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苦しんだ2024年を振り返ります

皆さん、こんにちは。coordimate代表の飯野です。
あっという間に2024年が終わろうとしていますね。
早すぎてちょっと怖いなと思っています。
歳をとると1年が早く感じることにも実は法則名がついているみたいです。
その名も「ジャネーの法則」。
簡単に言うと歳を取るにつれて自分の人生における「1年」の比率が小さくなるため、体感として1年が短く、時間が早く過ぎると感じるということらしいです。

ジャネーの法則をもとにした1年の体感時間(引用:北祐会ブログ)

この法則に則ると私の1年は9日間くらいの体感・・・そりゃ早いわと思いますw(逆にそんなに短いか?と思ってしまいましたが・・・)
そんな私の体感時間9日は本当に、本当に濃厚な9日間でした。
そして苦しかった。
知らぬ間に10円ハゲが2個もできるくらい苦しかったw
今日はそんな1年を振り返り来年や未来の自分たちへ、そして、同じような境遇の方に少しでも勇気を分けられたらなと思い、振り返りながらまとめて行きたいと思います。



どんな方に読んでいただきたいか

こんな方にはもしかするとお役に立てるかもしれません。

  • 大企業の中で新規事業立ち上げをしようと考えている方

  • エンジェルやシード期で資金調達が難航している方

  • シード資金調達後、なかなか事業が成長せずに悩んでいる方

自己紹介

株式会社coordimate代表取締役CEOの飯野と申します。
2011年にNTTドコモへ新卒入社し、入社後、法人営業、M&AやPMI・出資先の経営管理、ドコモグループの教育事業の中核子会社にて教養コンテンツの企画・制作・運用の責任者や経営企画担当マネージャーとして中期戦略策定を行なっておりました。2019年より兼務でドコモ内の新規事業立ち上げにも挑戦し、4年間の挑戦を経て2022年7月にcoordimateを立ち上げ。2024年4月よりドコモグループの新規事業共創プログラム「docomo STARTUP」における「STARTUPコース」適用第一号案件群としてスピンアウトし現職となっています。

coordimate紹介

資料などもあるのですが、この動画が一番わかりやすいので、もし興味を持ってくださった方はぜひこの動画をご覧ください!(1分51秒です)

その他、立ち上げた経緯などはこちらをご覧ください。

2024年の総括

いきなり結論なんかい!!って思われた方もいると思いますが、先に書いちゃいます。結論は「お金を稼ぐことは難しい」ということを骨身に沁みて感じました。もっと正確に言うと「誰かに何かしらの便益を継続的に提供しながら、その便益を価値に変換していただけるタイミングや場所を増やし、感じていただいた価値の対価として継続的にお金をいただくことが」難しいということです。いやいや、ビジネスの基本やん!って思われた方もいると思います。そしてそうなんです。そうなんですが・・・これが思っていた以上に難しいと言うことに、恥ずかしながらスピンアウトをして直面しました・・・これは本当に経営者としての私の力不足の何者でもないのですが、逆に他の方には絶対直面して欲しくないなと思い、敢えて恥を捨てて書き記していこうと思います。

「定数」と「変数」という概念

マーケターとして有名な刀の森岡さんが「初耳学」と言う番組で定数と変数についてお話しされていました。
(番組を見たい方はこちらをご覧ください)

森岡さんが考える「定数」と「変数」

森岡さんは定数を「自分の力ではどうしようもない事」、変数を「どうにかしなくてはいけない事」と定義されており、この動画を見た時に「ビジネスシーンも全く同じだな!」と思いながら見ていました。
そうなんです。見ていただけで「理解」はしていなかったんです。

2024年の振り返りとして自分の中で強烈に感じていることは、事業における「定数」を一刻も早く決めないといけないという事です。
これ矛盾してますよね。自分の力ではどうすることもできない事=定数だとするのであれば、そもそも決定権は自分たちにないことになります。
既存事業や人生においては上記のような定義で良いと思います。ある程度の制約条件(相手の行動や思惑、会社の方針など)の中で自分たちができることにコミットしていく、そう言うことを森岡さんは言っていると思っていたのです。そしてこれが新規事業やスタートアップの0→1にも当てはまると思っていたのです。でもそうではなかったんです。

変数は定数があるからこそ

お客様が持つ課題にブッ刺さる便益、そしてその便益を提供することで感じていただける価値、その対価。この「セット」こそが0→1における「定数」なんです。これがないと、変数自体が生まれないんです。自分たちでどうにかしないといけないことさえも定まらないんです。
これが相当苦しかった。
幸いにも、私たちはお客様が持つ課題やそのインサイトはものすごく正確に捉えることができており、コンセプト自体はブッ刺すことができていました。実際に広告費を1円もかけていないにも関わらず新規ユーザーは数千人単位で増えています。ただ、感じていただいた価値を対価としてもらう部分を定数化できなかったが故に、最後まで事業の根幹である「お金を稼ぐ」という部分が固まりきらない1年となってしまいました。

今から挑戦する人、挑戦中の人へ

事業を立ち上げる基本中の基本で、「何を今更言ってんねん」「逆によくそれでスピンアウトできたな」と思われるかもしれません。そんなお言葉も甘んじて受け入れながら、声を大にして言いたい。「顧客・課題・便益・対価」これを定数化した状態で事業を始めてください。もしどれか一つでもかけているのであれば、今すぐにその穴を埋めてください。
「走りながらできるでしょう!」と考える人もいると思います。私も思っていました。そんな甘くないです。地獄を見ます。絶対にこの4つを定数化してください。ここが定数になるからこそ、初めて変数側に腰を据えて取り組むことができ、結果的に事業成長につながるんです。

2024年の活動

いやー・・・自分で書いていても恥ずかしいなって思いますが、正直に全部書いていくことで自分たちの戒めにもなると思い勇気を出して書いてみました。
ここからは実際に私たちがどのような変遷を辿ったか書いていこうと思います。山あり谷あり、嬉しいことも悲しいこともたくさんありました。人生で一番だったんじゃないかなって思います。ここからは長いので、興味がある方のみ読んでいただければと思います。

スピンアウト前夜(2024年1月〜3月)

docomo STARTUPには育ててきた事業をドコモ子会社にすることでExitするAFFILIATEコースと、事業オーナー自身がリード投資家を見つけてくる条件で、ドコモからマイナー出資を受けExitするSTARTUPコースがあります。

docomo STARTUPのプロセス(ホームページ引用)

STARTUPコースは2023年7月よりスタートしたのですが、私たちはこのSTARTUPコースの第一号案件候補として社内審査を通過し、リード投資家探しを2023年9月ごろより開始していたのです。
30社以上アタックし、50回以上はピッチしたと思います。資料のバージョンも0.1から5.0になるまでアップデートし続けていました。
VCの方との繋がりがなかったので、最初はドコモからVCへ転職された人をたどり、個別にメッセージをして面談させてもらいました。反応が芳しくない時には「御社での検討には上がらないかもしれませんが、御社からみて私たちの事業に合いそうなVCさんや担当者の方を3人紹介してもらえないでしょうか」とVC版わらしべ長者?的な活動を愚直にやり続け、だんだんとお話を聞いてくださる方を増やしていきました。

この時界隈の方から「問い合わせフォームから面談依頼をしてくる人は、関係者を探し当てる努力をしませんでした、と吐露しているようなもの」という話を聞き、頑なに人からの紹介に頼った活動をしていました。
ただ、スピンアウトしてみて、そこについては全然関係なかったなと感じています。結局問い合わせフォームからだろうが、紹介してもらってだろうが、短い時間に事業の魅力を示せるかどうかの本質が変わるわけではないのでそんなことで悩むのであれば、やれることを全部やり切るためにガンガン問い合わせフォームから行っても良いんじゃないかなと思いました。

資金調達は2度とやりたくない。そんなことを思うほどしんどかったです。お断りをされる度に、我が子のように育ててきた事業、自身のアイデンティティ全てを反映したような事業を否定されることで、自分自身がこの世に必要ない人だと言われているような感覚になっていきました。
忘れもしない2024年2月8日。2月中旬までにリード投資家が決まらないとスピンアウト自体が白紙に戻ってしまう中で、最後のVCさんよりお見送りの連絡をもらいました。14:00頃にご連絡を頂いたのですが、その日の記憶は何もないくらい頭が真っ白になりました。
4年間で6回ピボットし、何度も挫折を味わってきましたが、初めて「越えられないかもな」と思ってしまった瞬間だったかもしれません。
しかし翌日から、ドコモで定められている期日までは諦めないと気持ちを奮い立たせ活動を再開しました。
その時に藁をも縋る気持ちでRelicさんとお話をさせていただき、その場で北嶋社長から「私たちも一緒に戦わせてください」とお話をいただくことができました。2月15日のことです。
あの時の気持ちを「言葉に表せない気持ち」と言うんだなと本当に思います。Relicの皆様には本当に感謝してもしきれないです。1週間で世界が変わったんです。

そこからドコモ内でもピッチ等を行い、3月にスピンアウトが確定し、4月より正式に活動開始となりました。

今思っても痺れる展開だったなと思うのですが、本当に安西先生の言うとおり、諦めたら試合終了なんです。諦めずに何とかするんです!!!
それをスピンアウト前夜で刻み込まれました。

安西先生名言

スピンアウト後(2024年4月〜12月)

早速試練が訪れます。マネタイズの柱にしようと思っていた事業をなかなか立ち上げることができなかったのです。そこは本当に私の甘さでしかないのですが、そこから急ピッチで別プランを実行していきました。

機能開発と並行して連携パートナーや補助金を取得することで、マネタイズしながらの事業運営資金の獲得に奔走しました。
合わせて、銀行2行からの融資を受けることができ、資金面の問題は解決されました。
そんな中で転機が訪れました・・・・

FTS INTREPRENERS AWARD第一回受賞者に選出!!!
これが本当に大きな転機となりました。

受賞やForbes JAPANへの掲載により、会社や飯野自身の信用度が一気に上がり、そのタイミングで商談していた企業様とどんどん深くお話しできるようになっていきました。

また、事業化を進めていたスマートミラーのビジネススキームも固まり、ついに11月22日のNTT DOCOMO VENTURES DAYにてお披露目することができました。ドコモ前田社長にも体験いただいたり、当日は1分も休む時間がないほどブースに長蛇の列ができ、たくさんの方に体験いただくことができました。

そんな状況を渾身のピッチにまとめ上げ、三菱地所とユーザーベースが主催するイベントにてぶつけた結果、見事日経ビジネス賞をいただくことができました!!!

この勢いで現在大手デベロッパー様、百貨店様や海外のお客様との商談も始まっており、8ヶ月遅れでようやく大きなマネタイズの柱が動き出そうとしています。

この8ヶ月、減っていくキャッシュと睨めっこしながら事業立ち上げに奔走してきました。そして今だからこそ、VCさんがあの時出資を見送られた理由もわかる気がしてきています。
本当は今の状況でスピンアウトするべきだったのかもしれませんが、逆にスピンアウトし、生きるか死ぬかの中でもがき苦しみながら、スピーディーにチャレンジできたからこその今何だろうなとも思っています。

だからこそ、今から挑戦する人、挑戦中の人には声を大にして言いたい。
絶対に「顧客・課題・便益・対価」これを定数化した状態で事業を始めてください

2025年

もがきながら撒いてきた種が、色々なところで芽が出始めています。
そしてようやく「変数」側を頑張れるフェーズに入ってきます。
2025年は変数を洗い出し、どこを頑張ると良いのか、どこは頑張らなくてもいいのかをしっかり見極め、事業を科学することに挑戦したいと思っています。元々ドコモ内で商用化された際にも、ユーザー行動のマジックナンバーを突き止め、そのナンバーに応じた体験設計を行い、KPI管理するなど、事業を科学している部分も評価され商用化にこぎつけた実績があります。
2025年は原点回帰ではないですが、2024年に積み上げたことを可視化し、事業を科学することに取り組んでいきながら、成長できる土台を必ず作り上げたいと思います。

最後に、最近xでみた画像でプロ野球選手の菊池雄星投手が語った「練習する理由」について載せて締めくくりたいと思います。

菊池雄星投手が語った練習する理由

線形的な成長ではなく、指数関数的な成長する要諦を掴むために練習するんだというコメントは、「努力」の認識を変える内容だなと強烈に感じました。2025年は2024年以上に打席に立ち、成長するコツを掴むための1年にしていきます。

最後に、私の経営者としての能力が足りず、幾度となく振り回したにも関わらず、熱量高く取り組んでくれたメンバーのみんな、本当にありがとうございました。そして支えてくださった関係者の皆様もありがとうございました。
2025年は皆さまと更に飛躍の1年にしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

チームメンバーで打ち上げ、盛り上がりすぎてみんな顔が疲れてるw

それでは、皆さま、良い年をお迎えください。

coordimate 代表取締役CEO 飯野健太郎

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