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【決算短信】日本BS放送(9414)


決算短信雑感

先日の10月10日に、私の持ち株である日本BS放送(9414)が、2024年8月期の決算短信を公表しました。
日本BS放送は、ビックカメラ傘下で無料のBS11を放送しており、アニメや韓国ドラマ等に強みを有する会社です。

日本BS放送 2024年8月期決算短信

決算を確認した感想としては、やはりこの会社の業績は安定しているということです。売上や営業利益の成長もなければ、減退もない。
このため、配当生活を目指す者にとっては理想的な会社といえるのではないでしょうか。
ただ、配当金額については、もっと増配してほしいと感じました。
会社としては配当性向40%を目安にしているようですが、純資産配当率が2.3%というのは、まだまだ配当余力があるように感じます。
あり余る現預金を、有効に活用してほしいと思います。

業績推移の確認

2024年8月期決算を受けて、会社の長期の業績推移は以下のとおりとなっています。

日本BS放送 長期業績推移

こうして眺めてみると、売上金額が安定しているのと、営業利益率がかなり高いことが確認できます。
良質な映像コンテンツを、継続的に提供できているのではないでしょうか。

また、1株配当も徐々に切り上げてきており、会社のアナウンスどおり、配当性向40%が目安になっているようです。
BPSの蓄積も順調に進んでいることが分かります。

キャッシュ・フローの状況

次に、キャッシュ・フローの状況を確認してみます。
過去5年分のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなっています。

日本BS放送 キャッシュ・フロー分析

2023年8月期に約14億円の大型の設備投資が実施されていますが、これは主に第1・2スタジオ制作設備更新一式に係るもので、一時的なものです。
それ以外ではそれほど大きな設備投資はないため、FCFも贅沢です。

5年平均でみると、当期純利益とFCF(フリー・キャッシュフロー)はほぼ同数字となっていますので、十分にキャッシュを稼いでいます。

バランスシートの状況

最後にバランスシートの状況を確認します。

日本BS放送 BS分析

この会社は、総資産の約55%が現預金であり、キャッシュリッチであり、しかも無借金です。
おまけに、投資有価証券も約14億あります(大部分を2024年8月期に購入しています。中身については、今後公表される有価証券報告書で要確認です。)。

業績推移のところで確認したように、この会社は営業利益率がかなり高いのですが、CFROIも17.3%と高水準となっており、効率的に資本を投下していることが分かります。

このような会社が、10月13日現在の株価で計算すると、EV/FCF倍率で0.1倍です。
つまり、ほとんど資金を要さずに買収できてしまうのです。

ちなみに、楽天証券の個別株式の財務データで確認すると・・・
EV/EBITDA倍率 0.92倍
自己資本比率  91.07%
流動比率    825.81%
売上高営業利益率 17.02%
PBR 0.66倍
配当利回り 3.42%

こちらの数値でも、割安性及び安全性が高いことが確認できます。

ちなみに、これは余談ですが、四季報の最新号を確認すると、大株主の第5位に、バリュー個人投資家で有名な「吉田知広」氏の名前があります。
大量保有報告書に吉田氏の名前が出てきたのが、2023年8月期からなので、今現在の株価水準なら割安であると、吉田氏も判断されたのではないでしょうか。

株価チャートの確認

以下に、この会社の長期株価チャートを掲載しておきます。

日本BS放送 株価ロングチャート(楽天証券より)

長期チャートを確認すると、10年前とほぼ同水準の株価となっていますが、年々、現預金が蓄積されてきており、株式の割安性はどんどん増していると私自身は評価しています。

また、2022年末から株価が急落しているように見えますが、恐らく、それまで実施していた株主優待制度を廃止したことが直接的な原因だと思います(私は株主優待制度には反対の立場なので、株価が安くなるのは大歓迎です。)。

現在での配当利回りも高いため、一種の安全性の高い債権を持つ感覚で、この株式を長期で保有してみてはどうでしょうか。
私は、この会社で大火傷をする心配はほぼないと感じています。

今後の投資方針

以上のとおり、割安性及び安全性等に問題はないと判断しましたので、この株式を引き続き、保有していく方針です。

なお、個人的には、この会社は、将来的には、配当方針を配当性向ではなく、純資産配当率に変更するのではないかと考えています。しかも、かなり高い純資産配当率を下限として。
そうしないと、現預金が増加する一方になるからです。