テーマソング

はじめに

まずは改めて。ピロウズ結成35周年おめでとうございます。わたしが初めてピロウズを観たのは20周年、武道館の時でした。あれから15年!
偶然が重なって出会い、もっと早くに!って悔やんだ時期もあった。あの時だからこそ出会えて、(音楽自体実は聴くことから遠ざかっている現在も)わたしの中でテーマソングとして鳴り続けてる、って思えるようになったのはここ数年のことなので、熱量と共に始まった出会いからの10年についてはまた違う機会に。
5年前の今日、からお付き合いください。


世界中の窓から笑い声がこぼれて

30周年の横アリ。もうこのまま朝目覚めなければいいのに、って思う日々から解放された頃。望まぬ理由で泣く泣く越してきた地だったので、30周年を横浜で、って聞いた時だけは単純に嬉しかった。10年ひとりバスターズだったけどそんなものだと、ちょっと寂しいライブの帰り道もそれはそれでありだと思っていた。
当時のわたしはガラケーをこよなく愛していて、周囲からさんざん言われようやくスマホを使い始めた(っていうかほぼカバンに入れてただけ、ガラケーを主の2台持ち)G-SHOCK仕様で頑丈なガラケーは車にひかれても無事だったので、こんなペラペラで押した感覚もないもん信じられなかった。(今はだいぶ信じてるけど、こんにゃくみたいってまだ思ってる)
そうはいっても新しいオモチャなのでちょっとお試しでピロウズ、って検索してみて見つけたのがTwitter。
それこそ絶対やらない、って公言していた世界。会ったこともないひと達と繋がるのは怖かった。だからこっそりのぞいてみたら、横断幕にメッセージを書きませんか?って方が。20周年で知った時はなんかごめんなさいここまでの道のりを知らずに好きになって、って気持ちだった。ありがとう!ってシンプルに伝えようって機会を作ることすら考えてなかったので、すごく心を揺さぶられたのです。
それでもアカウント作ってTwitterデビューする勇気は出せず、ボディバッグに密かにマッキーペン忍ばせて当日を迎えたのでした。しかし詳細を追っていなかったので、遭遇できず。
その日の新横浜の街は、世界中の窓から笑い声がこぼれていたみたいだった。どこにいてもバスターズがいた。こんなにバスターズがいるけど、やっぱりひとりなんだな、って帰る道はそれでも幸せな高揚感に包まれていたので、寂しくはなかった。

怖がって疑って でもちよっと覗いてたんだ

翌年は春を待たずに、得体の知れない感染症が世界を揺るがした年に。わたしの職場(当時は同じ職種を2箇所で掛け持ち)は休校のあおりを受けて大混乱。ライブハウスは早い時期から悪者扱いになり、何が正しい情報なのかわからぬままただただ不安な日々。その頃のわたしは唯一家族の中で外出(出勤)していたけれど、死んだ魚のような目をしていたらしいと、後から聞いた。
あれだけ避けていたTwitterを始めた。そこしかすがる世界が見つけられなかった。
発信する勇気は相変わらずなかった。でも、イラストやレゴや粘土作品や唄声や写真やマンガや、途方にくれながらも同じ音楽を愛するひと達の呟きはわたしのちっぽけな庭で花になって咲いて、それはささくれた気持ちをいつか、って未来を信じるあったかさに変えた。
そして31周年、ようやく自分の庭からピヨピヨと出てきたりしたのでした。

寂しい僕の庭に今 両手広げてキミが咲いてる

この時は多分殆どのバスターズとは繋がってなかった。でもかたっぱしからリツイートしてくれた方々がいたおかげで、わたしもみんなのことを知った。話しかけたりフォローをしたり、そのひとつひとつに思い出があって、なんだか懐かしいな。ピロウズ以外にそのひとが好きなものがむしろ印象に残っていたりする。
ただ眺めて感心していた企画にも、参加を始めた。プールで思い出し笑いしそうになって我慢した大喜利。ディスコードは完全に迷子になって、みんなががんばれ!って応援してくれたのは本当に嬉しかった。ツイキャスでは何回かリクエストして唄ってもらったなあ。知らない曲も知れた。
曲からイメージして詩のような文章を紡ぐ時間もとても好きだった。
今日は自分を奮い立たせたい、そんな日に着たTシャツの写真投稿したり。
誰でもここに来ていいんだよ、って誘ってくれた方々ありがとうございます。見かけなくなったあのひとも元気だといいな。
自分でも何か出来ないかな、って始めたのが
#何度もほどけてバラバラになったアイロンビーズ
本当に何度もバラバラになって半泣きでした。

We have a theme song

嵐が少しずつ小さくなって息を潜めずとも出歩けるようになっていって。SNSだけの繋がりじゃなく実際にお会いして、ことばでイメージしていたそのひとがペロンと平面から立体になって色彩とかおりを帯びていった。苦悩や憤りを文字の上で想像していたけれど、それでもそこに立ったそのひとは確かに笑っていたし明日を信じてるんだなって思えた。

って、ここまで書いてきて思ったのだけど、これはピロウズっていうバンドについて、楽曲について、っていうより完全に、ピロウズを愛する気持ちを共有してきたバスターズへの、キミへのラブレターになってるかも。(ピロウズへのラブレターは、つい最近、伝える機会を頂きました。本当にありがとうございました!)
この5年で、環境が変わり、悩みの大半は仕事になりました。音楽を聴きながらなにかをする、ってこともあまりできなくなりました。よっしゃ、って勢いをつけなきゃ音楽を聴けない。これが老いか?SNSに遊びに行くことも減りました。
それでも。
ひとは生まれたその日から死ぬまでずっとひとりだけど、ひとりきりじゃないと思っていて、あなたにもわたしにもテーマソングがずっと鳴っている。それがきっとわたしにとってのピロウズ。

そいでもって、ずっと苦手で避けていた飛行機に乗って、この冬はキミに会いに行くよ。




















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