never young beachライブレポート
5年振りの仙台ワンマン公演!
こちらこそ「ありがとう」となった最高のライブ!!
never young beachとは
2014年春に結成。2015年に1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」を発表し、「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演。2016年に2ndアルバム「fam fam」をリリースし、2017年にSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューアルバム「A GOOD TIME」を発表。2018年に10inchアナログシングル「うつらない/歩いてみたら」をリリース。そして2019年に、4thアルバム「STORY」を発表し、初のホールツアーを開催。2023年6月、約4年ぶりとなる5thアルバム「ありがとう」をリリースする。また近年は上海、北京、成都、深圳、杭州、台北、ソウル、釜山、バンコクなどアジア圏内でもライブに出演。
(never young beach Official Webより)
never young beach 5th Album “ありがとう” Release Tour 仙台公演に行った/クールマイン的見聞録
日付:2023年10月13日(金)
会場:Sendai Rensa
天気は晴れ。
日中はちょっと暑いくらいの秋晴れだったが、夕暮れになるとグッと気温が落ち、肌寒いぐらいの季節になった。少しずつ冬の訪れを感じながら本日のライブ会場となるRensaへと向かう。
今夜のショーはnever young beach(以下:ネバヤン)。前作から約4年振りとなったニューアルバム『ありがとう』を引っ提げての全国ツアーの仙台編だ。アルバムの内容も好評、かつ本格的な全国ワンマンツアー自体が久々という事で、今日まで既に3公演が終了しているが、SNSを通じて各地で熱烈な歓迎を受けている様子はうかがっていた。今夜もガッチリ盛り上げてくれるに違いない。
開場時間になると幅広い層のファンが続々と詰めかける。待機中の場内SEはメンバーやネバヤンチームによるセレクションだろうか?1960年~70年代のR&Bにソウル、モッズやロック、ファンクにポップスと、米英の古き良きグッドミュージックの数々が流れており、こういった節々からもグループの「音楽愛」を感じてしまうのだった。
縦縞のストライプシャツで揃えたメンバーが登場するとワッと歓声が沸き起こり、『らりらりらん』でショーの開幕!くねくねダンスで踊りながら揚々と歌う勇麿さんはイイ感じに力が抜けていて、この夜の始まりを心底楽しんでいるようだった。まるでクレージー・キャッツとストレイ・キャッツが握手したようなユニークなロカビリー調ナンバーに自然と揺れる身体。水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」オマージュの歌詞も前向きで楽しく、のっけから元気を貰えたのだった。
新譜から中心に次々曲を披露し、グッドバイヴスを維持したままステージは進む。5年振りの仙台での演奏をメンバー自身が楽しんでくれているから、来場者にも伝播し、”ただただ楽しい!”が増幅されて行く。そして特筆すべきはバンドの充実度を感じる溌剌としたアンサンブルとグルーヴ。それに加えて楽器ひとつひとつの”鳴り”と”抜け”が素晴らしく、感嘆してしまった。屋台骨を支えるスズケン(鈴木)さんのタイトなドラミングも気持ち良いビートを刻み続けている。楽器のセッティングや音響のこだわりが無ければ、絶対にあそこまでクリアにフレーズをお客さんに届ける事は出来ないものだ。脱力しているようで、見えにくい部分に細かく神経を使っているギャップにヤラれてしまうんだなぁ。
アッパーな曲の間に時折挟み込む、ダウンテンポの曲も秀逸だった。特に初めて生で聴く『風を吹かせて』のユニゾンギターサウンドには痺れまくり、悶絶した。ライブでは終始岡田さん、下中さんはサポートと思えないぐらいメンバーと調和している様子を誰しもが感じた事だろう。切ない曲や哀愁漂う曲になると谷口さんのキーボードが更に情緒を彩って、心にグッと迫るものがあった。
5年振りとなる仙台をネバヤンは本当に楽しんでいるようだった。そしてそれは来場者も同様に。緩いMCで笑い合いながら、中弛みする事なく演奏はバッチリと決めていく。中盤以降は過去の人気曲も次々飛び出し、ボルテージは右肩上がりのままだった。(ネタバレ防止の為、曲目は割愛しますネ)
少し余談になってしまうが、つい先日知ったニュース。
細野晴臣氏、大瀧詠一氏、松本隆氏、鈴木茂氏による伝説的フォークロックグループ、”はっぴいえんど”の再評価が高まり、来月アルバム作品3枚がCDとレコードで、それぞれリマスター盤として再発されるそうだ。ネバヤンも影響を公言している事からも、今でもよく引き合いにされるグループだが、ネバヤンがきっかけではっぴぃえんどを知り、遡って若い人が50年以上前の邦楽を好んで聴く温故知新な現象がますます盛り上がって行くと面白いなと個人的には思っている。たとえバズらなくとも今も昔も良いものは良いもので、古い新しいは関係無いのだから。
バンドの持つプリミティブなエナジーが最高潮に達するかのように、名曲『明るい未来』のイントロが流れると、一際歓声が高まる!こちらも密かに心の中で「おおっ、キタッ!」とガッツポーズ!レトロヴィンテージな音の粒立ちを浴びながら、会場を包む多幸感にひたすら酔いしれていた。
優しく寄り添うように朴訥で大切なメッセージを添えて歌われた『かえろう』も最高だった。勇麿さんの魅力的な歌声と負けないぐらい巽さんのベースラインが歌っていて、グルーヴオバケだった。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
アンコールにも応え、正に大成功の大団円で公演終了となった。きっと各々が心にポカポカと温かいものを残したまま家路に着くのだろう。
ステージを捌ける際にサポートメンバー同士が軽くハグするように肩を組む素振りをしたのを見たのだが、そういった仲の良さやチームワークの良さが演奏にも表れた素晴らしいステージだった。
ツアータイトル通り、ライブを聴きに来たこちらも「ありがとう」、そんな気持ちになれた良い時間だったのである。
【アーティスト情報】
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