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マグザム 2024#25 放置車復活

3年くらい放置していた、と言う。
引っ越した先に置き場が見つけられなくて、元いたマンションに置き去りにしていたら、時間ばかり経過してしまった、と。

ガソリンを抜いて、タイヤ交換して、ブレーキは掃除で済むかな?くらいのメニューを思い浮かべて実車を見に行った。

指定された置き場は、マンション1階の建屋の中。
ひどくホコリをかぶっているのは確かだけれど、雨にあたることもなければ、直射日光も当たらない好環境。
ゴミ置き場もあって水は出る。
探せばおそらく電源も使えるところが見つかるであろう。
しかし、今はここに住んでいないので、現時点で不法侵入と言われても返す言葉がない。
早急に運び出す方針で考えないとならないだろうな。

フロントタイヤはヒビ割れが数ヶ所みえるが、空気を入れてみると、漏れてはいないようだった。
リアタイヤは空気があまり抜けていないようだけれど、見た感じでは左側がツブれているように見える。
空気を入れてみたいが、ブレーキが作動していてバルブ位置を変えることができない。
ブレーキレバーだけの固着を期待して、潤滑剤を吹いて様子をみることにした。
その間、タンクキャップを開けてニオイを嗅いでみると、ガソリンは火がつきそうだった。

交換用のバッテリーを持参したと言うので、載せ替えてスタートボタンを押すと、セルモーターは回ったが始動はしない。

まあ、そんなうまくはいかないですよ。
が、前後のタイヤとブレーキ、スロットルボディの掃除をしてやれば、とりあえず回復はできそうだ。
とはいえ、サイドスタンドスイッチも機能しているようで、エンジンを始動させる前にブレーキを解放してセンタースタンドに載せたい。

ふと、ゴミ置き場からころになるものを探しだすことを思いついた。
中に入ってみると、予想どおりいくつか缶スプレーが見つかり、手ごろな大きさのものを手に取ると、中身が少し残っているようだった。
オーナーに手伝ってもらいながら、センタースタンドの両足が着地したところで、前輪の下に缶を挟み込むと、立たせることができた、缶は勢いよく転がったが。

転がった缶を拾いあげて、改めて見てみると、「靴消臭・主成分:エチルアルコール」と書いてある。
これは幸運だ、というよりも、パーツクリーナーを持ってきていなかったのは失敗だった。
シートを開けてもらい、後ろ側のボックスを外し、スロットルボディのキャップを外して、缶に残っている靴消臭剤を吹き込んだ。

たぶん、これでエンジン始動しますよ。
と言っても、オーナーは疑いの目だった。
さっき拾ってきた空き缶でしょ?そんなマジックある?と。

センタースタンドに載っているし、はじめに試したときよりも、やや長くセルモーターを回すと、予想どおり点火した。
点火してからスロットルをわずかに開けて様子をみると、意外にもアイドリングもできるようだった。
ふむ、インジェクターは詰まっていないってことか、ラッキーだな。
と、ぼくは淡々と作業を進める傍らで、オーナーはア然としていた。
バッテリー替えてもダメだったから、どうしょうかと思ってたよ、ですと。

あとは、ブレーキの固着が外れれば、自走で移動させる可能性が見えてくる。
フロント側はレバーの潤滑剤だけでかなり回復してきた。
が、リアはなかなか感触が戻らない。
潤滑剤を吹く前よりは握れるようになったが、戻すには強制的に戻してやらないとならない。
それでも、重いながら車輪が動くようにはなったので、リアタイヤに空気圧を入れてみた。

大丈夫、とりあえず自走できそうなので、それほど大がかりな修理なしで乗れるようになりますよ。

と言ってはみたが、前後タイヤとブレーキメンテ、エンジンオイルとクーラント交換、各部清掃と給油。

これ、大がかりですかね?


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