noid 「YAMI/YO/AKE」 / アルバムレビュー
金沢発ストレンジ・ポップ・バンド”noid”が6年振りとなるアルバムを発表!!
長い闇を抜け、夜が明けていく奏が希望の朝を迎え入れる。
noidとは
2004年、石川県金沢で結成。2008年、イギリスのレーベルbabyboomと契約。二枚のコンピCDがイギリスより世界発売。スコットランド、フランス、ブラジル等、様々な国のラジオにて楽曲がオンエアされる。2009年4月、1stアルバム『the space-elephant arrives at the moon』リリース。CRJ-C Weekly Chartで、「wood world」が初登場3位を記録する。 同年、SUMMER SONIC 09に出演。 その後も地元金沢を拠点に、自主企画「Magical Colors Night」を不定期に開催。これまでに、海外からはOf Montreal、+/- {PLUS/MINUS}、my hawaii、TOPS、Painted Palmsなど、国内からは、ROTH BART BARON、Turntable Films、ザ・なつやすみバンド、Awesome City Club、Schroeder-Headz、王舟、LUCKY TAPES、my letter、宮内優里、UQiYO、Alfred Beach Sandal、Wanna-Gonna、OLDE WORLDE、カネコアヤノ、Ryo Hamamoto、スーパーノアなど、またDJとして音楽評論家の田中宗一郎、岡村詩野、トークゲストとして作家・ジャーナリストの佐々木俊尚などを招聘している。2013年、moorworksより2ndアルバム『so are millions of us』リリース。翌年、第6回CDショップ大賞の甲信越北陸ブロック賞を受賞。さらに、TSUTAYAの「ツタロック.NET vol.1 〜次世代を担うアーティストを本気で選んでみました〜」にHAPPY、UQiYO、Shiggy Jr.らと共に選出されるなど、絶賛を浴びる。2015年、my letterとのスプリット7インチをリリース。2017年に、ボロフェスタの主催者のひとりであり、自身も“世界一静かなシンガーソングライター”であるゆーきゃんが全面参加した3rdアルバム『HUBBLE』を& recordsよりリリース。2019年、イギリスのレーベルTrapped Animal Recordsからデジタル・シングル「paradiselost」をリリースし世界デビュー。
(& records資料より)
「YAMI/YO/AKE」を聴いた / クールマイン的見聞録
金沢のストレンジ・ポップ・バンド、"noid"が6年振りにアルバムをリリースした。4枚目となる本作は、イギリスのTrapped Animal Recordsから世界配信されたデジタルシングル群を含む全11曲となっており、日本では本日11/15に先行発売が決定。来春にはヴァイナルリリースと世界発売も控えている。
制作時期は今から6年前の夏頃にまで遡るらしい。途中アルバムの制作はおろか、音楽活動自体のストップも余儀無くされ、幾度も頓挫しながらも、こうしてリリースまで漕ぎ着けた喜びは何にも変え難いのではなかろうか。「やっと形に出来て、外の世界に送り出す事が出来る。」そんな想いがたくさん詰まっているであろう『YAMI/YO/AKE』を早速紹介していきたい。
クリーンなギターで美麗なイントロダクション、落ち着いた歌声の『bluebird』からアルバムは静かに幕開けする。伸びやかで爆発力のあるサビはアニメのオープニングテーマなんかにもよく合う気がした。バンドのネクストフェーズを宣言しているかのように瑞々しく、アルバム全体の期待値が高まる。
2曲目は『paradiselost - feat.成山内(sleepy.ab)』。元々は2019年にTrapped Animal Recordsからのリリース第一弾として発表された曲。演奏をリアレンジし、noid(特にVoのエイジさん)が敬愛してやまないアーティストの一人、sleepy.abの成山内さんがメインVoを取り、同バンドの山内憲介さんがギターでゲスト参加している。成山さんにとっても初の試みであったらしいが、心通わせた親和性もあり、2組のアーティストによる感性の触れ合う瞬間は感動的だ。
🎧paradiselost - feat.成山内(sleepy.ab)視聴はこちら
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ちなみにこちらのMVは成山氏不参加の2019年の既発バージョン。
続く『scroll』はアルバムリードトラック、今月11/1にMVも公開された。ジャンルに固執せず、カテコライズされる事から逃避していくような自由なサウンド。バンドの持つ少し不思議な雰囲気を、映画・MV監督の小嶋貴之さんが映像化している。小嶋監督は本作の収録曲だけでも6曲もMVを担当しているというのだから、noidからの信頼度の高さ、理解度の高さを計り知る事が出来る。また、ASA-CHANG&巡礼他、多方面で活躍中のバイオリン奏者、須原杏さんがゲスト参加している点も大きな聴きどころだ。
重心を落とした4曲目『初期』、5曲目『whale』と印象的なリズムとドリーミーな音像で次々とムードを作り、アルバムの折り返し『-1983-2020-』へと繋ぐ。こちらはTrapped Animal Recordsからのリリース第2弾として、2020年5月に発表されている。ホーンが効果的にメロディに彩りを添えており、内省的な歌詞からは、小さな炎が静かに揺らめいているのを感じる曲だ。歌詞の提供は京都在住のシンガーソングライター、ゆーきゃん。
7曲目の『80番シアターの閉館』は2018年2月にリリースされたデジタルシングル。ナイーヴでエモーショナル、感傷に浸りたくなるようなタッチだ。ギターで牽引していく美しい旋律に、ぽつねんとした独白が聴く人の心に何かを落としていくよう。ライブでも聴いてみたい一曲だったりする。
8曲目『Strange』 は水の中で聴いているような浮遊感だったのに、段々と曲の解像度が上がって輪郭がクッキリしていくかのような演奏が面白かった。
続く9曲目の『ifeel - yamiyoake mix』では少し面食らう。これまでの流れをガラリと変える、ビートの効いたアップテンポのUSインディー系のギターロックを披露した。noidは奥行きだけでなく、引き出しの多さも感じさせるのだ。
10曲目『reverse』。2021年4月にTrapped Animal Recordsからのリリース第3弾となった楽曲。コロナ禍に突入当時、バンドとして初めて挑んだ新曲だった。美しいアルペジオと雫のように跳ねる鍵盤に誘われ、いつの間にか深いところまで引き寄せられるストーリーテリング。
アルバムのラストを飾るのは『moon』。ホーンセクションがファンタジックで祝祭のような雰囲気を醸し出しながらフィナーレへと向かう。実に収まりが良いエンディング。ちょっとした冒険の旅から帰還したかのような気持ちで視聴を終えたのだった。
【YAMI/YO/AKE雑感】
近年のnoid史を物語るかのようなアーカイブ作品と受け取った。オリジナリティ溢れる楽曲の数々は、ソフトな歌声とは裏腹に力強い”孤往独邁”的な印象が深い。長年生活の基盤である地元金沢に活動の拠点を置きながらも、海外リリースや定期的なフェスの開催なども行うアイデンティティから気概も感じる。今、正に長い闇を抜け、夜が明けていく奏が希望の朝を迎え入れる。
* * *
ちなみに本作のジャケットアートワークを担当したのは、只今全国をリリースツアー中のROTH BART BARON、三船雅也さんである。(過去作でも多く携わっている)
11/18(土)にはお互いの新譜発売を記念し、”ダブルリリースパーティー”と称してnoidの活動拠点である金沢でライブが行われるようだ。時間と都合が許す方々は参加してみてはいかがだろう。
※詳細は下記【ライブ情報】を参照。
【作品情報】
アーティスト:noid
作品名:YAM I/YO/AKE(ヤミヨアケ)
品番:SONIC-023
価格:¥2,300(税抜)
発売日:2023年11月15日(水)
POSコード:4522197148939
流通:PCI
【ライブ情報】
【Magical Colors Night】
《noid 『YAMI/YO/AKE』& ROTH BART BARON『8』W Release Party》
2023/11/18(土)
開場 17:30 開演 18:00 終演 20:45予定
@DOUBLE (石川県) 〒920-0981 石川県金沢市片町2-8-3 香ビル
一般前方着席 5,500円 ※着席限定
一般スタンディング 5,000円
学生スタンディング 3,300円 ※入場時に学生証をご提示ください
(大人1名様につき小学生以下1名様同行無料。)
▼チケット
▼Magical color Night Web