しっかり練習しとけよクソガキ!
カードが弱いとか散々言われていたRIZIN21ですが、最後は皆大好き朝倉未来がフルボッコKOできちんと締めてくれました。
相手は無名とは言え、闘いぶりを見る限りしっかりした選手ではありましたし、結果として一人で背負う形になった興行をビシッと締めたのは流石だなぁと感心しきりです。
一通りの決まり事が進行してお客さんが帰り出す中、ある人物が一人リングに入って来ました。
朴光哲(ぼくこうてつ)選手です。
格闘技ファンには当然周知の選手ですが、朝倉兄弟のYouTubeから会場に足を運んだ方にとっては
「誰?このおじさん…」
だったと思います。
久しぶりに見たメジャーイベントでの唐突感でした。
勿論、只のおじさんがリングに入って来れる訳ありません。
修斗で活躍し、HERO'Sではアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラに勝利、DREAMではヨアキム・ハンセンら強豪と激闘を繰り広げ、2012年にはONEに参戦しライト級のベルトを獲得しました。青木真也に敗れてからは、敗けが目立つようになってしまいましたが切れ味鋭い打撃が特長の大ベテランです。
KIDさん亡き後クレイジービーを引っ張る頼れる兄貴なので矢地祐介選手やあい選手と共に公に出ることがあります。
戦歴も立派ですが、正直ファイターとしてはピークを過ぎていると言わざるを得ませんし、RIZINと同程度のレベルのONEで敗けが続いていたような状況でしたから僕も思わず呟いてしまいました。
また、ジャパニーズMMAが訳の分からんズンドコを始めたと思い、全く乗れませんでした。
しかし、去り際に放ったこの言葉は100点です。
「しっかり練習しておけよクソガキ!」
最高です。
そんじょそこらの生真面目アスリートやデビューし立ての青二才ファイターには逆立ちしたって言えない台詞です。
以前、朝倉未来VS矢地祐介が行われた際に未来選手の放った一言
「クレイジービーの奴ら負けてばっかり…」
に対して、言葉では「過去の事だから水に流す」としながらもそんな大人ではいられ無いハズです。
クレイジービーを馬鹿にされるという事は朴選手からしたらKID選手の顔に泥を塗られたも同然でしょう。
選手として先が長く無い事も分かっている。百戦錬磨の経験からも戦力的に勝ち目が薄い事も分からないハズは無い。それでもファイターにはやらなきゃいかん時がある!そんな背中を後進に見せたい。
そして何より
舐められたまま終われるか、ボケ!!
これが本音の本音だと思います。
物議を醸す物言いでしたが想像してみて下さい…これがもし普通に
「がんばるので応援して下さい!」で終わっていてらどうでしょう?
「オジサン誰?」のフワフワした空気のまま、朝倉未来強かったねぇの予定調和で終わっていたと思います。
未来選手からしたら闘う必然性もメリットも無い訳ですから、あの言葉で
無理矢理闘う動機を押し付けられた形になります。
見た者の心に何かを残し、「次回へ続く」を作るのが本当のプロだと思うのでそういう意味で100点の台詞でした。
誰がどう観ても10回やったら9回はフルボッコにされるくらい勢いに差があると思います。
しかし、かつてこんな試合がありました。
勝村周一郎VS上田将勝
上田将勝選手は堀口恭司選手やホイラー・グレイシーにも勝利している修斗のチャンピオンでした。対して完全に当て馬だった勝村選手が乾坤一擲のニンジャチョークを極めて大金星を上げたのです。
※VS堀口恭司
全盛期真っ盛りのトップ選手に対してピークを過ぎかけていたと思われていた選手が挑んだという図式は今回と同じです。
只ではリングを降ろさねぇ!
という覚悟で試合に望む選手程恐ろしいものはありません。奇跡が起こるとしたらこういう時です。堀口恭司VS朝倉海もそうであったように、もしかするともしかするかも…………
試合に乗れない気持ちは変わりませんが、朴選手のそんな覚悟に注目すると景色が変わって見えますよというお話でした。
格闘技って面白いですね。
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