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ベクスター150 2025#2 エンジン換装
いつかやろうと思っていることは、けっきょくやらない。
とは、片付けに腐心している人がよく口にする。
ヒマができたらやる、というのも同様で、ヒマは作らないとできない。
昨年にクランクケースを割ったエンジンを、いつ装着するかは、まさしく、いつかやろうと考えていた。
まる一日の作業、場合によっては複数日が必要になるので、なかなかタイミングがむつかしい。
しかも、このエンジンはエンジンオイルのドレン口を潰してあるし、オイルを入れる前に圧縮計をつないだら8しか出なかった。
この点では実際に使うか勇気のいる仕上がりになっている。
そんな事情も重なって、なかなかヤル気にならなかったが、このところ運用していたエンジンの様子があまりよろしくない。
加速・最高速ともに鈍い感じがするし、アフターファイアが出るようにもなってきた。
たぶん、燃焼室にカーボンがたまってきているな、と想像したが走ることはできる。
と、思っていたら、少し音の感じが変わったように感じ始めた。
そもそも、スペアエンジンの購入を決めたのは、ワンウェイクラッチが外れたことが大きい。
どういう訳なのか、エンジンオイルを消費してしまうエンジンなので、走行30000kmごとに腰上オーバーホールをやっていたが、3回目のオーバーホールを待たずにワンウェイクラッチが外れた。
オプションのキックスターターを装着しているので、乗ることはできるのだけれど、セルフスタートができないのは、かなり不便を感じた。
オーバーホールして組み上げたエンジンには、ホイール・マフラーはもちろん、駆動系の一式とキックスターター、ブレーキ関連、センタースタンドを取り付けていない。
要は、いま動いているエンジンから移植する。
まずは、エンジンを車体から外さないとならない。
エアクリーナー、マフラー、配線を解放していくのはむつかしくない。
キャブレターを下ろすのに、手が入りづらくて少し苦戦したけれど、だいたい想定どおりの時間で終了。
リンケージのボルトからナットを緩め、サスペンションを外して、最後にリンケージシャフトを抜く。
そおっとエンジンをズラして、繋がっているものがないか再確認。
負圧ホースを外し漏らしていたけど、外してしまうと、エンジン単体に分離完了。
センタースタンドがエンジンについてくるので、車体を保持するのに神経を遣う。
「その逆手順で」とマニュアルにも書いてあることがあるけれど、そんな簡単なことではない。
エンジンの外れた車体を天井から吊るして、上下方向に自在に調節できるのであれば、かなり楽ではある。
けれど、チェーンブロックがない環境では、下から持ち上げるしかなく、なかなかに不安定な状態でリンケージシャフトを刺すことになる。
今回はセンタースタンドの移植を後回しにして、先にエンジンを車体に取り付けることにしたので、リンケージシャフトを通した後も不安定な状態は続き、サスペンションと接続するまでにかなりの時間をかけた。
朝から始めた作業だったけれど、試運転の段になったときは、街角の夕焼けチャイムがなっていた。
エンジンオイルを入れて、さあ始動、とセルボタンを押しても、セルモーターが回らず戸惑ったが、数回キックすると始動は確認できた。
スターターリレーがトんだか?
思い当たることはないから、外したケーブルの断線か?
けれど、再点検するほどの気力はなく、とりあえずキック始動で乗ることに決めた。
乗れるならいいだろ、それで?