見出し画像

マグザム 2023#14 フロントホイールベアリング交換

SG17J
あまり人気のない車両ではあるけれど、縁あって何台かめんどうをみている。
この車両は3カ月ほど前に駆動系の交換を請け負って、作業後に試乗したところ、ハンドルにゴリゴリした感触があった。
受け渡すさいに、気になったことはないですか、と聞いてみたが、
「わからない」
が答えであった。

こういうことは、言われて初めて気づく、ということが多い。
それまでまったく気にしていなかったが、言われると気になってしかたがない、となる。
タイヤにヒビ割れ出てるよ、と言われたとたんに運転が怖くなったりするのは、よく聞く例だ。

スクーターだし、峠道を激しく回るような乗り方はしないだろうけど、言わなければよかったとちょっと思った。
「放置しておくとどうなります?」
と問い返されて、気持ちよく乗れない、と答えた。

気持ちよくない、を実感したのかどうかは聞かなかったが、ベアリングを替える気になったらしい。
では、やりましょう。
と作業をはじめたが、マグザム、作業性が悪い。
他のマグザムも含め、前輪を外すのは初めてだったので、探りながらの作業のせいもある。

マグザムに限らず前輪を外す場合、車体を支える手段を取らないとならない。
適当な場所にジャッキをかけるのが手軽な方法で、車体の下を覗き込んでポイントを探した。
が、ない。
前輪のすぐ後ろはカウルがフレームと接していない感触がするし、その後ろはラジエーターがある。
ここでジャッキアップしたら、なにかが破損する可能性が高い。
といって、ラジエーターよりも後ろ側で持ち上げても、前輪が浮かないかもしれない。
カウルを外してフレームをむき出しにするか?でも、マグザムのカウルはめんどうなんだよな。
ひとつずつが単独でついてなくて、少しずつ重ねてあるので、場所によってはパネルを順番に何枚もはがさないと割れてしまう。

天井からチェーンが下りているなら簡単なんだけど、ないものはしかたがない。
で、決めたのはフロントホイールが外れている間だけ、フロントフォークの先端を台に載せておく。
どのみち、うちの設備では車体の水平は確保できないから、支えていればよしとしよう。

さて、交換するのは左右ベアリングと間に挟まっているカラー、それとオイルシールが1つの計4点。
片方のベアリングを抜けば、反対側は裏から叩いて外すことは可能だけれど、ぼくは両方ともベアリングプーラーを使う。
叩いて素直に外れればよいけど、手がすべって狙っていないところを叩いたりしたら、悲しいからだ。
だいたい、ベアリングプーラーなんてめったに使わない道具を持ち出したのに、使わないのはもったいないではないか。

外れたベアリングはこれといっておかしな感じはしない。
はて、ゴリゴリしたハンドルの感触はベアリングが原因ではなかったのか?
ベアリング自体はそれほど高価なものではないので、外したからには新品を入れる。
日本製のベアリングは世界一の品質なのに、安いよな、といつも思う。
もっとも生産は台湾が多いようだけど。

一方のベアリングを叩きこむときに、反動で反対側が外れやすいとの記事がネット上には多い。
21世紀以降の車両はたいていホイールがしっかり加工されていて、こちらから叩いてもあちら側が抜けることは基本的にはない。
カラーが斜めに入ってしまうとありえるかもしれないけれど、いまだ体験したことがない。
今回がその初体験になるかもしれないので、こちら側とあちら側を繰り返し点検して、ベアリング装着は完了。

ホイールを立ててみると、ベアリングに挟まれたカラーが中心よりも少し下側に見える。
ベアリングが規定の位置に収まっていないか?と何度も見直したが間違いはない。
わずかに、なので問題なしとするが、シャフトを入れるのに苦労するな、これは。

マグザムは車体の右側からアクスルシャフトを入れなければならない。
右から順番に、メーターギア、ホイール、カラーである。
狭い。
逆から入れると、メーターギアがホイールに収まっている分、楽なのだろうか?
とヨコシマなことを思ったが、メーターギア側からシャフトを入れないとならない。
フロントフォークのアウターチューブが左右同じ形をしていなくて、右側はボルトの頭がはまる形状をしているから。

今回はフロントフォークを動かすことができない状態で作業したが、フォークは固定してあったほうが楽ではないかと思う。
狭いところで、アクスルを押しつつ、メーターギアをつかみ、ホイールカラーの穴を探る。
これに、フォークが動かないように支える、を追加すると考えたら、少なくとも文章上では無理がありそうだ。

意外とできてしまうが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?