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「そうてんねんしょくハウス」~あそこのもりのくまさん のまき~

ゆうべ、ひろのおばちゃんから れんらくがあった。
「あした、『あそこのもりのくまさん』がきてくれます。」と。
「やったー!」
おうちで、ぼくはさけんだ。
ひろのおばちゃんがくれた、パオこのえほん。そのなかのくまさん。つよくて、おしゃれで、ぼくはだいすきだった。そのくまさんが、そうてんねんしょくハウスにくるっていうんだ。
「すげー。すげー」
ぼくはこうふんして、おうちでおおさわぎしたから、パパもママも、いもうとのイーナもあきれるばかりだった。

つぎのひ、
「おばちゃん、ただいまー」
「はやとくん、おかえりー」
せんべいについて、あいさつもそこそこにして、ぼくはうらにわにまわった。

「そうてんねんしょくハウス」のきりかぶのうえに、くまさんはもういた。
「くまさん、はじめまして」
「こんにちは。はやとくん」
「ようこそ、いらっしょいませ」
「うさぎのジェントルさんや、もぐらのおやこさんにきいて、ぼくも、きてみたくなったんだ」
ぼくは、うれしくなった。パオこのもりで、そうてんねんしょくハウスのはなしがでているなんて。

ぼくは、くまさんにあったら、ぜったいにききたいことがあった。
だから、がまんできずに、さきにきいた。
「くまさんにしつもんです。」
「なーに?」
「どうして、とけいをしているの?」
「おきるじかんが、わかるからだよ。ほら。」
くまさんがみせてくれた とけいは、
(はるになったら「おきる」、ふゆがきたら「ねる」という ふたつのじかんしかない とけいだった)

ぼくは、おどろいて あごがはずれた。
「これだけ?」
「そうだよ。」
いっしょにのぞきこんでいた、まいあさはやおきカラスさんが
「アホー」といってとんでいった ようにきこえたから、
「やめてあげて」とぼくはいった。

でも、ぼくも あんまりへんてこにおもったから、
「くまさん、このとけいって ひつよう?」
ってきいたんだ。
そしたら、くまさんは
「ぼくにはじゅうぶんぴったりで、とってもひつようなんだよね。」といった。
たしかにそうだ。
それぞれのいきかただもん。
ぼくは、なっとくした。

でも、おもった。もうひとつ「たのしいじかん」があってもいいかもね。
くまさんの おともだちのなかには、「なにもしないをする」なんていう おともだちが いるくらいだから、もっと いろいろあってもいいとおもった。
そのはなしを くまさんにしたら
「なるほどなー。」とうなづいた。

「では、こどもビートで、きょうはみんなでたのしみましょうね。」
「こどもビート?」
きりかぶによういしたおおきなおおきな おおだいこ、
くまさんならならせるはずだ。
「どうぞ、くまさん。たたいてください。」
くまさんがたたいた。

♪ぽよぽわーん

とっても のどかな おと だこと。

♪ぽよぽよぷーぷー、ぽよよわーん

くまさんが、ならすと どんどん
ゆるゆるの おかしなおとが ひびきだす。
なんだかぼくは、おかしくてふきだした。
「くまさん ごめんね。」
「はやとくん、かまやしないよ、それそれ」

♪ぷーぽよ ぷーぽよ ぷよよよ、よわわわ~ん、ぺっ

「あはは」 
「ははは」
あんまり おかしなおとが でて
ぼくも、ありさんも、ぢべたにひっくりかえって わらった。
みみずさんもでてきて、ひっくりかえる。
あまがえるさんも、かたつむりさんも、つぎからつぎに。
はっぱのうえでひっくりかえっておおわらい。
とかげのタランソワカさんとなかまたちも、ひっくりかえって、
しっぽがちぎれるくらいに のたうちまわって、おおわらい。
ねっこからはいだした、まるむしさんも、おなかをかかえてわらってる。
「そんなにおかしいかい?」

♪ぽよぷわーん ぷよぷわーん、ぷぷ、、、ぷっ、ぼわーん、ぺっ

「もうだめー」と、さっきとびたっていったカラスさんも、
蝶々さんやてんとうむしさんと、おそらのうえでひっくりかえってわらってる。
しまいには、ほんもののおてんとうさままで ひっくりかえって
さかさになった おおきな まんまるえがおに なっていた。

くまさんのたいこのおかげで、いろんななかまが でてきてくれた。
いろんな なかまが えがおになった。
みんなが、ぼくと くまさんのほうをみて、なにがはじまるのかを まっている。

いよいよそのときがきたと、ぼくには なぜか わかった。
だから、とつぜん

「こどもマーチのじかんのじかんです。」

と、ハウスじゅうにせんげんした。

   (こうはんに つづく・・・)

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