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クリープハイプ 夜にしがみついて、朝で溶かして ライナーノーツ

クリープハイプの最新アルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」のライナーノーツです。公式サイトで「ライナーノーツを募集します」というお知らせを見て、勢いで昨年3月に自分がnoteを開設していたことも、このためだったんだ!と思えました。

本当に大好きなクリープハイプのアルバムを解説って、考えると難しくなってしまって言葉が浮かばないので、素直に、自分がこのアルバムを聞いて感じたことと、曲を聞いて感じた感情を一部、絵で書かせていただきます。

1. 料理

アルバムの1曲目らしい、ポップでスピード感のある出だし。
料理の材料、調味料のように、沢山の言葉遊びが混ざっているけど、サビはとてもストレート。「そばにいてくれたら それで腹が膨れる」の言葉に、全てが込められている。そんな関係ってすごく素敵だなと思いました。

2. ポリコ

うねりのあるベースから始まる、ノリの良い曲!けど、少し陰を感じます。サビの「最近どう まあ別に普通 どうでもいいこと確かめあって」がとってもよくわかるなあって思うし「息してたいだけのはずなのに、足りない足りない足りないまだ」がとっても好き。

3. 二人の間

はじけるような、おもちゃ箱みたいに色んな音がする曲。聴くと楽しい気持ち、笑顔になれる!!新しいクリープハイプの雰囲気、真骨頂!という感じ。
長年一緒にいる、もう空気のような存在になっている家族や誰かとの何とも言えない「間」を、曲の間に入る空白や歌詞で表現されています。
「だからもう黙ってる」のメロディーがとても好きです。
沢山言葉は交わさなくても、会う回数が多くなくても、通じ合ってる、伝わりあってる感覚って大事にしたいし、そういう人を大切にしたいと思える曲でした。

4. 四季

これをはじめて聞いた時も、新しい!おもしろい!という気持ちになりました。
毎日起こっていることを四季に重ね合わせてテンポよく歌っています。春夏編と秋冬編で曲調が大きく変わるのですが、途中でピアノが全面に出てきて、それがよいアクセントになっていて、楽しいです。

この曲は、特に歌詞が大好き。各季節の出だしになっている「年中無休で生きている」という言葉。ああ、そうだな。自分の人生って年中無休だな。大変だけど、でもそれが素晴らしいんだな、って感じられます。
ほんとに好きなところが多すぎて切り取るのが難しいですが、特に好きなのは「秋」「年中無休で生きてるから 間違うけどしょうがねー」毎日一生懸命生きてたら、そりゃ間違うこともあるよな。逆に間違わない人間なんていないよな、と思えるフレーズでした。間違ったなって気づける人でありたいし、謝れる人、認められる人ってすごいなあと思えました。

5. 愛す

最初、タイトルが読めずにいました。聴くと、普通のラブソング?かなと思いきや、深い。
出だしの「逆にもう」というフレーズに、全てが込められている気がします。本当に好きだったんだな、でもそれが表現できない不器用な主人公なんだな。
好きっていう曖昧で不安定な気持ちがにじみ出ている曲だと感じました。それを、パーカッションなどを使っていることでそこまで暗く、悲しい雰囲気になっていないのが、新しいと思いました。

6. しょうもな

スピード感溢れる、これぞクリープハイプ!!という曲です。言葉遊びもたっぷり散りばめられています。

サビでは、何か、色んなぐちゃぐちゃした気持ちがにじみ出てくるんだけど、聴けば聴くほど視界が晴れていく感覚になります。曲のテンポ、疾走感がよりそうさせるのかもしれません。

好きなフレーズは「言葉に追いつかれないスピードで ほんとしょうもないただの音で」
言葉は、軽いし重い。捉え方は人によって違うし、それによって誤解も生まれたりもする。でも音楽の素晴らしさは、同じ言葉を使っていてもそれを音に乗せることができ、音として届くことで伝わる感情があるというのを気づかされました。

7. 一生に一度愛してるよ

もう、大好きな曲ですね!!これはファンへの極上のラブソング!と受け取りました。最初から最後まで、細部まで愛に溢れております。しょっぱなの「初期はもっと勢いがあったし 尖ってたのに」を聞いた時に、何だか嬉しくて、にやにやしてしまいました。きたー!クリープハイプ節!待っていました!という感じ。

でも、実はちょっとグサっていう気持ちもあります。だってやっぱりファーストアルバムは格別だから。痛いところをつかれたなと。笑
私は「オレンジ」でクリープハイプを知りました。2012年のアラバキロックフェスに出るアーティストを調べていた時にたどり着いて、Youtubeでオレンジを聴いた時の感激、感動、衝撃。その後すぐに「死ぬまで一生愛されてたと思ってたよ」を聴いて、仙台のパークスクエアのワンマンも行きました。そういう出会いの衝撃が強烈に残るので、ファーストはやっぱり特別なんです。

でもだからと言って、何枚目より何枚目が良いとか、ファーストしか聞かないみたいなことは起こらなかった。他のアーティストは、ファーストが一番よかったなって思うバンドも正直いたけど、クリープハイプに関しては、もうなんていうか、私の人生なので。違う領域にいて、アルバムが出る度に、良い曲に沢山出会える喜びをいつもありがとうございます。クリープハイプを聞いていない人生なんて考えられないです。
クリープハイプとファンの恋人関係を歌った、そんな曲と感じました。

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8. ニガツノナミダ

元々、CMソングとして作られた、放送されていた曲です。でもCMで流れる用の30秒が終わった瞬間に、曲調が大きく変わり、「30秒真面目に生きたから 残りの余生は楽しみたい」という本音が出てきて面白かったです。
ラストのサビの歌詞も素敵です。今自分たちが地に足付けている「ここ」を大切にしていると思いました。

9. ナイトオンザプラネット

ここまで突っ走ってきたアルバムの雰囲気をガラっと変える一曲。
キーボードとギターのハーモニーが美しい。そこに土台として流れているリズム、尾崎さんの声。4人の距離感、バランスがとっても心地良く、保たれている感じがしました。

サビの歌詞が大好きで「二十九、三十」を聞いた時と似たような感覚になりました。覚えやすいし、口ずさみたくなる。なんか、苦い思い出とか、恥ずかしい場面とか、そういうのを全て記憶から消し去るんじゃなくて、包み込んで溶かしてくれる曲です。それを夜から朝に変わる瞬間で表現するのが、単純にすごいなあ~って思います。あと、尾崎さんのラップ(語り)が最高にカッコいいです。

10. しらす

そして、ナイトオンザプラネットからの、急にこの感じ。カオナシさんWorld全開で、ちょっと怖い童謡の世界に引き込まれます。ずっとこの調子でいくのかと思いきや、後半にドラムやベースがどんどこ入ってくるところがあり、そこがたまらなくカッコイイです。ピアノなど色んな音遊びが入っていて、妖怪っぽいんだけど、可愛さもある一曲です。

11. なんか出てきちゃってる

これは、歌詞カードを見てびっくり!なんと2行です。

自分の中にある黒い気持ち、自分自身や他者への憤り、出口のないつまらない洞窟を歩いているような一日の終わりに、はあーってなる感じが、赤裸々に表現されているなあと感じました。
偶然ネジがゆるんじゃって。
しょうもない一日だった時に、自分自身に使っていこうと思いました。

12. キケンナアソビ

しらす→なんか出てきちゃってる→キケンナアソビを勝手に妖怪3部作と呼んでいます。その3部作のトリを飾るのが「キケンナアソビ」!!曲に存在感があります。
イントロが秀逸。ぞわぞわってして、本当にカッコいいです。妖艶さというか、エロスを感じます。クリープハイプは結構そういう歌詞の曲が多くて、何となく聞いてきましたが、ライナーノーツを書くにあたり改めて考えてみると、人間の欲求である性欲を、こうしていつも正面から音楽で表現できるのがすごいなあと思います。
そして、ずっと音が途切れないのではなくて、少し「余白」があることで、より曲のカッコよさを引き出しているのかも!?と思いました。

13. モノマネ

出だしを聞いた瞬間、ビビビ!ときました。もうこの曲好きです!ボーイズENDガールズのアンサーソングと知った時も嬉しかったです。(だからか!となりました。ボーイズENDガールズ、本当に大好きな曲なので)

男女の別れを「モノマネ」と重ね合わせていて。「モノマネ」って私の中では明るくて、楽しい”陽”なイメージだったので、余計に別れの悲しさが伝わるというか。切ない気持ちになる曲でした。

14. 幽霊失格

一つの映画を見ているような、美しいメロディーと歌詞です。幽霊なのに、生きている時のように、体調を心配したりしている所が切ない。幽霊なのに、寝息を立てていたりするところも、かわいくて切ない。イントロ、Aメロ、サビ、全てのメロディーがあまりにも綺麗で、美しくて。今までのクリープハイプで聞いたことがありそうで、無いメロディー。イントロのギターをオクターブ下げたと知って、そういうこだわりが効いているんだなあと感じました。
「成仏して消えるくらいなら いつまでも恨んでて なんて言わせる 君は幽霊失格」この歌詞は本当に泣けます。初めてタイトル聞いた時は、失格ってどういうことだろう?と思ったけど、幽霊失格ってそういう意味かと。「消えるくらいなら」の「くらい」がとっても切なさを引き立ててます。大好きなので、車で歌うのですが、いつも何かこみ上げてきて、泣いてしまいます。

幽霊失格

15. こんなに悲しいのに腹が鳴る

「今ここ」「この瞬間」を生きたいと勇気が湧いてくる曲。尾崎さん節もたっぷり入っていて、スカッとします。(秘伝のクソッタレとか)Aメロのメロディーが美しいです。繰り返し聞いてしまう曲。これから人生の色んな場面で、一生聴き続けていく曲になるな、と確信しました。

こんなに悲しいのに腹が鳴る2

以上、クリープハイプ「夜にしがみついて、朝で溶かして」のライナーノーツです。書くために、もう一回ガッツリアルバムを聴いて、感じて、幸せな時間でした。

本当は感じた感情をもっと絵で書きたかったのですが、こういう風に描きたいと思っても、画力がなく表現できなくて悔しかったので、2022年は絵を頑張りたいと思います!!

クリープハイプ、名曲が多いので、是非みなさん聴いてください!!

#クリープハイプ

#ことばのおべんきょう

#夜にしがみついて 、朝で溶かして


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