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Mac Fan 2020年5月号に鉄道模型のデジタル制御(DCC)についての記事を書きました

日本で唯一のApple専門情報誌「Mac Fan」(マイナビ出版)に鉄道模型のデジタル制御(DCC)についての記事を書きました。私自身はAppleの製品やサービスの記事について20年以上書いていますが、鉄道模型それもDCCについての記事を書くのはこれが初めてです。鉄道模型の分野については一家言ある諸先輩方がいらっしゃるので恐縮至極ですが、私なりに鉄道模型とデジタルの関係について思うところがありましたので記事として簡単にまとめさせていただきました。

しかし、本誌の読者の関心はあくまでAppleプロダクトであり、異なる分野の趣味については前提知識を共有しないという事情がありました。それも欧州鉄道模型というマイナージャンルかつ日本ではさらにニッチなDCCという話題のため、その前提についての説明に文字数を要してしまいました。そこで、こちらのnoteには記事に書き切れなかった個人的な見解について補足したいと思います。

鉄道模型のデジタルトランスフォーメーション

まず、ここは記事にも書きましたが日本の鉄道模型メーカー、特にKATO(関水金属)やTOMIXの製造技術や品質管理の水準については世界でもトップレベルだと思います。しかし、DCCに代表されるデジタル技術への対応は欧州や米国と比べてかなり立ち遅れているというのが偽らざる実感です。

もちろん、欧米市場にも明るいKATOさんは米デジトラックス社との協業で「DCCフレンドリー」な製品を展開しています。アナログ製品と思われがちな「サウンドボックス」も中身はDCCの基板を利用していますし、いつでもDCCを軸とした市場展開できる技術と実力は持っているはずです。しかし、そんなKATOさんですら鉄道模型システムのデジタル化(せめてアナログ製品と半々程度の割合になれば...)に対して本気で取り組んでいるようには見えません。

これは推測ですが「できるのにやらない」のは、低価格なNゲージ製品が中心という日本市場を踏まえたマーケティング的な判断なのだろうと思われます(もしかしたら別の「大人の事情」があるかもしれませんが、ここでは触れません)。ちなみにTOMIXさんに至っては、より国内市場に最適化する戦略を採っており、本来DCCが適している車両自動制御をアナログで実現する「TNOS」などの製品を開発しています。

別に従来からのアナログ制御が劣っているなどと主張したいわけではありません。鉄道模型は趣味なのですから、それぞれの楽しみ方を追求するのが本来のあり方でしょう。しかし、個人的にこの状況をとても危惧しています。2000年代初頭にフィルムカメラからデジタルカメラへのシフトが起こりましたが、それに近い規模のデジタルトランスフォーメーションが鉄道模型の世界にも起こるのではないか(あるいはもう起きているのではないか)と考えています。

今回の記事を書くにあたって、ベルギーのモデルアイゼンバーン・ホールディングス(ROCOやフライシュマンを傘下に置く欧州鉄道模型メーカーの持株会社)が展開するDCC規格の製品を実際に触ってみましたが、iPhoneやiPadのネイティブアプリで遊べる点など、実に現代の時流に沿った合理的な製品開発をされています。実際にどんな感じなのか、ほんの触りだけ動画に撮ってみました。

鉄道模型の未来のために

もちろんアナログ制御でもサウンドを鳴らすことはできますし、DCC=サウンドということもありません。しかし、ここには単に「車両を集めて走らせる」以上の楽しみ方が凝縮されていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。言い換えるならば、少なくとも欧州には「鉄道というシステム」全体を模型として楽しむという確かな世界観が背後にあるのだと思われます。

そして、その視点に立った時、日本における鉄道模型にどことなく付き纏う「子どもの遊び(あるいは大きなお友だちの趣味)」という枠を超えて、多くの人々の日常を豊かにする趣味としての地位を得られる、あるいは取り戻せるのではないか、と個人的には考えています。また、逆説的に聞こえるかもしれませんが、デジタル化によって子どもに対しての教育効果も高まると考えています。近年プログラミング教育の中でSTEAM教育という手法が取り入れられていますが、DCCによる鉄道模型の制御は格好の教材になり得るのではないでしょうか。もちろん、それには国内の主要な鉄道模型メーカーや、電子工作のアプローチからDCCに取り組んでいる有志の皆さんの力が欠かせないと感じています。鉄道模型の業界で長年繰り広げられた「なぜDCCが日本で普及しないのか」という不毛な問いを乗り越えて、鉄道模型趣味の世界をよりよくするためにできることをしていきたいという思いで今回の記事を書かせていただいたという次第です。

↑おまけのオフショット。普段は撮らない被写体でカメラマンのKさんにはお手数おかけしました。何遊んでんだこの人はという担当編集からの冷たい目線にめげずに頑張りました(笑)。

なお、本投稿は、メーカー等の提供を受けたPR記事ではありません。タイアップ記事の作成をご希望の方は、別途ご連絡ください。



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