トリシティ125 2024#53 エンジン降ろし
脱着、あるいは、着脱と言ったときに、「着」は「着装」と置き換えられるけれど、「脱」には相応の言葉がない。
意外と知られていない。
さて、久しぶりに大仕事がまわってきた。
トリシティのクランクシャフトを交換してほしい、との依頼である。
プーリー交換を自分でやったら、ネジ山が削れてしまったと言う。
それなら、少し細いネジ用に削ればよいのではないですか、と言ったら、それも失敗したのだと言う。
中古エンジンを買うことも考えたけれど、なかなかに冒険なので、クランクシャフトを交換することに決めたらしい。
冒険の度合いでいったら、クランクシャフトを交換するほうじゃないかと、個人的には思うけどな。
車両はトリシティ125、前輪が2本の三輪車、エンジンは水冷の無段階クラッチ、要するにスクーターってことだ。
スクーターからエンジンを降ろすのは、それほどむつかしい作業ではない。
ブレーキ関係と配線の接続を外して、サスペンションとリンケージを解放すればよい。
基本的にはトリシティも同じだ、と思って作業にとりかかったけれど、予想していたよりもずっと難航した。
理由のひとつは外装を完全には外さなかったこと。
外さなくても可能だろ?と思いこんでいたところもあるし、じっさい可能ではある。
けれど、手が入りづらいだとか、ちゃんと見えていない場面が多数あった。
ブレーキキャリパーとスロットルボディはそれぞれ、ホースとケーブルを外さないでユニットごと横に逃がすことで対処できた。
いちばん厄介なのは、メインハーネスとの接続で、コネクターは難なく外せるものの、エンジンとの固定バンドが4本ほどある。
そのうちの2本は解放可能なタイプで、残り2本はエンジンにクリップどめされている。
造りは判ったけれど、どうやっても手が入らない。
最終手段として、先にエンジンのリンケージを外して、車体からズラしてみたけど、やはり、ダメ。
やむなくバンドを切って解放した。
エンジン単体になったところで観察してみたところ、シリンダーの冷却水ホースのフォルダに固定されているのが判った。
エンジンを車体から外すときは、ホースだけでなくて、ジョイントをシリンダーから引っこ抜け、ってことなんだな。
そんなこと、マニュアルに書いてあったかな?
なんだかんだと、エンジンを切り離すのに4時間ばかりかかったけれど、本題はこれから。
お話は続く。