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改造カブ 2023#28 キャブレタの話

もとはHA02のスーパーカブ90なのだけど、クリッピングポイントの105ccキットと強化クラッチが載っている車両である。
500kmくらい走ったところで点検してほしいと言われ、タペットの再調整をやった。
ところが、アイドリングの状態が良くなくて、なにかリズム感がない。

コンマ数ミリの調整で、アイドリングが不安定になるほどのバルブリフト量が変わるとは考えづらいので、運悪くキャブレタの状態が変わったのであろうと考えた。

このキャブレタもボアアップキットと同時に購入したそうで、PZ22と刻印のような印刷のようなものがキャブレタボディについている。
はて、PZってなにものだ?

キャブレタのメーカーは、かつて日立も生産していたようだけれど、いまはケーヒンとミクニの二社以外には見かけない。
あるショップでは、ケーヒンはすでに製造をやめた、と言っていたが調べてみると、日立グループ傘下で生産はしているようである。
キャブレタの新型車が発売されるとは考えづらいので、両社とも業態を変えていくのであろう。

さて、キャブレタ車のアイドリングが不安定な場合、まっさきに思い浮かぶのは、スロー系の不調である。
ということで、スロージェットを取り出してみた。

真鍮製ではない。
そして、見たことのないカタチをしている。

そもそも、キャブレタのジェットはなぜ真鍮なのか?
理由のひとつは、キャブレタの本体はアルミでできていて、さらに柔らかい素材でないと本体が損傷する可能性があるから。
もうひとつは、非常に小さい穴をあける加工は、固い金属では難しいから、である。

現代の加工技術であれば、たとえチタンのような固い金属でも、コンマ数ミリの穴を、まっすぐにあけることは可能だと思う。
その産物が目の前にあるが、スチール製のクロームメッキではないかと思う。
キャブレタボディのネジ山を痛めるかどうかは度外視されているとしか思えない。

クリッピングポイント社のHPをみても、スロージェットはバリエーションがなく、1種類だけ、しかも番手の明記がないものが販売されている。

これはどういうことなのかと想像するに、このPZというキャブレタは、セッティングすることを想定していないとしか考えらない。

そうやって販売されるキャブレタがあるのか、と疑問を持たざるをえないが、アマゾンでPZキャブレタを検索すると、安いものは2000円余りで買える。
ケーヒン社製のスロージェットは単品で2000円くらいすることと兼ね合わせて考えると、スロージェットが不調と感じたら、安易に新品キャブレタに替える人も多いのであろう。
そういうものではないと思うけどな。


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