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「コペル事業部」のnoteをはじめて読む方へ
#はじめに
はじめまして、株式会社クラ・ゼミ CI戦略推進室 兼 コペル事業部 広報担当の那須です。公式noteを目に留めていただき、ありがとうございます。
私たちは1993年に「幼児教室コペル」を創業し、その後児童発達支援スクール「コペルプラス」を運営してまいりました。全国最大となる約500教室を運営しながらも、急激な成長拡大に対応が追い付かず、2024年5月30日に民事再生法の適用を申請。現在、株式会社クラ・ゼミの「コペル事業部」として、再建の道を歩き始めたところです。
このような状況下で情報発信をすることへの葛藤もありますが、あまり目にする機会のない民事再生当事者としての発信が、何らかのお役に立てれば、とも思っております。私自身、民事再生翌日の2024年6月1日に旧コペルへ入社し、広報および新規事業担当として、クラ・ゼミとコペルをど真ん中から見つめるという貴重な経験を日々積んでおります。
「コペルはどんな会社だったのか?」「教育理念や特徴は?」「クラ・ゼミ体制による再建の方向性は?」「社員は民事再生をどう受け止め、日々どう仕事と向き合っているのか?」といったテーマ等々について、発信してまいります。
#「コペル」の由来
◎なぜ「コペル」と名付けたのか?
地動説で有名な、ポーランド出身の天文学者「ニコラウス・コペルニクス」。16世紀初め、天動説が常識の中、物事の見方を180度変えたコペルニクスにあやかり、創業時に幼児教室を「コペル」と名付けました。「コペル」の名前には、「左脳(論理や効率性)優位の世の中から、子どもたちが左脳と右脳(感性や共生感覚)両方の才能を伸びやかに開花させることで、幸せな未来を創りたい」という想いを込めています。
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◎シンボルキャラクター「ペルくん」がしろくまの理由は?
「白熊(ホッキョクグマ)」の生息数は、世界にわずか26,000頭。地球温暖化の影響を受け、絶滅危惧種に指定されています。コペルでは、幼児教育・児童発達支援を通して、そういった「マイノリティーな存在である(白熊のように)子どもたちも含め、皆が思いやりに満ちて幸せに暮らせる世界」を目指したいと考え、「しろくまのペルくん」をシンボルキャラクターにしました。
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◎これからも大切にしていく「理念」は?
コペルが創業時から大切にしている言葉は「こどもの可能性は無限大」です。発達の偏りに関係なく、すべての子どもたちが自尊感情と自己肯定感を培い、脳の発達の著しいとされる幼児期に右脳と左脳をバランスよく育み「知性と心」をしっかり育てること。コペルで学んだ子どもたちが個性を活かして各分野で活躍し、手を取り合って心豊かな世の中を創ることを目指しています。
#「コペル」の歴史(ダイジェスト版)
◎1993年:福岡で「幼児教室コペル」を設立
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コペルは、共同創業者の 大坪 信之 & 可奈 夫妻が、自身の子どもを育てる気付きの中から生まれた幼児教室です。大坪夫妻は「子どもは興味のあるおもちゃには夢中になるが、同じおもちゃには短時間で飽きる」ことに着目し、「好奇心&集中力を維持させる」ため、100種以上のおもちゃや教材を我が子のために作成。提示の仕方を含め、子どもの反応を見ながら試行錯誤する中で、「子どもたちの興味関心を惹きつけ続ける」コペルメソッドの方向性が見えてきたといいます。
そして、教材が数百種になった段階で1993年に福岡教室を開校しました。順調に教室数が増えていき、先生たちが熱心に創ったオリジナル教材が4,000種類(!)を超えた時に「さすがにこれは多すぎる…」と。そこで「教材を年間2,000種類に絞り込み、体系プログラム化する」工程(スマホが普及しておらず、写真数千枚を体育館に並べて手作業で分類する、それは大掛かりなものでした!)を経て、今のコペルメソッドの原型が出来ました。
※コペルメソッドは「脳の発達が著しい幼児期に、子どもの興味を惹きつける多くの刺激を与えることで右脳(感性)と左脳(知性)の発育を促す」「子どもは集中力が高いものの、その持続時間が短い特性を持つ」という考え方のもとで構築された教育メソッドです。
◎2017年:児童発達支援スクール「コペルプラス」展開開始
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コペル創業期の新卒入社第1号となる、有元 真紀 講師。子育てを経て、とある児童発達支援事業所で発達に凸凹のある子どもの療育に触れたことで、「発達支援を、苦手の克服訓練だけでなく、子どもたちに沢山の成長のきっかけを与えるコペルのやり方で行いたい」という想いを強く抱いたそうです。
そして、実はコペル創業者の大坪 信之には、発達障害の特性によって、生きづらい幼少期を送った過去がありました。一方で、その「関心分野へ並外れた集中力を発揮し続ける」特性がコペルメソッドの開発につながりましたし、大坪の心の中にはいつも「発達の偏りに関係なく、自尊感情を育み、楽しみながら凸凹の凸を伸ばすコペルのレッスンを行いたい」という想いがありました。
折りしも2012年の法改正を機に、未就学児童が1割負担(当時)で療育支援を受けられる“児童発達支援事業所”への世の中からのニーズが高まったこともあり、「児童発達支援事業に携わる」ことをコペルとして意思決定。有元講師を代表講師として、コペルメソッドを土台に発達障害児の特性に合わせた療育プログラムを構築し、2017年に武蔵中原教室をオープンしました。そこから「楽しみながら長所を伸ばす療育」という理念やメソッドが世の中に支持され、100教室、200教室と教室が増えていき、スタートから6年強の2023年末時点で400教室を超え、児童発達支援では日本一の教室数となりました。
※「児童発達支援事業」は、2012年の法改正によって創立された、国の子ども向け認可事業です。
◎2024年:民事再生法の適用申請~新体制へ
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2024年5月30日、株式会社コペルは民事再生法の適用を申請しました。「児童発達支援を、より多くのご利用者様に届けたい」と教室を急激に増加したことで、結果的に多くのご利用者様・出資オーナー様に多大なるご迷惑をお掛けする形となったことを非常に重く受け止めております。民事再生に至った要因としては、先日の日経BP社(日経トップリーダー:2024年9月号)の取材記事にもございましたが、大きくは、
■ 急激な教室増加に対し、講師等の「人材確保」が追い付かなかった
■ FC契約内の黒字保証プランによって、「資金繰り」が悪化した
■ 教室毎の課題解決経験などを、「全体の集合知」に出来なかった
といった要因が考えられ、社員一同「社会性のある事業だからこそ、堅実な経営が必要だった」ことを深く噛み締めております。
民事再生法の適用申請後、翌7月には静岡県で学習塾および子どもの発達支援に携わる株式会社クラ・ゼミがスポンサーに決定(東京地裁による、事業譲渡の認可)。2024年秋より、旧コペルは「株式会社クラ・ゼミ コペル事業部」として第2章を歩むこととなりました。
※クラ・ゼミについては、別記事で改めて紹介していきます。
#「コペル」の主な事業概要
◎幼児教室「コペル」
30年以上の歴史をもつ「コペルメソッド」による、子どもたちの「どんな時代も生き抜く力」を育む幼児教室(全47教室)。コペルの幼児教育には、
■ 自尊感情と自己肯定感を育み、潜在能力を発揮する土台を培う
■ 右脳と左脳を使う配線を刺激し、知的好奇心と共生発想を養う
■ リベラルアーツを通して、思考の軸と自ら問いを立てる力を育む
といった特色があります。
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多種多量の教材(年間2,000種以上)を用いた「子どもの瞳を輝かせる」レッスンを行うのは、厳しい認定試験に合格した専門講師。親子で通う、脳の発育が著しい幼児期に脳全体に数多くの刺激を与えることで、IQ(知性)・EQ(心の知性)・SQ(社会的知性)をバランスよく育む幼児教室です。
※脳の成長における「適期」「臨界期」といわれる0~6歳(特に、脳の8割が完成するとされる3歳までが重要)の間に、脳全体を使えるための配線を刺激することで、人間が本来持っている右脳(感性脳)と左脳(論理脳)それぞれの潜在能力を引き出すことを、コペルでは全脳教育と呼んでいます。
◎児童発達支援スクール「コペルプラス」
「コペルプラス」は、発達に偏りをもつお子さまを対象とした、児童発達支援スクール(未就学児対象 約400教室 ※小学生以上のお子さまを対象とした「コペルプラスジュニア」もあります。)です。
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■ コペルメソッドを土台にカスタマイズした療育プログラム
■ 専門性の高い「教育型」 × 「個別療育」
■ 5つの柱(①バラエティに富んだ認知課題、②コミュニケーションと連動した言語発達プログラム、③子どものソーシャルスキルトレーニング、④感覚統合からのアプローチ、⑤自ら行動するためのABA理論)
といった特色をもち、療育では一般的な”出来ないこと・困りごとの訓練”という視点だけでなく、「楽しい遊びを通して、子どもの内なる能力を引き出す」方針による、教室運営を推進しています。
◎全脳教育型AIシステム「コペルン」
「コペルン」は、「コペルのレッスンを、より多くの方に届けたい」という想いからスタートした、これまで培ってきた30年以上の幼児教育に基づく、右脳と左脳をバランスよく育む全脳教育×AIシステムです。
現在開発中のサービスは、保育園や幼稚園での使用を前提とした「コペルンクラス」と、自宅でのご利用者向け「コペルンホーム」2本立てで、
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■ 幼児教室コペルの「右脳と左脳をバランスよく育む」知育・徳育レッスンを園やご自宅で受講できる「デジタルミニレッスン」機能
■ AIチャットの先駆者「rinna株式会社」と共同開発した、32年のコペルメソッドを凝縮した「AIペルくん」による会話システム
といった機能を備えています。中長期的には、旧コペルとクラ・ゼミの知見やネットワークを活用し、医療・教育・福祉・AIシステムを統合した「その人らしさを発見し・育む手助けとなる、AIを活用した個別最適化プログラム」の提供を志しています。
※現在プロトタイプの実証段階です。コペルンの開発ストーリーは別途発信していきます!
#「クラ・ゼミと旧コペル」に共通するものは?
クラ・ゼミと旧コペルがこれまで歩んできた歴史や社風、細かなことで言えば勤怠管理や人事評価制度など、あらゆることが異なる文化の2社がひとつとなって、新生コペル事業部として生まれ変わるまでの道のりは、決して楽なものではありません。
■ ご利用者様が安心・安定して教育・支援を受けられる「現場体制」づくり■ 現場を支える従業員が働きがいをもって、ワンチームとして成果を出せる「組織体制」づくり
■ 教育/福祉/医療関連事業を営むクラ・ゼミと旧コペル共同での、AI時代を見据えた「教育・療育分野における新規プロジェクト」推進
などをはじめ、やることは山積みですが、2社に共通するのは、「世の中で生きづらいと言われる個性や特性を抱えている方々含め、すべての人が最大限に自分らしさを活かして輝ける世の中を創りたい」という志です。
創業49年になる株式会社クラ・ゼミの理念「誰にだって輝ける舞台がある」と、旧コペルの理念「こどもの可能性は無限大」。泥臭く汗をかきながら、これらの理念を実現しコペルの信頼を取り戻せるよう、メンバー一同日々コツコツと、励んでいきたいです。