初めての子育て(と、家事)をスクラムでやってみたので振り返り #子育てエンジニア
この記事は、「子育てエンジニアAdvent Calendar 2021」25日目の記事です。
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皆さんこんにちは、コスケと申します。
東京に本社がある製造業でIoT分野のプロダクトオーナーを担当し、複業で企業のクラウドネイティブ開発を支援しています。また、AWSのユーザーコミュニティであるX-Tech JAWSやJAWS-UG千葉支部の運営メンバーとして、ミートアップやハンズオンの企画に携わっています。Scrum Incさんの、認定スクラムプロダクトオーナーという資格を持ってます。
プライベートでは生後1年の黒猫 (こまち) と生後2ヶ月の長男の下僕で、サウナと料理とサーバーレスとプロダクトマネジメントが好きです。
Twitter : @coosuke
なぜ12/25にアドベントカレンダーを書くのか
さて今日はクリスマスです。そして私たち夫婦にとって初めての子供となる長男が、今日でちょうど2ヶ月になりました。生誕2ヶ月を記念して、「子育てエンジニアAdvent Calendar 2021」のアンカーに手を挙げさせて頂きました。
この2ヶ月間、私たち夫婦は、ソフトウェア開発手法の一つであるアジャイル開発、そしてアジャイル開発の手法の一つである「スクラム」を、子育てに、更には家庭の運営に取り込んでみました。すると、とても学びが多かったので、ここでその結果を公開しようと思います。
本題に入る前に
若干脱線タイムに入ります。すぐに戻ってまいります。
息子へ
まずは生誕2ヶ月を迎えた息子に、エモい話を聴かせようと思ったのですが、僕らのaiko姐やんが全て代弁してくれましたので、動画を貼っておきますね…
(そもそも2ヶ月の赤ちゃんにエモい話を聴かせても全く響かないよね、というツッコミは脇に置きましょう…)
ここでは書かないこと
そもそもアジャイル開発やスクラムとは何ぞや、という話は、それだけで一冊の本を書くくらいのボリュームになっちゃいますので、ここでは詳しく書きません。簡単にサラッと書きます。
アジャイル開発の最も根幹を成すのは以下の有名な一節です。
そしてこのアジャイルソフトウェア開発宣言を実践する手法の一つが、スクラムです。こちらもスクラムガイドというものが出されておりますので、スクラムについてここで説明するのは割愛します。
アジャイル開発とスクラムについて体系的にまとめられた書籍はたくさんあります。ぜひ年末年始のお供にどうぞ。
我が家のスクラムはこれだ
さてここからが本題です。ここまで読んで頂きありがとうございます。そしてお待たせしました。
スクラムチームの編成
我が家のスクラムチーム構成です。
父親:私です。ちなみに我が家の序列は一番下です。息子の誕生〜生後1ヶ月になるまで4週間育児休業を取りました。
母親:妻です。里帰り出産ではなく、自宅から通える産婦人科で出産しました。
ネコ科の長女:1歳4ヶ月の黒猫です。インスタはこちら → こまち
ヒト科の長男:息子です。
実質スクラムチームとして稼働できるのは父親と母親の2名ですね。そして2名の間には特にこれと言って役割分担はなかったです。これは後程詳しく書きます。
強いて2人のやったことをスクラムチームの構成に照らし合わせると、母親である妻が、やりたいこと・やらねばならぬことを定義してタスク化してくれたという意味ではプロダクトオーナーで、父親である私が、課題解決のためにツールを用意した、という意味ではスクラムマスターだったのかもしれません。
スクラムチームのルール
スクラムを立ち上げるときに、インセプションデッキを開催して、我々は何のためにいるのか、やることとやらないこと等、スクラムチームのローカルルールを決めると思います。我々のスクラムチームのローカルルールは以下のようなモノでした。
1スプリントの期間は1日とする
毎日朝イチに、その日にやらなければならない家事作業(育児を含む)を、スプリントバックログ(やることリスト)として夫婦で共有する
夜寝るまでの間に、スプリントバックログを順に消化する。ここにリストされていないことは、差し込みで必要になった場合を除いて、基本はやらない
家事作業は、担当を決めずに、その時出来る方がやる。その為に作業内容と作業のゴールを予め夫婦で共有する
毎晩寝る前、または、何か問題が起こった場合は夫婦で振り返りを実施する。出来たことや良かったことは継続し、課題や問題は原因を深掘りして再発のためのアクションを打つ
スクラムを運用する為に導入したツール
子供が生まれると物入りで、なんでもかんでも
状態で、勿論我が家も購入した物は数多あります。ここではスクラムを円滑に運用する為に導入したツールに絞って話します。
購入した物が知りたい!という方は、ここのコメントに書いて頂くか、この記事をTwitterでシェアする際にコメントして頂ければ、別のブログで書きます。
Slack
まずは泣く子も黙るSlackです。家族や友人同士の連絡は、LINEだったりFacebookのメッセンジャーなどのメッセージングアプリを使う人が大半だと思います。ただ、これらのメッセージングアプリは1人 1スレッドです。そこで家事のことや育児のことなど、色々な話しをすると、あっという間にスレッドが流れてしまいます。そのために、さっき話したことが後から探すのに時間がかかって大変、という課題がありました。ここで考えたアクションは、1テーマ 1スレッド(Slackの場合はチャンネルと呼びますね)にする。その為には、メッセージングアプリの代わりにSlackを使う方が得策だと考えました。Slackは私も妻も仕事で使っているので、違和感なく導入出来ました。家族で使う分には無料プランでも十分ですね。
Slackで家族のスペースを作って、例えばその日のスプリントバックログを流すチャンネル、お買い物のチャンネル、子供関連のイベントを話すチャンネル、夫婦で予定を共有するチャンネル、という具合に、トピックごとにチャンネルを増やしていきました。
Googleカレンダー
Googleカレンダーには、カレンダーを特定の人と共有する機能が複数あります。我が家はチームカレンダー機能で、夫婦共有のカレンダーを作りました。私の職場は基本的に在宅勤務です。またプライベートでもこのご時世で外を出歩く機会は減りましたので、自宅で過ごす時間は多いです。とはいえ、自宅からリモート会議に出ることがあったり、ごくたまに出社する日もございます。そんな時は家事や息子の世話が出来ないですから、その予定を夫婦共有のカレンダーに入れて、妻と共有するようにしました。妻も自分の予定を共有のカレンダーに入れてくれたり、息子のイベントの予定を入れてくれます。これに加えて、先ほどのSlackとGoogleカレンダーを連携しました。Slackに夫婦共有のカレンダーを通知するチャンネルを作り、GoogleカレンダーからSlackへ通知をするようにしました。具体的には、Googleカレンダーで予定を追加・変更・削除すると、それをSlackで通知出来るようになります。また、Slackでの通知は他にも、週のはじめに1週間の予定を通知したり、毎朝その日一日の予定を通知したり、カレンダーの予定時間が近づいたら通知したりするように設定を入れました。Googleカレンダーを共有+Slackと連携することにより、私が家事や息子の世話を出来ない予定を可視化して、妻も事前に準備が出来るようになったと思います。
ぴよログ
ぴよログは、育児の記録を保存するアプリです。これを夫婦それぞれのスマホへダウンロードして、息子の記録を可視化・共有化しました。これにより、次にミルクを飲ませる時間を把握したり、睡眠や排泄の頻度を観察できるようになりました。また、ぴよログは、スマートスピーカーにも対応しています。これが結構便利でした。例えば赤ちゃんを抱っこして手が塞がった場合でも、スマートスピーカーに話しかけることで、育児の記録を漏れなくアプリに残すことが出来るようになりました。
2ヶ月スクラムをやってみてわかったこと
そんなこんなで、息子も無事に生後2ヶ月を迎えることが出来ました。ほぼ2ヶ月、こんな感じでスクラムやってきたんですが、初めからこれ!という風にやってきたわけではなく、妻と共々「あれを試してみよう」とか、「これはダメだったから明日からはこうしよう」とか、そういう小さな実験と改善を毎日繰り返しアップデートをしながら、円滑に家庭を運営出来るように努めてきました。この小さな実験と改善は終わりはなくて、これからも日々アップデートし続ける必要があると思います。
とはいえ、たった2ヶ月ですが、学びはとても多かったので、それをまとめてこのアドカレを〆たいと思います。
①夫婦で包み隠すことなく何でも会話をしよう
一番大事なことを一番最初に持ってきました。家庭の一番土台は夫婦関係だと思います。この土台をしっかりと強固なものにするためには、お互いを信頼する(≠ 相手に期待する、のとは違います)ことが必要。そのためには、何でも包み隠さず会話できる関係性が重要だと考えます。特に子供が生まれると、否が応でも家庭内の優先順位は子供が一番上になります。それに伴って夫婦でコンセンサスを取らなくちゃいけない場面が多くなります。なぜ夫婦の会話が必要かというと、これは単に育児をどうするとか、家事分担をどうするとか、そういう枝葉の話ではなくて、もっと根本的に「これからの我が家の運用をどうしようか」という話だから、だと思っています。よって、どちらかにお任せにして済む話ではないと思いますし、裏を返すと相手が協力的でないから…と、ヒステリックになってしまうのも(気持ちはわからなくはないけど)、それはちょっと違うな、とも思います。夫婦は夫婦であると同時に、家庭を守るチームです。チームの中では情報はオープンにすべきですし、問題や課題が出てくればチームで話し合って解決のためのアクションを考えるべきです。
②家事はもはや女性がやるものでも分担するものでもなく、その時出来る人がやるもの
我が家では家事の分担を決めていません。その時その場に応じて、出来る人がやることにしています。この家事は特定の誰がやる、という決まりが無いです。もちろん家事によっては私をやることが多いものも、妻がやることが多いものもあります。そういう家事でも、どちらかに役割を固定しているという意識はあまり有りませんし、例えば妻が出来ない場合は私が代わりにやることも多々あります。
家事や育児を夫婦で分担する考え、特に女性が家庭を守り、育児も母親が担うという考えはまだ根強いと思います。しかし共働き家庭が当たり前になった今となっては、もはや時代に沿わない古いものだし、この考えが女性パートナーの負担を増やしているのでは、個人的には考えます。
我が家では家事はその時出来る人がやると述べました。このために取り組んだことをまとめます。
1. 家事は夫も妻もどちらも出来るようにする。
これは子供が生まれるとか関係なく、結婚して家庭を持ったときから意識したほうが良いです。家事は覚えることが多いので、ただでさえ覚えなくちゃいけないことが多い出産前後よりも、特に家事が苦手な方はより以前から出来るように訓練しておくのが得策です。
2. 家事が得意な人は苦手な人に教えてあげる
これも家事に関する情報をオープンにすべき、に通ずる話だと思いますが、家事が得意な人は苦手な人に教えて差し上げることで、家事の内容という情報をチームでオープンに出来ると考えます。私も家事はどちらかというと苦手(料理は好きですが、掃除と選択は超苦手)です。そこで初めてやる家事なんかは、妻にハウツーを教えてもらいます。
3. 一つ一つの家事に、どこまでできればOKかを夫婦間で合意する
スクラムでいうところの「完了の定義(DoD)」というやつです。家事が得意な人は、苦手な人にお願いした家事を見て、「なんで言ったことが出来ていないのか」と嘆くことはありませんか?それは、家事が得意なあなたと全く同じレベルのアウトプットを、家事が苦手な人にも暗黙的に期待しているからであり、そのレベルまで達しないためにそうなっているんだと、私は考えます。そうなる前に、「どこまでできればこの家事は完了か」を言語化して相手に伝える必要があります。
そしてこれら3つを達成するためには、夫婦間のコミュニケーションはとても重要ということです。
③情報はあくまでも「他者事例」として参考程度にとどめる。情報よりも目の前にいる子供を観察する
ネットだったりSNSだったりで、育児に関する情報は溢れかえっています。でも、子供は本当に十人十色なので、どの情報が自分の子供に当てはまるかなんて、誰もわからないと思います。ネットやSNSで見る情報は参考にしてもいいけど、鵜呑みにしないことが大事です。鵜呑みにしちゃうと、そうならなかった場合に「どうしてウチの子供は違うのか」と余計な悩みごとが増えてしまいます。それよりも自分の子供をよく観察することが大事です。そしてネットやSNSで見た情報は試してみて、結果をよく観察する。結果が良ければそれで良いし、ダメだったらその原因は何かを探る。育児は日々実験の繰り返しだと思います。
④母ちゃんを定期的に休ませよう
特に産後からそれほど経っていない母親は、出産のダメージと育児で身体はボロボロになっていると思います。定期的にまとまった睡眠を取る時間を設けて、その間のミルクやおむつ交換は、父親が請け負うことで、母親の体力回復を早める努力をしましょう。そのためには父親も家事や育児が出来るようにならないとダメです
⑤父ちゃんは育児休業を取ろう
ここまで読んでくださった方はもはや察していらっしゃるかと思いますが、家事や育児は母親に任せるのではなく、夫婦でスクラムを組んで、お互いに協力しながらやるものです。そのためには父親も積極的に育児休業を取るべきだと考えます。私の場合は、有給休暇と組み合わせて合計1ヶ月育児休業のために会社を休みました。会社の仲間が理解してくれたのも大きいですが、私はこの休みをとって良かったと思います。何なら1ヶ月じゃ短くて、男性もせめて3ヶ月くらいは育児休業してもいいんじゃないの?と思うようになりました。
3ヶ月も休んだら、仕事どうするの?と思われる男性は多いかもしれません。でも、家庭や子供よりも優先度の高い仕事ってこの世にあるんですかね?いやいや仕事は大事だろと思っている男性は多いでしょう。でもそれは事実ではなくて、そう思わせている理由は他にあると思います。例えば、仕事が属人化していて、代わりを担ってくれる人がいないとか。仕事よりもその会社の組織的なところに原因があると、私は思います。
自分の子供が赤ちゃんでいる時期って、自分が思っているよりもあっという間に過ぎ去ってしまいます。たった数ヶ月の間でもいいので、仕事のことは忘れて、生まれてきた自分の子供と向き合う時間を作っても良いのではないでしょうか。
まとめ
思ったよりも長くなった。そして書いているうちに気がついたらもう27日になってしまった。
これを読んで、今まであまり家事とか育児をやってこなかったそこのお父さんが、少しでもお母さんや子供と一緒に過ごす時間が今までよりも1秒でも長くなることを切に願います。
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