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【西天下茶屋】風景も料金も昭和時代な喫茶店@マル屋【休業中】

はじめに

 みなさんこんにちは!
流行が一巡してしまったかのように昭和や大正などのレトロな風景が逆に注目されているコンテンツって結構ありますよね。
喫茶店も然りでそのような歴史を刻んだ趣きある喫茶店も、街を歩けば思いがけず出会えることも有ったりして。
私もたまに東京に出向くと戦後コーヒーが市民権を得て開業を始めたであろう喫茶店に入っては特別な時間として過ごすことがあります。
そんな折、大阪にも多分に漏れずレトロな佇まいを残す喫茶店が市内の商店街にあるという事を知り伺った事があるんです。
この記事では西成区にある喫茶店で過ごした当時の様子をご紹介します。

2013年当時マル屋外観

お店の場所

 伺ったお店は「コーヒーショップマルヤ」です。
マルヤなのかマル屋なのかは表記ゆれで定かではなく、商店街の表示では「マルヤ」、お店のメニュー表では「マル屋」となっています。
最寄り駅は南海汐見橋線西天下茶屋駅です。
この地はかつて双子の子役タレントが主役で放映され話題となった「ふたりっ子」の舞台となった地でもあり、近隣のスーパーには記念碑が建てられていますね。
マルヤは駅から南西側にある銀座商店街にあり、アーケードに進入した先の交差点の一角に目立つレトロなショーウィンドウが目印で大変わかりやすくなっています。
汐見橋線というと大阪市内きってのローカル線で当駅に向かうに乗り換えが必要な路線となっており、出発をなんば駅からとすると南海高野線を岸里玉出駅まで向かってから乗り換えて汐見橋線で引き返す感じになります。
私は西成の新今宮周辺にいつも宿をとっていたので阪堺線で南霞町駅(現:新今宮駅)から北天下茶屋駅で下車しひたすら徒歩で西進して、南海線の天下茶屋駅からさらに西へ歩き西天下茶屋駅まで歩いていきました。
徒歩でもこの道程で早歩きなら15分ほどで着きますし、途中降りた北天下茶屋駅周辺の風景もレトロで目に映るものが新鮮で、一日通してゆったり西成を散歩しながら風景を楽しみたい方は北天下茶屋から西天下茶屋迄の散策もお勧めですよ。

店外メニュー

外観・内観・お料理

 お店はコーヒーショップとも名を冠しており喫茶店であることが外からでもわかりますが、メニューにはお食事系も多く揃えてあるように見え軽食を摂るにも向いている純喫茶な感じですね。
レトロな外観はその佇まいに留まらず、年季を重ねたショーウィンドウにはフードのサンプルが多数鎮座しています。
看板メニューは多分カレーライスとコーヒーなんでしょうね、そしてその下に短冊のように連なる紙にも一枚一枚品名が綴られています。
すごい手作り感、という感想を抱くよりも早く感じ取る違和感、それは金額設定。
大阪のエリアによっては(特に西成区)料金設定が昭和時代で止まってませんか?と言わんばかりの驚き価格であったりしますが、こちらのお店も多分に漏れずすごい低価格。
カレーライスが250円、コーヒーも一杯160円とは…短冊にも振られた金額には本当に金額でいいの?と不思議に思う程の安さ。
これは一度は体験しなければと義務感も奮い立つ風景、ある意味よくあるレトロな町の喫茶店でありながらも日常では出会えないどことない神秘性を感じますね。
という事で外観だけでももう楽しいのですがお店に入って喫茶店の風景を楽しんでみます。

レトロな内装

入店すると渋い!な濃い茶系の内装に昭和を醸す照明の傘、革張りの椅子は何世代の人々の腰掛になったのかしら?
見渡せば使われていなそうなコーヒーミルも鎮座し、喫茶店の風格と威厳を感じます。
お店の奥にはキッチンが見えるようになっており、マスターが注文の入っていない時は奥で腰かけて休憩されている様もこれまたいい眺め。

レジは有れど席でキャッシュオンシステム

昭和を生きてきた方々はこの席に座っては発展目覚ましく明るい未来を肌で感じていた活力ある日本の日常を過ごしてきたんだろうなぁと思うと、憧れを抱くと共に追体験をせめて形だけでもとこの場所で過ごしたくなってしまいますね。
そんなレトロな風景でセンチメンタルな気分に浸りつつ、タイムトリップを楽しもうとワクワクしているとマスターがメニュー表を持ってきてくださいます。
毎度みる緑のメニュー表、ヨレヨレだけれどもいつも同じ紙で大切に扱っているんだなぁとしみじみしながらも、大切に扱っているのはお店の方だけでなくお客さんもなんだよなぁと思うとお客さんのお店に対する敬意すらメニュー表から感じ取る事ができます。
そして初めてこれを見た時の衝撃もすごかったなぁ。

ヨレヨレの味あるメニュー表

すごい年季の入った紙だなぁと思った束の間、ぱらりと開くと真っ先に目につく黒い塗りつぶし。
なになにこれは書き直しね、長く使っているから値上げして書き足したのねと思った矢先に驚愕。
なんと全品大幅値下げ。
なぜ?と上から順にみていくとメニューはワープロで打ちだされた文字で金額は全て手書き、デフォルトで書かれたお値段が適正価格(それでも安い)かと思いきやそれを更に塗りつぶして値下げしているんですよね。
コーヒーは一杯250円だったものが160円、ココアが300円が170円…一律大幅値下げで且つ値下げ率が一定ではないのがすごい。

書き換え後がなぜか大幅値下げ

初めて利用した時はこの驚きで滞在中はずっとメニュー表眺めているだけで楽しかったのを憶えています、なんせ価格が異次元ですからね。
そして注文は大阪来たなら定番でしょ、という事で大阪お上りさんに最適「レモンスカッシュ」でひと休憩。
言葉を簡略化する大阪の言葉はいつも新鮮、このレモンスカッシュも現地ではレスカというそうな(本当?)
因みにアイスコーヒーは「レーコー」というそうで、冷たいコーヒー略して冷コーが転じてレーコーになったそうですが、それも昭和の時代までで令和ともなるとこの単語はほぼ使われていないのだそう。

大阪といえばレスカ

累計では3回伺ったのですが、頼んだのはこのレスカとメロンクリームソーダ、コーヒーとカレーでした。
クリームソーダも興味本位で注文しレトロな風景にばっちり合う写真映え、そしてコーヒーは160円で提供するにはもったいないほどしっかり美味しかったのを憶えています。
そしてマルヤの定番と言っても良いかもなフード、カレーはサンプルと同じように生卵付き、たしかソースも一緒に持ってきていただいた気がします。
そうそう大阪のカレーって味付けがちょっと変わっていて、セルフでウスターソース掛けて味を変えるだけではなく卵も付いているのが当たり前なのかしら。

じゃがいもほっくりなカレー生卵入り

こういった食文化の違い、地域性の違いも旅の醍醐味だよね~なんて改めて見るカレー、じゃがいもしっかりつぶして味わいを深めているのが分かります。
このドロッとした感じはルーの脂由来ではなくたくさんじゃがいもを入れてかなり粗ごしで一緒に煮込んでいるのではないかと推察。
形も小さくではありますがじゃがいもの体をなしており、ルーをぱきっと折って簡単に作るカレーとは全く異なるしつこさのない味わい、マスターが全部手作りしているんだろうな~なんて思うといつもお一人で寡黙に調理をこなす姿が神々しくも思えますね。
私は大阪の旅で立ち飲みも行程にプランを練っていた為マルヤさんではお腹いっぱいになるほど注文したことが無かったのですが、そうでなければ朝早い時間帯にモーニングで利用していたらもっと楽しめたのかな~なんて思ったりしました。
そんなマルヤさん、2024年時に休業中というアナウンスを知りましてどうやらお店は開いていないようです。
マスターもご高齢でしたからもしかしたら体調崩されているのか、それとも営業するに支障が出てしまったのか。
毎度お一人でお店に立っていらっしゃいましたから継ぐ方もいらっしゃらないのかも、などと色々考えてしまいますがお元気で過ごされていたら幸いです。
たった三回の来店でしたが衝撃的な体験させて頂きましてありがとうございました~。

おわりに

 いかがだったでしょうか。
レトロな風景を好む方にはとっても素敵な喫茶店だったかと思います。
合わせて驚きの料金設定も昭和価格で、作り物のエンターテインメント空間ではなく町の一角にある素朴なお店でそれが体験できたというのも大変貴重なものでした。
皆様ももしお店が再開されることがあれば足を運んでみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました🐾


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