土人は差別的」と言われ、椰子を森にして、パラオ島を夢の島にして、土人を小人と変えた。
とっても不気味な雰囲気と、はやしことばが、子供の私にはインパクトがあって気に入っていた。
二曲を合体させた幻想歌謡組曲を、暗くなってトイレに行く時とかに歌っていたように思う。さらに怖くなって、さらに大きい声になって、用をすませて、また歌って、皆んなのいるテレビの部屋へ駆け込んだ。
🎵ヤイヤイヤイ ヤイヤイヤイ ヤヤヤヤヤイ
あほういほういの どんじゃらほい🎵
と、畳にすとんと座って、ほっとした。
【参考資料】
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