私の昭和歌謡16 モスラの歌
スラスラとモスラヤモスラと歌ってたこどもが好きな不思議な呪文
こどもは意味のわからない呪文が好き。私も小さい頃はそうだった。
私の生まれた家は、小さな町の繁華街のラーメン屋。隣がパチンコ屋、そして裏は映画館の便所と隣接していた。2階の部屋から、映画館の便所の屋根が見えて、換気用の煙突がくるくる回っていた。
表通りを何軒か歩いて、肉屋と洗濯屋などを通り、角の魚屋を曲がるとすぐに「東宝館」の広場がある。夏休みには、毎朝そこで「かんぽのラジオ体操」をやった。
子供会も、今では考えられないくらい子供がうじゃうじゃいた。
お母さんも、「子供会は必要か?」「早朝ラジオ体操ってどうなの?」「今度の映画は教育上問題があるかも」なんか考えている暇はなかった。ただ、あたりまえのように「集団登校」や「早朝体操」へ行け!と言い、東映に新しい映画があれば、年長の子に連れて行かせた。
「モスラ」は、よく考えれば問題提起の映画だ。
台風で日本の貨物線がインファント島に漂着する。この島はロリシカ国の水爆実験で汚染されているはずなのに、乗組員には被爆がみられない。しかも、原住民がいるという。そこで、日ロ共同調査が行われる。
昭和20年に原爆を落とされ、
昭和27年に米国の占領が終え、そして、
昭和36年に「モスラ」の上映があった。
こうした映画に込められた子どもへの「悪者は誰か」「何を守るのか」というテーマは大きな意味がある。
悪者は、水爆実験をやったロリシカ国だ。私が父に「ロリシカ国ってどこにあるの?」と聞いたら「ロシアとアメリカのことだ」と教えてくれた。すごいね、日本人は!
悪者は、ピーナッツが演じる小美人を捉えて見せ物のショーに出している、クラーク・ネルソンである。
人道的にも許せない水爆実験を行い、島人を拉致して見せ物にして儲けるなど、およそ日本人には極悪でしかないことをする人間がいる。それはロシアとアメリカなのだ、と・・・小さな子供の私が思うわけないw
今考えれば、これらの問題提起をした映画関係者を尊敬している。
私は、映画を見てからすぐに🎵モスラーヤッモスラー🎵を歌った。わからない部分は🎵モスラララララーモスラー🎵とか、いい加減に誤魔化して歌った。
メロディーは映画を見るだけで覚えてしまった。そのうち、歌詞も近所の友達と答え合わせして完成した。
古関裕而の音楽はすごい。
でももっとすごいのは、歌詞なんだ。Wikiにはこんなふうに載っている。
東大に通うインドネシアの男子留学生に歌詞の意味を伝え、それをインドネシア語に訳してもらったもの。一方、助監督たちがフランス語で原詩を作り、それを英語読みにしてからエスペラント語にし、それを歌ったものを逆再生して文字に起こしたもの。(笑)
諸説あり。でも、歌詞の邦訳はこうである。
モスラよ 永遠の生命 モスラよ
悲しき下僕の祈りに応えて 今こそ 蘇れ
モスラよ 力強き生命を得て 我らを守れ
平和を守れ 平和こそは永遠に続く繁栄の道である
わお!このテーマは現在も日本のサブカルチャー、特にアニメやゲームに脈々と繋がっているものなんだ。
私の息子がFFⅩをやっていた時、その中で「祈りの歌」というのがあった。FFシリーズも平成の子育ての思い出の中にある。
🎵いえ ゆい
のぼ めの
れん みり
よじゅよご
🎵はさ
てか
なえ
くたまえ
この歌詞の意味は縦に読むとわかるらしい。
「祈れよエボン=ジュ 夢見よ 祈り子 果てなく 栄えたまえ」
これも後で知ったこと。
映画やアニメやゲームの中に、その国の持つ願いはある。日本人の願いは平和と繁栄、そのために闘うということだ。
明日は8月15日。私は休戦記念日と呼んでいる。
【参考資料】
【先週の過去記事】