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【新世界】名物スープ八宝菜@酒の穴

はじめに

 みなさんこんにちは!
大阪のミナミといえばどこを思い浮かべますか?
カニやフグの模型が蠢いている道頓堀をイメージする方が多いと思いますが、さらに南へ向かった先には「新世界」と呼ばれるエリアがあります。
有名なランドマークでいうと通天閣があるところですね。
近隣には東側にあべのハルカスで有名な天王寺、南側にバックパッカーで人気集中の西成、北側にはメイドカフェが多く立地する日本橋があり、近年はこのエリアそのものが観光地としても注目されています。
そんな新世界ですが大阪府内に居住されている方でもレトロな風景の残るディープな街として認識されていて串カツを代表として様々な飲食店が存在しています。
時代を感じる佇まいの居酒屋ではノスタルジーに浸れる雰囲気が漂っており観光地としてだけでなく飲食を楽しむにも向いています。
この記事では私が大阪旅行をした時に数度来店した大阪らしいお料理と独特なお料理を頂けるお気に入りの居酒屋をご紹介します。

2010年あたりの酒の穴外観

お店の場所

 今回ご紹介するお店は「酒の穴」です。
場所は新世界エリアの真ん中あたりで、通天閣から南へ向かい温泉施設スパワールドへつながる道路を途中左折し路地を進んだところにあります。
通りには串カツで知名度ナンバーワンの「だるま」本店がある通りで、賑やかなメインストリートに対して道も狭いせいかあまり人通りの少ない隠れた名スポットです。
酒の穴は2店舗あり隣り合っています。
それぞれが独立した屋号の店舗かは不明ですが、以前お店のシャッターが半開きの状態で出てきた店員さんに営業日を聞いた際今日はこっちは休みだけど隣は開くよ、と教えて頂き店員さんがお隣を自店舗のように語っていたので系列とみてよいでしょう。
因みにどちらも同じ居酒屋ではありますが厳密には提供するメニューが若干変わっており、西側が居酒屋、東側がお好み焼きや鉄板焼きも提供する居酒屋となっているようでした。

外観・内観・お料理

 力強く書かれた酒の穴の看板がとっても目立ち、回転看板にはこのお店に来たらまずこれを頼め!と言わんばかりのメニューも載っています。
どちらのお店も構造的には同じで入店するとコの字にカウンターがあり、中が調理場となっています。
テーブル席はなく(軒先にあったっけ?)すべてカウンターで座る箇所によってはお惣菜が乗った小皿が所狭しと置かれた冷蔵ケースもあり、壁に貼られたメニューを見て注文も良いのですがお惣菜系も多数用意されているので小鉢を眺めながらほしいものを注文するのも楽しいかも。
でも冷蔵ケースがカウンター内の死角になるので提供するとき店員さんから受け取りにくいので注意も必要です。
店内にもくもく紫煙が漂い大阪エリアのテレビ番組が流れる雰囲気、これこそローカルフードを楽しむにもってこいなロケーションですよね。
さて昭和の風景も入り混じる店内で何を頂きましょう、と初めて来店した時はメニューをぐるぐる眺めて思案に暮れていたものですが、こちらのお店にも串カツの提供があるのでそちらを注文。

キャベツはお代わりが無い

大阪旅行の初めってどうしても王道のご当地グルメに走ってしまいがち、もちろん串カツ食べ比べに新世界の串カツ店も4店舗位周ったことがあります。
そんな中珍しいというかこちらのお店では串カツは「ソース二度付け禁止」という張り紙が無いんです。
というのもこちらのお店ソースはバットに入ってないんです、串カツ専門店ではないからかしら。
ソースはぷよぷよした容器に入っていて適宜自分で付けるタイプ、バットに入っているお店のはウスターのようなサラサラなものが多いのですが、こちらのお店は中濃のようなこってり感。
大阪の串カツ初心者だと違和感あるかも、でも何店舗か食べ歩いてみるとこういったお店もありなのかもですね。
串カツは大阪らしい「ヘレ」がありこれを見るだけで大阪だぁと唸ってしまう所、関西圏ではお肉といえば牛が標準だから豚には豚の名称がつけられているんですって、だからへれは豚のひれ肉ってことね。

向こう側にソースのボトル

よくよく考えてみると大阪のお土産でも有名な551蓬莱の豚まんも肉まんとは言わないのは肉と表記すると入っているのが牛だと思われてしまうからなんでしょうね、このあたりの食文化の違いも知るとより楽しめます。
とこんな感じで初来店から数度串カツを食しまして、カラッと揚がったヘレや玉ねぎなどを少しこってり目なソースで食べる串カツも大変おいしい。
二度目か三度目の来店ともなるとなんとなく慣れた感じがしてお酒は少しでいいから黒の小瓶ね、とか揚げ物とか小皿の総菜はお安いけどお造りは結構いいお値段するからこちらではチョイスすることないかも、なんて勝手もよくなったり。
続いてはこちらも大阪ならではの「どて焼き」。

どて焼きは串が刺さらない

このお料理も関東圏ではなじみのないメニューで、すじ肉を串にさして甘い味噌で煮込む一品。
すじといってもお肉の間にあるすじの部分ではなくてどて焼きで一般的に使用されているのは牛のアキレスの部分で大分類的にはすじ肉と分類されているようですがそれぞれで歯ごたえが全然違うんですよね~。
アキレスのぷりぷりした感触は一度食べるとはまる人多いですよね。
このアキレス、関東でも食べる機会があるとすれば横浜中華街あたりかしら?しょうゆベースに中華なスパイスと八角の香りを纏ったアキレスも歯ごたえと非日常感を体感する香りが美味しかったりして。
あとはコンビニとかおでんが日常的に食べられるエリアにもアキレス使うところがありますよね。
と話が脱線したところでこちらのどて焼きちょっと特徴があり、酒の穴ではそのアキレスだけでなく所謂一般的なすじが入っているようで、よく見かける串に刺さった形状ではなく小鉢に盛られているんです。
なので大阪の立ち飲み店で見かける味噌のプールに串の刺さったどて焼きがずらりと並ぶ風景は厨房内にはなく、もつ煮よろしく大鍋で煮込まれているようです。
しっかりと煮込まれたすじはもうトロトロでこれまた甘辛い味わいがお酒に合うんですよね~。
小鉢なのでお料理をたくさん注文した時にシェアしやすいのがいいかも、これも他の居酒屋さんと一線を画す酒の穴のオリジナリティです。
そしておすすめではなく私が来店したら必ず食べたくなった逸品がこちら、2024年現在ではもう提供されることのない「レバ刺し」です。

2024年現在メニューにない

たしか2010年あたりだったかと思うのですがこの時は未だメニューに名を連ねていて注文できましたね。
お値段は一皿350円ぐらいだったような、レバーの盛りはそこまで多くないですがたっぷりごま油がかかって食べ応え十分、低温調理では味わえない美味しさがあるな~っと今思えば外食で生レバー食べられた時代に食べ歩きできて幸せ。
最後に私のおすすめというか、何度か来店経験のある方から人伝に有名らしいよと噂を聞くのが「八宝菜」なんです。

スープ八宝菜

この八宝菜、何が特徴なのかっていうとうまく表現できませんが「八宝菜っぽくない八宝菜」なんですよね。
私がイメージする八宝菜ってとろみの付いた野菜炒め的な感じなんですけど、こちらのはどちらかというととろみが極限まで抑えてあるスープ八宝菜なんです。
食材も身がぷりぷりの海鮮使ってますとか、うまみを凝縮した出汁を吸ったお野菜が美味しいですとかそのようなハイソなものではなく、どちらかというと家庭でさっと出来上がる感じのチープな味わいがどことなくホッとする味なんですよね。
それはお値段にも表れていて、初めていただいたときが200円だったんです。
優しい塩味がお酒のあてにもなるし、ちくわとかまぼこの魚のすり身もいい味出しているしでこれはファンができるのも納得、八宝菜を食わずして酒の穴は語れないですね。
というわけで私の食した印象に残るお料理をご紹介しましたが、苦い思い出も一つあったりします。
今思えば職人肌の店員さんがいらっしゃったんだなぁと思う2024年現在、どこの飲食店でも就労している外国人が多くなった昨今、酒の穴でもそれは同じで3年前伺ったときも中華系の方がいらっしゃいましたね。
そして更にずっと遡る12~3年前に伺ったときは職人気質の方がいらっしゃって齢は60を過ぎた辺りの大将っぽい、寡黙でひたすら調理をしている方。
来店時毎度のようにまずお酒と八宝菜や小鉢を注文しまず一献、大阪旅行の醍醐味を満喫するぞ!と久しぶりの酒の穴。
またつまみが欲しいなと大将に串カツを注文したら「注文するなら一度に頼め!」と一喝されてしまい私はびっくりどっきり、さらにカウンター向こうにいた小さい子連れのご夫婦も引いている様子。
そうなんだ、今まで知らなかったけど酒の穴は注文するとき一回で注文しないとこんなにも怒られるんだとわかり得ましたが、数度来店して初の経験だったので驚きの大きさに比例してしっかりと記憶に残りました。
その状況でも注文したお料理は結果提供していただけましたがばつが悪いのはその後の雰囲気で、大将は一喝した後も黙々と調理していたのですが他の店員さんもその一件があって気まずい面持ち、はす向かいの夫婦はさあどうしたものかと困っている様子、そして夫婦は驚きの行動に!
というとしょうもない芸能記事のような見出しですが、どうやら私が一喝された後も追加注文したかったご夫婦は子供をだしにして注文させるという手段をとっていました。
5歳ぐらいの女の子が「○○ください」なんて可愛く大将に声をかけると私に啖呵を切った数分後だったのでどう対処するのが良いのか困った様子で無言で注文を受けていました。
もちろん、はす向かいのご夫婦は私より先にお食事されていた方ですから追加注文ってことで大将的にはもやもやされていたんでしょうね。
人によって対応変えるとこんなにも空気が震えるんだ~、とこれも大阪の風景として切り取ってよい思い出になったりして。
しばし不思議な空気が流れる店内で私は遠い目をしながら大将とご夫婦を視界に入れつつ一人の酒宴を楽しんだのでありました。
数年に一度ではありますが酒の穴に再来店してもその後その大将の姿は見かけることはありませんでしたが、あのカオスな展開も中々スリリングでまた体験してみたかったりもします。
そんなネガティブをポジティブに変えるマインドを鍛えられた居酒屋の思い出語りでした、お手頃価格の美味しいお料理ごちそうさまでした~。

変わらぬ佇まい

おわりに

 いかがだったでしょうか。
2024年に新世界を歩くと外国人が跋扈しインバウンド向けの新しい飲食店だけでなく外国人に受けの良い遊技場が進出しノスタルジーを醸す雰囲気は徐々に失われつつありますが、未だ歴史を刻み続けるお店が酒の穴のように残存しています。
大阪旅行に於いてミナミエリアを歩く方であれば、ディープな雰囲気を体験したい方、レトロな居酒屋で大阪のご当地料理を食べてみたいという方はこちらのお店を選んでみてはいかがでしょうか。
特に関東圏の東京上野や御徒町、浅草など下町にある立ち飲み店や居酒屋の雰囲気が好きな方にはグッとくるものがある事でしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました🐾


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