ケニアコーヒーの歴史・種類・特徴について
アフリカはエチオピアの隣国にあたる「ケニア」。
コーヒー栽培にも適し、近年は盛んにコーヒーの生産と輸入が行われています。
コーヒー通の方だけに馴染み、例えばスーパーなどで誰もが日頃見かける銘柄ではありませんね。
ケニアコーヒーにはどのような歴史があり、どんな種類や特徴があるのか、わかりやすくまとめてご紹介します。
ケニアコーヒーとは…
ケニアコーヒーは、アフリカの国ケニアで育てられたコーヒーのことです。
コーヒーに国名を冠するスタイルで、ブランドなども少しだけありますが、大体は「ケニア」コーヒーとして売り出されています。
【ケニアコーヒーの歴史】
ケニアでは、西暦1900年前後にヨーロッパの国(イギリス、フランス説あり)からコーヒーが持ち込まれ、栽培を開始しました。
エチオピアの隣国で、栽培に適した環境(1,000m前後の高地である、昼夜の温度差があるなど)ながら、遅いスタートでした。
理由は定かでありませんが、ケニアの経済状況や治安などが関係するといわれます。
ケニアに持ち込まれたのは、アラビカ種の高級亜種「ブルボン」です。
大衆的な豆ではなく、上級品種が持ち込まれて栽培されたのもケニアの特徴です。
またケニアでは早い時期からオークション制でのコーヒー販売、輸入が実施され、品種も上等ながらより価値が付き、今日までケニアコーヒーは高級とされています。
特に先進国への輸入豆は中でも上等が選ばれるので、日本に来るケニアコーヒーは総じて高級品です。
スターバックスやカルディには置かれますが、スーパーなどでは中々見られないのも、こういった理由からなのですね。
ケニアのコーヒー戦争
ケニアのコーヒー生産は、20世紀中頃から現在まで、安定せず大幅に上下しています。
理由はケニアでの栽培開始が遅かったことでも挙げた「治安」です。
ケニアのコーヒーはオークション制や元品種の影響によって「高級」と認められていますが、たびたび農場や工場が襲撃被害に遭っています。
生産者側も「建物を強固にする」「武装した警備員を雇う」など対応し、コーヒーを巡って争いを続けています。
1970年代には最盛期を迎えながら、その後は不振に陥り、再度盛り上がり2011年には記録的な価格が付きます。
ですが工場が襲撃され、多数の被害者が出ました。
盗まれたコーヒーはギャングたちによって闇市場で売られた、と公表されました。
ケニアは高級コーヒーの産地でありながら、そのコーヒーを巡り深刻な社会問題を抱えているのです。
【ケニアコーヒーの種類】
ケニアコーヒーは特別な名付けはせず、「ケニア」として販売されます。
よく見られるのが「ケニアAA」ですが、これはケニアにおける等級の上級ランクです。
ブラジルでいう「No.2」のようなものですね。
さらに上には「ケニアマサイ」(ケニアAAマサイ)ブランドがあり、ケニア産の最高品種とされます。
欧米では「世界一」と評する声もあり、芳醇な香りとコーヒーらしい深みが人気の品種です。
ケニアコーヒーの等級付け(グレードランク)
ケニアのコーヒー豆は主に「大きさ、重さ、形」などから等級が付けられます。
PB(ピーベリー):最上級とされ、丸みのある上質な豆に付けられる。これだけで出回ることは珍しい。
AA:「マサイ」もAAの一種として、実質のケニア最上級品種。
AB:AAよりやや小さい等級。
以降は「C・E・TT・T」と続き、輸入よりは国内消費や安価なブレンドに混ぜるなどして用います。
「PB」は通販などでも見られますが恐ろしい高値が付く上、「怪しい」ともされるので購入はおすすめできません。
実質はAAとマサイがケニアコーヒーの代表格で、手軽に購入できます。
【ケニアコーヒーの特徴】
ケニアのコーヒーは「風味」「香り」が特徴とされます。
味は酸味が強く、爽やかな印象なのでより香りは引き立ちます。
また豆のボディ(コクを左右する豆の油分)がしっかりあるので、深煎りでも味を損ないません。
アイスコーヒーでも、ブレンドに用いても存在感があるので重宝されます。
ケニアコーヒーは「トマト」の香り
コーヒーの香りを表現するのによく「柑橘系」「フルーツ」が使われますが、ケニアコーヒーは「トマト」のような香りと評されます。
分類は野菜ですが果実に近い甘みと香りがあり、ケニアコーヒーもトマトのような優しい風味があるのです。
この特徴は「他のコーヒーとは違う」という意味でも用いられ、爽やかな香りと酸味が特徴とされるキリマンジャロやモカと比べても香り自体の種類が異なります。
コーヒーがトマトの香りとは、斬新で印象的ですね。
「上質な風味を持つケニアコーヒー」
ケニア産コーヒーの歴史、種類、特徴などをご紹介しました。
ケニアコーヒーは「AA」「マサイ」に代表され、上質な風味を持つ高級品種です。
コクが強いので深煎りでアイスコーヒーにしても、またブレンドに用いてもケニアらしい風味を活かせます。
現状は、国の治安問題などの影響で生産と輸出が安定せず、専門店などに流通するまでに留まっています。
生産が伸び、安定すればスタンダードとされる「ブラジル」「コロンビア」にもひけをとらないでしょう。
いつもと違う気分に「トマトのような香り」のケニアコーヒーはいかがでしょうか?
今回のサムネはこちらの画像を使わせていただきました。ありがとうございます🐯