TOEFL iBT のリーディング問題④ -AGGRESSION-
ほい、というわけでTOEFLの演習/解説の実況中継の4回目、The Official Guide to the TOEFL Test Fourth Editionの PRACTICE SET 4 のパッセージ、AGGRESSIONに取り組んでみたいと思う。出題傾向や解法についてはTOEFL iBT のリーディング問題について①を参照のこと。
AGGRESSION
1. 1. According to paragraph 2, what evidence indicates that aggression in animals is related to the hypothalamus?
第2パラグラフはaggressionあるいはその関連語が結構たくさん出てきているので、そこをしっかり読み解けば大丈夫。キーになるセンテンスは electrical stimulation of part of the hypothalamus triggers stereotypical aggressive behaviors in many animals. である。視床下部の一部が電気的に刺激されると、多くの動物は攻撃的なふるまいを見せるわけだ。ということから、Animals behaving aggressively show increased activity in the hypothalamus. が正解と判断できる。
2. According to Darwin’s theory of evolution, members of a species are forced to struggle for survival because
これは第3パラグラフで、Darwinが触れられている個所を素直に読もう。5行目に A struggle for survival follows. とある。生存競争がその後に続く、とある。なので、その前の部分に製造競争が生じる理由が書かれている。Darwin held that many more individuals are produced than can find food and survive into adulthood. = 食べ物を見つけて成体になれるよりも多くの個体が生み出される、ということ。これと同じことを言っている many more individuals are born than can survive until the age of reproduction が正解。
3. The word “inevitable” in the passage is closest in meaning to
ボーナス問題。万が一、inevitableを知らないのなら、TOEFL Juniorか、英検準2級からやり直しだろう。その場合でも、「頭に in がついていて、お尻に able がついているということは、inactive とか incorrect のような否定の意味とavailable とか portable のような可能の意味だから、似たような感じの unavoidable か unsuitable かな?」ぐらいには思えなければならない。答えは当然 unavoidable である。
4. The word “gratify” in the passage is closest in meaning to
語彙問題、すなわちボーナス問題・・・とは言えない。この語はまあまあ難しい。安土桃山時代が好きな人なら、細川ガラシャの名前を知っているだろう。ガラシャがラテン語の gratia から来ていることも知っている人もいるかもしれない。これは「恩寵」の意味を持つ。これに接尾辞 ify がくっついて動詞化している。恩恵を与える ⇒ 相手が喜ぶ ⇒ 喜ばせる、満足させる、という具合に覚えよう。正解は satisfy である。
5. The word “they” in the passage refers to
They may be expressed toward ~ が2つある。express = 表現するなので、表現されるもので、なおかつ複数形のものを冷静に探せばよい。選択肢の中で express されるのが可能なのは pent-up aggressive impuleses だけである。パッセージをしっかり読めていれば、選択肢を見た瞬間に正解を出せるだろう。
6. According to paragraph 5, Freud believed that children experience conflict between a desire to vent aggression on their parents and
これは簡単。第5パラグラフには逆接の意味を導く接続詞 Yet があるので、その後半を読み込むべし。 Yet, children, also fearing their parents’ punishment and the loss of parental love, come to repress most aggressive impulses. とある。親からpunishmentを食らったり、愛されなくなることを恐れるとある。したがって正解は、a fear that their parents will punish them and stop loving them となる。
7. Freud describes people as “steam engines” in order to make the point that people
steam engines = 蒸気機関のこと。機関車をイメージできれば良い。By holding in rather than venting “steam,” we set the stage for future explosions. = 蒸気を放出するのではなく抑え込むことで、我々は将来の感情爆発のお膳立てをしている、ということ。蒸気機関車のエンジンも蒸気を放出しなければ、いつか(というかすぐに)爆発する。人間=蒸気機関という例えでもって、蒸気=攻撃的な衝動をため込んではいけない、と言っているわけだ。正解は、must vent their aggression to prevent it from building up となる。
8. Which of the sentences below best expresses the essential information in the highlighted sentence in the passage? Incorrect answer choices change the meaning in important ways or leave out essential information.
ハイライトされているのは
For example, people who believe that aggression is necessary and justified - as during wartime - are likely to act aggressively, whereas people who believe that a particular war or act of aggression is unjust, or who think that aggression is never justified, are less likely to behave aggressively.
という長いセンテンス。こういう長いセンテンスは不要な部分を削ぎ落して考えるべし。それは往々にして形容詞や副詞、例示などを抜きにしてシンプルに考えよう。攻撃は必要と思う人は攻撃的に振る舞うし、攻撃は正しくないと思う人は、攻撃的に振る舞う可能性は低い、と言っている。これに合う選択肢を探せばよい。面白いことに本問の選択肢は一つを除いてすべて「戦争」に言及している。as during wartime に引っ張られる事なかれ。これはあくまで例示の表現であって、話の本筋ではない。正解は People who believe that aggression is necessary and justified are more likely to act aggressively than those who believe differently. となる。
9. According to the cognitive approach described in paragraphs 7 and 8, all of the following may influence the decision whether to act aggressively EXCEPT a person’s
第7パラグラフに For example とあるので、その前をチェックする。我々の振る舞いは、価値観や状況の解釈、選択によって影響される、とある。当たり前田は広島カープだと感じるが、ここでは values = 価値観が言及されている。このパラグラフの残りはハイライトされているので、次の第8パラグラフに移る。ここでもキーワードの aggression の関連語である aggressively が、People decide whether they will act aggressively or not on the basis of factors such as their experiences with aggression and their interpretation of other people’s motives. というセンテンスから見つかる。ここから唯一言及されていない instinct to avoid aggression が残ることとなる。
10. The word “distort” in the passage is closest in meaning to
ボーナス問題。distort = 捻じ曲げる、を知らない人は英検2級に逆戻りせよ。類義語は misinterpret 。mis + interpret だが、interpret を万が一にも知らない場合は英検準2級にさようならである。
11. Look at the four squares [■ ] that indicate where the following sentence can be added to the passage.
According to Freud, however, impulses that have been repressed continue to exist and demand expression.
Where would the sentence best fit?
文挿入問題。探すべき this や that といった指示形容詞や代名詞が見当たらない。こういう時は接続詞を探そう。however という逆接が見つかる。その後ろを読むと impuleses that have been repressed とある。repress はどこかで見たぞと感じられればグッド。Yet, children ~ のところにあった。もう一つ目につくのは、Freud の名前。The Freudian perspective という表現に「?」と思う人は多いだろうが、これは Freud の形容詞系。ian がつくと形容詞になるのだ。TOEFL受験者なら、Jeffersonian democracy = ジェファソン民主主義という言葉も知っておきたい。映画好きなら、マット・デイモンの The Martian = 火星の人(邦題は『 オデッセイ 』)を知っているかもしれない。正解は2つめの選択肢。
12. Directions: Complete the table below by matching five of the six answer choices with the approach to aggression that they exemplify. This question is worth 3 points.
Answer Choices
1. Aggressive impulses toward people are sometimes expressed in indirect ways.
2. Aggressiveness is often useful for individuals in the struggle for survival.
3. Aggressive behavior may involve a misunderstanding of other people’s intentions.
4. The need to express aggressive impulses declines with age.
5. Acting aggressively is the result of a choice influenced by a person’s values and beliefs.
6. Repressing aggressive impulses can result in aggressive behavior.
Biological Approach
〇
Psychodynamic Approach
〇
〇
Cognitive Approach
〇
〇
それぞれのアプローチにマッチする選択肢を選ぶ問題。各段落のキーワードを含むセンテンス、逆接の後、例示の前の部分をしっかりと読み込んで、パラグラフ単位の要約が頭に入っていれば恐るるに足らず。
Biological Approachと聞いた時、「ダーウィンがどうこう言ってたなあ、生き物の生存と食べ物がうんたらかんたら」と感じられればOK。
Psychodynamic Approachと聞けば、心の動きを思い起こせばよい。実際に第5パラグラフの要点は、逆接の接続詞 Yet の後、子どもが攻撃衝動を抑え込んでしまうことが書かれている。また、 例示のマーカーの一つである such as の前に expressed toward parents in indirect ways とある。
Cognitive Approachを扱う第7パラグラフの For example の直前のセンテンスで、価値観、状況の解釈、そして選択が言及されていた。
これらをパッと読み返す、あるいは思い起こすことができれば
Biological Approach
〇 2
Psychodynamic Approach
〇 1
〇 6
Cognitive Approach
〇 3
〇 5
が導き出せる。
TOEFL iBTのReading Passageとしては、やはり平均的な難易度。心理学や行動学は割とTOEFLが好むトピック/テーマなので、余裕がある人は問題を解くだけではなく、パッセージそのものを critical thinking の対象にしてみてはどうだろうか。TOEFLは時々、かつて定説とされていたが、今では誤りであると判明しているトピックもたまに出てくるので。まあ、日本の大学受験や英検準1級、1級の長文の古さに比べれば全然マシなのだが。
次はARTISANS AND INDUSTRIALIZATIONを実況予定。乞うご期待。
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