デザイン思考のあり方
※このnoteは武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科クリエイティブリーダシップコースの「クリエイティブリーダシップ特論」という、クリエイティブの力をビジネス・社会に活用しているゲスト講師の方々による講義のレポートです。
10/11の講義では、ビジネスデザイナーとして活躍されている佐々木康裕さんのお話を伺いました。
Profile
佐々木康裕
クリエイティブとビジネスを越境するビジネスデザイナー。デザイン思考のみならず、認知心理学や、システム思考を組み合わせた領域横断的なアプローチを展開。エクスペリエンス起点のクリエイティブ戦略、事業コンセプト立案を得意とする。DTC含むニューリテール、家電、自動車、食品、医療など幅広い業界でコンサルティングプロジェクトを手がける。ベンチャーキャピタルMiraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師(デザイン経営)も務める。2019年3月、ビジネス×カルチャーのメディア「Lobsterr」をローンチ。 Takram参画以前は、総合商社でベンチャー企業との事業立ち上げ等に従事。経済産業省では、Big DataやIoT等に関するイノベーション政策の立案を担当。 早稲田大学政治経済学部卒業。イリノイ工科大学Institute of Design修士課程(Master of Design Method)修了。
(引用:https://ja.takram.com/people/ より)
このnoteでは佐々木さんのお話の中から印象的だったことについて書いていきます。
PuzzleとMystery
佐々木さんは総合商社でお仕事されたのちに、イリノイ工科大学(Institute of Design 通称ID)に留学されています。そこでの授業はデザインスクールという箱に中にも行動経済学や新規事業などビジネス領域の授業も沢山あったそうです。このビジネスとデザインの領域をカバーしているIDらしく、「この世界には”Puzzle”的な問題と、”Mystery”的な問題の二つがあるというお話があったそうです。
”Puzzle”的というのは、論理的思考で答えを探していく問題のことで、ロジカルに答えを突きつけめていけば答えを導き出せるもの。
一方”Mystery”的というのは複雑な事象が絡みあい、答えがない問いのこと。ロジカルに答えを出すのではなくプロトタイピングなどを通して答えを探してくようなアプローチを取るものだと言います。
このロジカル・デザイン思考の違いの話はいろんなところで耳にしますが、Mysteryと表現されているのが面白いなと思いました。
Mysteryの意味は “something strange or not known that has not yet been explained or understood” らしいです。分解がまだできない事象のことなのかなと解釈しました。
佐々木さんが名乗られているような「ビジネスデザイナー」というお仕事をされている方々はまず、この問いの分類を的確に行い、そして必要な思考を用いて問題に対処しているのかなと思いました。
さらっと書きましたが、この頭の使い分けがとても難しいのではないかと。。。
西のデザイン・東のデザイン
お話の中で印象的だったことは、アメリカ西海岸界隈でイメージされるデザインシンキングと、東海岸界隈でイメージされるデザインシンキングは違う、というお話です。
シリコンバレーなどスタートアップが集まる西海岸地域では、スピードが重視されるため「まずはつくってローンチしてみる」というようなかたちが連想されるそうです。
一方で老舗の大企業が集まるような東海岸地域では新しい事業・商品を開発していく際にも社内調整を通して慎重に物事を進めていくため、「まずつくってローンチ」というかたちはあまりとられないそうです。
佐々木さんは東海岸のデザインシンキングが日本と親和性が高いのではないかとお話しされていました。
お話を聞いて、「デザインシンキング」というものを無理に定義しようとせずに、その場にあった「デザインシンキング」というより姿勢を模索していくことが大切なのだろうと感じました。どのフレームが正解、というわけではなく、正解がないからこそ自分の組織で探っていくことを大切にしたいと思います。
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