色でみる自民党総裁選。
ここ最近、自民党総裁選のニュースが盛り上がりを見せています。政治に関して書くつもりはないですが、「選挙」についてはカラーコンサルタント時代から注目して選挙コンサルの企画を立てたり、実際に選挙ポスター撮影のお仕事をさせていただいたり語らずにはいられない。ということで、当初の候補者が10人以上、実際に立候補した方が9人と混戦模様の自民党総裁選について、外見術や色の観点から書いてみたいと思います。各候補者の中身、主義主張には触れません。ファッションチェック的な軽いノリでお読みいただければ幸いです。
こちら、総裁選のポスター。「おじさんの詰め合わせ」とも言われたようですが、グレースケールの画像に赤文字のビジュアルは戦い・情熱・熱量を感じさせる王道の色使い。歴史の重みを感じさせる写真に「THE MATCH」の英語コピーはあえての違和感なのかな!?この英語コピーが格闘技イベントやお笑い芸人コンテストのビジュアルを彷彿とさせ、エンタメ感を狙ったのでしょうか。
それでは、各候補者の方々を立候補表明順に見ていきたいと思います。
小林鷹之氏
小林氏のお顔と名前を覚えたのは大臣になられた時でしたが、トレードマークはオレンジのネクタイと紹介されていてずっと気になってました。小林氏はブルーベースさんなので、オレンジはNGカラー。色の名前で言うと、ブルーベースさんが唯一着られない色がオレンジなんです。なのに、よりによってなんでオレンジを選んでしまったんだ。。ブルーベースさんがNGカラーを身に着けると老けて見える・覇気がなく見えるなど印象がダウンします。おそらく選挙のテーマカラーで、「オレンジのネクタイの人ね」と顔と名前を覚えてもらうためのトレードマークなのでしょうが、NGカラーは色だけが目立って、身に着けている人の顔は引き立たないというマイナス効果の方が強い。非常にもったいないなと思います。
選挙時のテーマカラーは別として、通常時の服装は「〇〇色の人」と固定して印象付けるよりも、TPOやその時訴えたいテーマに合わせて色を選んで変えた方が、伝えたいことが伝わりやすいんですよね。人間は耳から入ってくる情報よりも目から入ってくる情報の方が格段に優位なので、政治家は色の効果や外見術を意識するべき職業の代表格だと思います。アメリカ大統領選挙では、かなり昔からイメージコンサルタントがついているそうですし、アメリカ大統領が「ラッキーカラーはオレンジ」とか言ってオレンジのネクタイしか着けないとか考えられないですよね。
話を戻しまして、色彩心理学やカラーセラピー的には、オレンジは社交性・向上心という意味や、それが行き過ぎて、目立ちたがり・自己中心的などの意味を持つ色です(どの色もプラスな意味と、それが行き過ぎてのマイナスな意味があります)。これらのワードはあくまでも色の持つイメージですが、この色を好む人は・・・とか、この色を選んだ深層心理には・・・と、色彩心理学やカラーセラピーの観点からは性格診断のように考えることもできます。
石破茂氏
石破氏もブルーベースさんです。普段のスーツはネイビーやグレー(明るいグレーを着ているのもよく見かけますがブルーベースさんなのでOK)、ネクタイもブルー・ネイビー系でストライプ柄が多めな印象。ストライプ柄のネクタイはスポーツチームの制服に由来するため、挑戦・躍動感・チームワークをイメージさせ、政治やビジネスの場に向いている柄です。ブルーベースさんのスーツコーデとしては敵を作りにくい上手なコーデにお見受けします。先日のニュースで、寅さんのコスプレで東京・柴又に・・・という映像を見たのですが、キャメルのチェックのジャケットは残念ながら似合ってなかった・・・ブルーベースさんにキャメルはNGカラーです。
服装ではブルー系の印象が強い石破氏ですが、ホームページのテーマカラーは赤でした。赤はエネルギー・情熱・行動力を表すリーダーカラー。選挙ではもっともよく使われる定番カラーです。プラスの意味が行き過ぎて、怒り・短気・ワーカーホリックなどの意味も持ちます。
河野太郎氏
河野氏はカラフルなネクタイをしていることが多い印象です。ビビッドなブルーやピンク、黄色、オレンジ、黄緑などお見かけしたかな。河野氏もブルーベースさんなので、ブルーやピンクはOKですが、オレンジや黄緑はNGカラーです。ホームページの総裁選特設サイトには、紫のネクタイ姿と水色のネクタイ姿の写真が載っていました。紫のネクタイって、河野氏を応援する麻生氏もよく着けてますよね。その昔、麻生氏が総理大臣になった最初の記者会見に紫のネクタイで登場した時は、カラーコンサルタント的に衝撃でした。大抵そういう場は、赤か青のネクタイが定石なんです。紫は高貴・カリスマ性・神秘的などの意味を持つと同時に、赤と青が混ざった色なことから二面性とか現実逃避などの意味を持ちます。政治家が使うには結構リスキーな色かなと。
ホームページはグレースケールの画像やダークな色使いが目立ちますが(ダークな色使いは重厚感や専門性の高さ、玄人感のイメージを与える効果があります)、総裁選特設サイトのテーマカラーは水色のようです。青は冷静・信頼・忠誠心などを意味する色ですが、カラーセラピーでは、水色は青に白(光)が入ってその意味がさらに強まった色という捉え方があります。青はストイック・クール・厳格などの意味も持ち、水色はそのマイナス面も強まった色と考えられます。
林芳正氏
林氏はネイビーやダークグレーのスーツ以外にも薄いグレーを着ていたり、ワイシャツも白だけじゃなく淡いブルーやラベンダー、黄色などのカラーシャツを着ていることも多くて、ノーネクタイのカジュアルなスーツコーデが特に上手だなという印象があります。今回改めてパーソナルカラー診断をしてみて、一番血色が分かりにくかったのが林氏。血色が出にくいタイプですが(そういう方はNGカラーがそんなに悪くなく見える)、画像検索で多くの画像を見てみた限りではブルーベースさんかなと思います。薄いグレーのジャケットにラベンダーのシャツの画像と、ベージュのジャケットにイエローのシャツの画像を比べてみると、前者の方が似合ってるかなと。
総裁選のテーマカラーは緑。ネクタイもグリーンを着けられていますが、ブルーベースさんが似合う緑は濃い青緑のみ。黄緑やモスグリーンなどはNGです。緑はバランス・調和・協調性という意味や、優柔不断・嫉妬・没個性などの意味を持ちますが、総裁選のテーマカラーとして見ると残念ながらリーダーカラーではないんですよね。戦隊モノを想像していただいても、リーダーのレッド、二番手のブルー、それを支えてグループの輪を大切にするグリーンという感じ、お分かりいただけますか。まあ、みんな赤だったらテーマカラーにならないし、みんながレッドだったらグループがまとまらないんだけども(だから、みんな違ってみんないい)。
茂木敏充氏
茂木氏のスーツコーデで印象的なのは、ストライプ柄のスーツを着ていることが多い点ですかね。ストライプ柄のスーツは無地に比べておしゃれな雰囲気に見えますが、あまりストライプの主張が強いとカジュアルな印象が強くなってしまいます(たまにすごいストライプを着てる)。国会ではブルーやネイビーのネクタイで敵を作りにくい落ち着いたコーデが多く、ノーネクタイのカジュアルな場ではピンクのカラーシャツを着ていたり、TPOの使い分けは上手な印象があります。茂木氏もブルーベースさんなので、淡いピンクのシャツなどはとても似合うOKカラーです。
ホームページのテーマカラーはオレンジですが、総裁選のテーマカラーは出馬表明会見時の背景ボードの文字に少しだけオレンジが入っていたくらいであまり特定のカラーは強調していない様子(オレンジだと小林氏と被るからかな)。出馬表明会見時のネクタイは水色でした。総裁選特設サイトの写真も、告示日の演説会時も水色のネクタイだったので、ネクタイは水色でいくのかな。オレンジと水色(青)は補色関係(色相環で正反対の色)の色同士でお互いを引き立てあう効果があります。
小泉進次郎氏
小泉氏はネイビーのスーツに白シャツ、ネクタイはブルー系など無難な色を着ていることが多いですね(でもよく見ると、うっすら折柄が入ったいい生地のオーダースーツなんだろうなと思われる)。小泉純一郎氏のご子息として最初から顔を知られていたというアドバンテージもあるからこその、敵を作らず万人受けする上手な着こなしだと感じます。ここ数年特に、着こなしが洗練されてきた印象があって、スタイリスト役のスタッフがいるのか、奥様の影響なのかな。小泉氏はブルーベースさんなので、真っ白なシャツやブルー系は印象力をあげる色で、世論調査で人気があるのは、この外見術のうまさも要因の一つではないでしょうか。
総裁選のテーマカラーは青。ホームページのテーマカラーは濃いめの水色ですが、総裁選特設サイトでは一段色味を濃くしています。水色やピンクなど白を混ぜた色は、原色の青や赤よりも若さ・可愛さを感じさせる色なので、総裁選に臨むにあたり、若さがマイナスにならないように一段濃くして、勝負に出てきた感を感じました。先ほども出てきましたが、青は冷静・信頼・忠誠心などの意味と、ストイック・クール・厳格などの意味も持ちます。
高市早苗氏
高市氏はネイビーやブルーのジャケットに、インナーもネイビーや黒とダークなコーデが多い印象。女性議員さんは白や赤、ピンク、黄色など明るいカラーを着る方も多い中、ダークカラーで男性の装いに寄せている印象があります。政治という超男性社会の中で、舐められずに出世するための保守的な装いなのかなと感じました。高市氏はブルーベースさんなので、濃いめブルーやネイビー、ブラックはOKカラー。メイクも口紅の色はピンク系・ローズ系のOKカラーを使われています。メイクでいうと、ファンデーションはもう少しツヤ感を出す塗り方だったり、眉をもっと自然に描いたり、チークで血色感を足したらもっと素敵になるのにな・・・と思います。
ホームーページのテーマカラーは青と緑の二色使いですが、総裁選特設サイトはそれを濃くしたような紺と深緑に赤。出馬表明会見の背景ボードは紺に赤でした。紺は制服にもよく使われている色ですが、青の忠誠心・厳格という意味や、黒の威厳という意味が合わさったような色と考えられます。
加藤勝信氏
加藤氏のスーツコーデはネイビーかミディアムグレーのスーツに白シャツ、ネクタイの色は様々という印象。ある時、すごい鮮やかな赤のネクタイをしていて衝撃だった記憶があります。加藤氏はブルーベースさんなので、日々違うネクタイの色がOKカラーな時もあればNGカラーの時も。装いに関してはあまり捉えどころがない印象です。
ホームページのテーマカラーは選挙の定番カラーの赤。総裁選特設サイトはもっと明度・彩度をあげた眩しい赤と青緑でした。出馬表明会見の背景ボードも、青に白の斜め格子柄と赤の組み合わせでしたね。青も赤も他の候補が使っているので、後から出馬表明をする方はテーマカラー選びも大変なんだろうな。出馬表明会見のネクタイは細かい小紋柄の薄いラベンダー色のようでしたが、薄くてVゾーンがあまり締まらず、背景ボードの格子柄の印象に負けてしまっている感じがしました。こういう勝負時は濃いめカラーのネクタイが良いですね。
上川陽子氏
上川氏は白とか明るい色のジャケットを着ている印象が強いかな。時々、ネイビーとかも着ていますね。上川氏はブルーベースさんなので、このプロフィール画像のオレンジは残念ながらNGカラー。ホームーページのトップ画像は白のジャケットにピンクのインナー、ライトグレーのジャケット、サックスブルーのシャツ姿とどれもOKカラーでした。メイクに関しては、わりと自然なメイクで時々濃いめの赤リップをつけられていますが、少し髪がシルバーヘアに近づいてきたのでもっとローズみのある色だとより似合うかなと思います(ブルーベースさんが白髪になると、より青み・紫みのある色が似合うようになる)。
ホームページのテーマカラーはピンク。ピンクは選挙のテーマカラーで女性候補がよく使用する色ですが、やさしさ・思いやり・慈悲などの意味と、溺愛・八方美人などの意味も持ちます。総裁選特設サイトのカラーは一転して濃い青~紺の色使いになっています。白いジャケット姿の写真との対比が効いていてキリっとしたイメージを作り出しています。上川氏も高市氏も、女性らしさを封印して男性候補と肩を並べている感じがして、(投票する人が圧倒的に男性多数だから仕方ないのでしょうが)ちょっとモヤモヤしてしまいます。
以上、9人の候補者の方々を改めてパーソナルカラー診断をしてみたら、9人全員がブルーベースさんでした。常々お話していますが、日本人ってこれくらいブルーベースさんが多いんです(この中にイエローベースさんが一人くらいはいても良さそうだけど)。芸能人で見るとイエローベースさんの割合が高くなるんですが(それでもブルーベースさんの方が多い)、一般の日本人で見たら7~8割くらいはブルーベースさんじゃないかな~と思っています。
約6,000字の長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。念のためお断りしておきますと、この記事は自民党をPRして書いているわけでも、ディスって書いているわけでもありませんのであしからず。辛口ファッションチェックになってしまった部分もあるので、自民党さんや熱烈な支持者の方に怒られないかと、心配性の私はビビッていますが(そんな目に留まらないだろうけど)、純粋にパーソナルカラーや色彩心理学の研究観察対象としての興味から書かずにはいられませんでした。実質的に次の総理大臣が決まる自民党総裁選。どなたが当選するのか見守りたいと思います。
選挙関係者の方にこちらの記事を。選挙ポスター分析をした元有料コンテンツを公開しています。
それぞれの色の意味をもっと知りたい方はこちらの記事を。色の意味をまとめています。
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