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怖い本を読む。

私は旅行記が好きだ。でも最近は読むのが怖い。

自分がやってみたいと思う仕事をしている人の本を読むのは、疑似体験しているような感じがしてとてもワクワクする。ファンになった作家さんもいる。でも怖い。

本を買ってはみたものの、どこかひっかかりを覚えるというか、モヤモヤするというか、読みたいけど読みたくない、気が重くなることが最近はよくある。それはきっと、自分の現実と比較して、自分は自分の理想をあまりにも叶えていないということがはっきりとしてくるからだと思う。

彼らは、若いころからずっとそれをやってきていたから、経験・知識が身になって収入となっている。そう思うと、私はもう30代半ば。全体的な年齢層からいったら、まだ若い、と怒られてしまいそうだが、”手遅れ”という3文字が嫌でも浮かぶ。

もっと10代、20代のうちにしっかりと自分のやりたいことは何か、真剣に考えればよかった。よく聞くセリフで自分も気を重くするときが来ようとは。

私のような何のとりえもない人間は、とりあえず一般企業に就職しなければ生活できなくなる。そんな恐怖心で一生懸命に頑張ったが、どう考えても私に合ってるとは思えない職についてしまった。それでもどうにか周囲に支えられながら7年勤め、転職した。今の仕事は、募集時に言われた仕事内容と全く違うことをしている。事務職で採用だったのに営業職やってる。それくらい違った。というかほぼその通り。今のご時世、仕事があるだけましだ。そんなことはわかっている。

年を重ねるごとにますます大きくなる思い。”私の人生これでいいのかな。”良い訳ないと思いつつ、なすすべなく時間に流されていく毎日。だからこそ、自分のやりたかったことをしている人の本や動画を見て満足を得ようと思っていても、開いていく溝。昨今は、”風の時代”なんて言われて、やりたいことはどんどんやろう!という風潮だが、きっとその風に私は乗れないんだろう、という諦めと悲しさを感じている。

でも、ほんとはきっと、ほんの一握り、どうにかしたい、と思っている。少しずつ地を踏みしめて歩くような小さな充足感をもって生活を営んでいきたい。だからこそ、今の気持ちを書き留めているのかもしれない。最初の一歩は恐怖心に打ち克つこと。学びは真似びから入ること。まずは、怖い本から学ばなければ。その楽しい雰囲気、自分の現実と比較することなく、ワクワクと高揚する気持ちに素直になって、私も真似から入ってみよう。私にも、忘れられない旅はある。

第一歩。怖い本を読む。



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