石橋凌 配信ライブレポート
”ネオレトロミュージックの最高到達点”、「オーライラ」の再現配信ライブで感じた人間愛・平和への願いとは。
石橋凌とは
伝説的ロックバンドA.R.B.（エーアールビー）の元VOCAL として知られる石橋凌。
A.R.B.は1977 年結成され、シングル「野良犬」で1978年にデビュー。
1990年に松田優作の意思を継ぐべく、役者としての活動に専念する意思を固めた。
石橋凌の強い意志により活動停止。
1990年 代々木体育館での活動休止ライブでは 2 万人動員。
1998年に新メンバーにより復活。
（ユニコーンEBI がBASS として加入。）
1998年アルバム「REAL LIFE」リリース。
セールス10 万枚を超える。
1999年1 月24日 武道館にて1 万人動員。
2006年3 月、ファンへ最後のメッセージ。
「一生歌っていきます。魂こがして」と残し石橋凌はA.R.B.を脱退、それによりA.R.B.は解散。
A.R.B.の強い信念を持った音楽は氷室京介、福山雅治、ユニコーン 奥田民生、 EBI (復活時BASS として加入)、JUN SKY WALKER(S)、THE BLUE HEARTS〜THE HIGH-LOWS〜ザ・クロマニヨンズ 甲本ヒロト、真島昌利など数多くのミュージシャンに影響を与えた。
役者としても、映画やドラマに数多く出演。
三池崇史監督や北野武監督作品、ハリウッド作品にも出演している。
最新作は、オリジナルアルバム「オーライラ」（2022年8月31日発売）。
（石橋凌 Ryo ISHIBASHI Official Website-Granvisionより抜粋、一部加筆）
石橋凌 コンサートツアー2022 「KEEP IN TOUCH!」配信ライブを観た／クールマイン的見聞録
日付：12月24日（土）※配信視聴日
会場：日本橋三井ホール
天気は曇り、と言っても今日のライブは自宅PCからの鑑賞。天候に左右される事象は何も無い。世の中は正にクリスマスイブの盛り上がりのピークタイムだろうか？自分はアーカイブよりも「生」のライブを体感する為、モニター画面の前に配信開始の18:30の5分前から張り付いていた。
石橋凌氏は今年8月31日に新作としてオリジナルフルアルバム『オーライラ』を発表している。（内容に関しては既に触れているので、未読の方は下記よりぜひご一読ください。）
自身が満を持して「最高傑作」と世に送り出した、この『オーライラ』と共に、バンドは9月から11月にかけて全国8都市を回るコンサートツアーを行った。各地でファンに温かく迎えられ、ツアーは大盛況で終了。今回のライブ映像は、ツアーファイナルが行われた日本橋三井ホールでのパフォーマンスの模様。告知動画などからも自信が窺える話振りだったので期待が高まる。
※演奏曲はネタバレがあるので視聴前に見たくない人は後日読んでいただけたら嬉しいです！
満面の笑みで登場した石橋氏はステージ上を縦横無尽に広く使い、集まったファン一人一人に体を使って感謝の気持ちを伝えると共に、「俺はここにいるぞ！」と存在意義を示しているかのようにさえ見えた。配信ライブのオープニングは『Dear My Soulmate』。2011年、自身の初のソロアルバム作品となった『表現者』からのナンバー。固い絆を噛み締めるようなエモーショナルなステージングに呼応するバンドとオーディエンス。メンバーとの掛け合いもシャープでスリリングであるのにもかかわらず、大船に乗ったつもりで観ていられるのは、流石名うてのベテランミュージシャン集団といったところ。
2曲目に披露となったのはツアータイトルにもなった『KEEP IN TOUCH』。小気味よいサックスの調べがライブでは一層際立ち、印象的。彩り豊かで芳醇なサウンドがスウィングし、歌が凛と立っている。この世相で散り散りになりかけた心や絆を手繰り寄せ、再びガッチリと握手を交わすようなサインを繰り返しながら、寄り添う大海原のような歌声が一際ドラマチックなのである。
舞台は暗転し、バイオリンやアコーディオンを中心とした民族音楽的アプローチで始まる『Dr.TETSU』が続く。アルバムではラストを飾る感動的なナンバーがこの流れで聴けるとは良い裏切りだった。音源よりも感情のギアをもう一段上げた入魂のVoと、音楽表現の広がりと深みを象徴するような1曲。聴衆も自然と大きな拍手を送っていた。
5曲目の『ファンキーバアバ』で急転直下！ジェットコースター的、いやさドタバタ冒険活劇バリに目まぐるしく転調し、景色を変えていくエンタメ度数の高いナンバー。ステージ上を動き回る石橋氏がエアで振るタクトがユニーク。緩急のある一発を注入し、ライブの中弛みのようなものを近寄らせない。そしてやはり歌詞がユニークだなぁとつくづく思い返したりして。。。
6曲目は熱いMCから始まった。石橋凌というミュージシャンは1980年代から今日に至るまで一貫して”反戦歌”というものを取り扱ってきた。周りからは常に「そんなものは絵空事だよ。」、「反戦歌なんてウケないよ。売れないよ。」と言われていたそうだ。じゃあ何が売れるんだ？って、そりゃラブソングだろうって。そんな声に対して石橋氏は疑問を持つ。確かに男女のことも大事だが、”人が人を想う”ということにおいては一緒じゃないかと。石橋氏はこう続けた。「音楽で紛争や戦争は止められないかも知れないが、意識は繋ぐことは出来ると固く信じている」と。そうして始まった配信ライブのラストナンバーは『ピカドンの詩』。2017年発売のアルバム、『may Burn !』からのナンバーだ。道理に暗い独裁者へ向けたプロテストロックンロールが痛快に響き渡る！「人間ナメんな！」さながらそう叫んでいるかのように思えた。
平和を願うメッセージを届け続ける、というブレない姿勢もファンを離さない威信であり、石橋氏の音楽活動を続ける上での指針の一つに違いない。先ず以って平和な状況がなければ、楽器を演奏することも、コンサートを楽しむことも出来ないのだから。ラブソングのような愛を語り合うことが出来るのだって、人類が平和を保つことの努力の積み重ねの上に成り立っているはずだ。だからこそまだまだ時代は石橋凌のような音楽家のメッセージを欲している。
そしてこのツアーにおいてしたかったことは、元気な姿で近況を報告する、大袈裟に言えば生存確認を取り合おう！ってところまでがツアータイトルの『KEEP IN TOUCH』に込められた意味だったのではないだろうか。そんな感想を抱きながらパソコンのブラウザを閉じた。
【配信チケット情報】
【作品情報】
アーティスト：石橋凌
タイトル：オーライラ
リリース：2022年8月31日
フォーマット：CD
販売元：Mastard records
商品コード：＜LNCM1410＞¥3,300（税込）＠Loppi・HMV限定盤
アーティスト：石橋凌
タイトル：表現者
リリース：2011年12月07日
フォーマット：CD
販売元：avex trax
商品コード：AVCD-38386B〜C
アーティスト：石橋凌
タイトル：may Burn !
リリース：2017年07月19日
フォーマット：CD
販売元：CROWN STONES
商品コード：CRCP-40520