欲求水準が下方に流れる社会に向けて考えていかなければいけないこと
マーケティングなんちゃってサイエンス2大巨頭といえば、イノベーター理論とマズローの自己実現理論(あるいは5段階欲求、実際は6段階)です。今日日ドヤ顔でこれを説明する人を見ると恥ずかしくなってしまいますね。
ただこの2つもある程度の妥当性と納得感もあるのも事実で、マーケティングの理論武装に使うとダサいものですが、考え方の整理としてはとても有用なものです。
先日、Twitterで見かけてツイートですが、特にマーケティングが進化していないことについて言及でしたが、それはやはり人間の欲望の構造がクレオパトラの時代、あるいは類人猿の時代から大きく変わっていないことがあると思います。
マズローの自己実現理論の5段階とは、
自己実現の欲求 (Self-actualization)
承認(尊重)の欲求 (Esteem)
社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
安全の欲求 (Safety needs)
生理的欲求 (Physiological needs)
であり、生理的欲求から自己実現欲求に対して高次になっていきます。社会が安定し、生命の危機をほぼ気にせず、より高次の欲求を満たす社会がコロナ以前の社会でした。
明日の食べ物を気にせず、安定した収入とより他社より優れた体験を求める社会であれば、必要最低限の持ち物だけで過ごすミニマリストという生き方もできたでしょうし、夜の六本木や西麻布で高級和牛の上にウニとキャビアとトリュフをかけたものを片手に、有り余る投資資金で(本業の売り上げは気にせず)パパ活のお嬢さんたちに会うだけで数万円のお小遣いもあげれたのだと思います。
しかし、いざ世界的に生命の不安が蔓延する社会になると、人は外出を避け(もちろんロックダウンや不要不急の外出の自粛もあり)、財布の紐を締め、自己の生存に注力しなければならなくなります。
つまり人の欲求がより下次に落ちていることを意味します。
現在は安全の欲求が最優先されています。しかし、このコロナの状況が長引けば当然ながら、さらに欲求水準が下がることすら考えられます。現在はまだ流通が動き、食料品が買えます。電気、ガス、水道のインフラも生きています。ECで注文すれば、時間がかかるようになりましが、家まで届きます。
しかし、宅配が止まるとどうなるでしょうか?流通が止まるとどうなるでしょうか?そんなことは起こらない!と言えるのでしょうか。
また、現在は飲食店やライブハウス、夜の繁華街についての休業補償とかが大きく取り上げられていますが、むしろ本当の苦境はこれからやってきます。下記は山本一郎氏のYoutubeですが、これはリアルに起こってくることです。
現在、自分の業界は大丈夫だと思っている人もいるかもしれませんが、ドミノ倒しのように関係してきます。多くの企業が雇用を維持できなくなってくれば、当然ながら失業者が増え、余剰のお金を持つ人も減ってきます。在庫があっても買う人がいなければ、不良在庫はマイナスの資産に変わります。
社会のインフラに支えられてより高次のサービスや体験提供していたところはどんどん厳しくなってくることが考えられます。これが一部の業界だけであったり、日本だけであれば、調子のよい国、業種に支えられてそこから復活する兆しはありました。しかし、今起こっていることは世界規模であり、全業種、業界を含んで起こっています。
なので、今後しばらくは人の欲求水準は下振れしていくと考えていた方がよいと思います。
どれだけ社会的に意義がある商品、サービスなのか?どれだけ誠実に商売をしていくのか?一部の人たちだけでなくより公正公平なサービスなのか?という点が大きなイシューになっていくと思います。
そのようなことはこれまでも言われてきましたが、今までは”高次の欲求を満たしていけるための持続可能な社会”というポイントでしたが、これからはより”下次の欲求”を安全に公正に保つために必要だと考えます。
何故なら、生き物は生存が脅かされると当然ながら攻撃性をましていくからです。その最たるものが戦争ですが、人々の生命を脅かす状況が続けばそれの可能性も増してくるからです。1つは、食料の争奪戦が起こった場合ですし、開発されるだろうワクチンの争奪戦が引き金になる可能性です。もちろん、そんなことは誰も望んでいるわけではないので、起きないで欲しいですが、社会情勢が不安定になればなるほどそういうことが起きる素地ができていきます。
上記で書いたようなことは、起きてほしくないですし、そうそうにコロナが収まり人々が普段の生活を取り戻してほしいというより、私が求めているわけですが、この状況がしばらく続くという前提で、考えておくべきシナリオの1つだと思っています。
なので、メルカリなどのフリマアプリはしばらく自主休業した方がいいのでは?と思ったりします。少し前のマスクや消毒液だけではく、Swichなどのゲーム機や今ではホットケーキミックスでさえ転売されています。転売するプラットフォームがなければ、買い占めをする人は生まれないですし、転売で利益を得る人は転売ヤーとその手数料収入を得ているプラットフォームだけです。
原材料メーカーや商品メーカー、流通業、小売店は欲しい人のために、この状況でも必死に生産し、流通し、販売をしています。価格は維持したままです。
それを買い占めて、価格を釣り上げて利益を生むのはとても公正なことだとは思えません。需要と供給の問題であれば、それはメーカ側がしています。しかし、メーカー側は価格を維持しています。つまり、人気商品を買い占めることで、不当な供給コントロール者を出現させ、価格を高騰させているだけです。
もちろん現在は違法ではないです(そういうことが想定されていないので)。前述した、これから大事になってくるだろう社会的意義や公平公正なサービスからすればか大幅に外れたものなると思います。
かつてインターネットは中間をなくし価格を下げたと言われましたが、現在、メルカリなどの出現で、不当な中間搾取者が生まれた形になり、消費者の獲得コストはむしろ上がったことになりました。また、メーカーや小売店も、その転売ヤーのために、コールセンターで無用なクレームを受けたり、抽選販売とか本来であれば不要なコストを払うことになっています。そうれは将来的には、消費者に返ってくることになるので、本当に転売ヤーとメルカリなど転売ヤーからの手数料収入を得ていることだけしか得しない形になっています。
上記で自主休業といいましたが、そこまではしないまでも、消費者に不利になるような状況に対して有効な対策を取らないと、サービサーとして信用を失い、利用する人が減少するということが起きてくると思います。