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【Synthesizer V 夏色花梨】恋のビーチフラッグス【2024 Remix】

今回投稿した2024 Remixについて

ボーカロイド "GUMI" (Megpoid)をフィーチュアして2010年7月に初公開したオリジナル楽曲「恋のビーチフラッグス」のリミックスとなります。

夏色花梨史上最高の完成度!

「恋のビーチフラッグス」については、実は2022年の12月にもSynthesizer V Maiが歌ったバージョンを公開しています。

今回のリミックスバージョンでは、すべてSynthesizer V AI 夏色花梨(ver.110)をフィーチュアしています。当時すでに夏色花梨を使用することは可能な環境だったのですが、その頃の花梨さんは今のようにうまく歌わせることができませんでした。

しかし、Synthesizer Vのエンジンがバージョンアップするたびに、歌声データベースもアップデートを重ねてきました。
2023年10月、Ver. 1.10.0へのメジャーアップデートでRLHF(ヒューマンフィードバックによる強化学習)に対応したことにより、ユーザーが使えば使うほどますます歌が上手くなるという好循環が生まれています。

そのため、今回の夏色花梨さんの歌は「なぜ、この曲を彼女に歌ってもらわなかったのだろう?」と思うほどで、まさに過去最高の完成度となっています!

MVに使用したイラストについて

動画内で使用した夏色花梨さんのイラストは、「伊吹のつ」さん制作の「夏色花梨立ち絵素材Ver1.1」を購入して使用しています。

夏色花梨の公式イラストとは別に、公式の設定に基づいたこのような素材が公開されていることは以前から知っていたのですが、サムネイルを見る限りでは自分の楽曲に合わせるのが難しいのかな、と思っていました。

しかし今回、歌のシチュエーション的に公式イラストの制服姿がそぐわないこともあり、水着姿の花梨さんがどんなものなのか、というところをまず検証してみることにしました。

実際にデータをダウンロードしてみると、PNGなどの画像形式ではなく、たくさんのレイヤーからなるPSDファイルでした。
各パーツの差分が豊富に用意されているので、組み合わせ次第で服装はもちろんのこと、多彩な表情やポーズをつくることができるという優れもの。

というわけで、ほんの気持ちではありますが、感謝と応援の意味で購入金額を上乗せさせていただきました。

動画内で花梨さんの水着姿を楽しみにされている方は、ぜひ1コーラス目のサビまでご鑑賞ください。そこからエンディングまでは、実にさまざまな表情の花梨さんが登場します!

リミックスバージョンの主な改善点について

主な改善点は以下のとおりとなります。

  1. Apple Logic Proの新機能「Session Player」の活用により、エレクトリック・ピアノおよびドラムの演奏パターンがよりリアルに。

  2. 単音のラインが中心だったストリングス・パートを三声に再構成。

  3. 曲の展開に応じて各種パーカッションを追加、などなど。

冒頭の歌詞を英語に変更した理由

この曲の歌詞はもともと、次のようなフレーズで始まるものでした。

真夏の恋はまるでビーチフラッグス

「恋のビーチフラッグス」オリジナル(2010メグッポイド版)の歌詞より

「ビーチフラッグス」という単語はちょっとだけ英語っぽくしつつ、文字通りカタカナ英語的な発音にしたのですが、あまり収まりがよくありませんでした。もっとも、当時のボーカロイドの性能では、人間らしい自然な発音など望むべくもありませんでした。

ところが、2022年にこの曲をSynthesizer Vで作り直すにあたり、発音問題が再浮上してきました。
Synthesizer Vはマルチリンガル対応のため、英語でもとても流暢に発音してくれるのですが、英語の "beach flags" では音節の区切り的にメロディと合わなくなってしまったのです。

そこで、2022年12月にSynthesizer V Maiでリメイクした際に、歌詞をこのように変更しました。

真夏の恋は just like a game of beach flags

「恋のビーチフラッグス」2022 Mai 版および2024 夏色花梨版の歌詞より

今回も歌詞は英語バージョンを採用しています。夏色花梨さんは英語の発音も以前に比べてとても良くなりましたね。

さて、その「ビーチフラッグス」を、なぜ曲名に持ってきたのか?という点についてですが、そもそも「ビーチフラッグス」という競技についてご存知ない方も多いと思いますので、次にその点を少しご紹介しておきます。

「ビーチフラッグス」という競技について

「ビーチフラッグス」のアウトラインは以下のような感じです。

まず、フラッグに見立てたバトン(もしくは樹脂製のチューブをぶった斬ったもの)を砂浜に等間隔で突き刺したバトンラインが用意されます。
選手たちはそこから20m離れたところに背を向けてうつ伏せになり、号令と共に素早く立ち上がってフラッグ(バトン)の元へ走ります。
バトンの数は同時に走る選手たちよりも1本少ないので、どこかで必ず奪い合いになります。

ゲームデザインとしては、ライフセーバーが要救助者のもとへいち早く駆けつけることをイメージしており、ライフセービング技術や体力向上を目的として取り組んだことから発展して生まれたビーチスポーツのひとつ、とされています。

そのゲーム性の本質は「椅子取りゲーム」と同じで、プレイヤーの人数に対してひとつだけ少ない数のターゲットをめぐって駆け引きをするというものです。
そのため、毎回1人ずつ脱落者が生まれ、最終的には2人で1本のフラッグ(バトン)を奪うことになります。
実際のゲームの様子は以下の動画を観るとイメージしやすいでしょう。

これらの点を踏まえて聴いていただくと、曲の歌詞に潜ませたモチーフや、その背景が何となくお分かりいただけるのではないでしょうか。

ちなみに「恋のビーチフラッグス」を作った当時の私は、夏になると毎年のように湘南・鵠沼海岸でビーチスポーツのイベント運営に駆り出され、記録・撮影を担当していました。

そこで文字通り砂をかぶりながら「ビーチフラッグス」の激戦をカメラに収めたりしていたという、その経験から着想を得たことで生まれたのがこの曲だった、というわけです。


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kermit / coolguitar
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