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薬剤師の定着率が高い薬局さん2社。そこに共通する政策があった興味深い話

■はじめに

 ビックアイランド株式会社、代表の岡村信二と申します。
 当社は、私が20年以上調剤薬局チェーンの本部業務に携わってきた経験を活かして、調剤薬局の経営支援業務(システム支援、経営改善補助、店舗引退相談、店舗展開支援)を行っている会社です。
 
 今回は薬局さんに訪問すると、お悩みとしてほぼ毎回話題にあがる薬剤師採用の難しさ薬剤師の早期退職防止の2つ。弊社にはそのようなサービス展開が無いにも関わらずそういったご相談を受けるので、全国の薬局さんの多くは同じ悩みを抱えられているのではないかと考えています。
 その中で今回は、薬剤師の早期退職防止の項目について『薬剤師の定着率が高い薬局さんから聞いたこと2項目』をそっくりそのまま書いていきたいと思います。
 北陸地方と中国地方の全くお互い関わりのない薬局さんからほぼ同じことを聞いたので、薬剤師の早期退職(定着率)で悩まれている多くの薬局さんの参考になるのではと思っています。

■本題前のひとこと

 まず、せっかく採用ができた薬剤師さんは早く現場に慣れていただいて、長く活躍してほしいものですよね。
 経営者の方でなくても参考になる部分があるのでは?と思います。薬剤師を採用しない弊社でもなるほど。と思ったくらいですから。
 現場で試せるようであれば実践してみてください。現にこの方法を実践している2つの薬局企業さんは高い薬剤師の定着率を誇り、本来であれば採用に使う費用を、他の項目に投資ができており、積極的な店舗数拡大への費用や新設備の購入、在宅システム導入費などに回し、効率よく運営をされているのが事実です。
 こちらの投稿でわからないことや、詳細を伺いたいことがございましたら、Xや当社のホームページからお気軽にご相談ください。

1個目の項目
■配属間もない時の会話のルールを設ける(言葉遣い、敬語のルール)

 敬語、敬語じゃないかの言葉使いのルールを設けているということです。
会社のルールとしてまずは入社順、その次に年齢順ということをオーナー、薬局長より説明をしているそうです。
(職位が高い、高くない)(事務員だから、薬剤師だから)は関係なく、全員が一律に入社が先の方へは年下であっても敬語。後は年齢順だそうです。年上の方には敬語。

 25歳の1年前に入っていた方と、35歳の直近で入った人の店舗内での会話は敬語同士です。
 これには理由があって入社初期特有の、あの人いきなり馴れ馴れしいとか、いきなり距離が近いといったような、入社したて出会いたてで起こる、心の壁乗り越えちゃう問題を起こした人を少しハブるような、あの行動が無くなるそうです。
 逆もしかりで、その道経験10年35歳で入社した人が、入社は1年先輩の25歳の方にどう話していいか分からないといった、年上の方の悩みもたまにあるそうですが、会話方法のルールを設けておくことで言語が敬語に固定されるので年上の方も余計な事を考えなくてすんなりと従業員の方々と敬語で会話ができるそうです。
 薬局は一般企業と違って特殊な環境です。ほぼ全店が支店のような環境で、その企業には50名ほどの従業員がいても、店舗では5名程度で、その中で人間関係を保ちながら運営をしていかないといけません。
 メンバーが最大限仕事に集中できる環境づくりを心がけた結果、2社ともこの敬語ルールを設けたそうです。
 どちらの社長もご自身がもともと人見知りというところも共通していましたが。
 
 入社半年くらいまでの、初期の期間を超えるとお互い慣れ始めるので、そうなれば後は比較的自由にしてもらっているそうです。
 ただ新しく人が配属になる際は、このルールを入社の方、店舗の方に毎回周知しているそうです。この毎回周知というのがもしかすると肝かもしれませんね。

2個目の項目
■薬剤師の仕事に対する姿勢を店舗配属前に少し測る

☆薬剤師の方が入社をして店舗に配属になる前に、配属店舗の薬品リストと薬品使用リストを渡して何か思う事と感じた事を後日教えて。と言ってリストを持って帰ってもらうそうです。
金曜日に渡して、月曜日に教えてというような感じです。

●メンバーとも馴染め、業務の覚えも早い方の特徴
どうだった?の感想に
・この薬局は〇〇の症状の患者さんが多いんですね。
・普段あまり使われていない〇〇の薬品はなぜ在庫してあるのですか?
・門前の先生はAの処方をされるんですね。前いたところは同じ症状でもBの処方だったと記憶しています。などなど、これは一例ですが。
A.渡した資料を確認した上で、意見を言える方。

 このような方が入った際は、配属店舗のメンバーに対して
『比較的覚えが早い方だと思う。うちの店舗特有のわからないことはあるだろうから仲良くしてあげて』と伝えて配属するそう。
 センス〇の評価ですよね。

●細かいところまで目が配れないが、時間が解決するタイプ
どうだった?の感想に
・すみません見ていません。 やばい!といったような様子(反省している感じ)
・〇〇の薬が良く出ているってことだけは、わかりました。

A.資料を詳しく見ていないが、それを正直に言える方

このような方は、悪い人ではないが業務に少し抜けがあることが多いパターンらしいです。
このような方が入った際は、配属店舗のメンバーに対して『少し抜けている部分があるかもしれないから、なにかあったら優しく教えてあげて。おそらく悪い人ではないと思うから。』このくらいの感じで店舗メンバーに説明をしたうえで配属するそう。
センス△ 人間性〇 くらいの評価でしょうか。

●少し問題になりそうなパターン
どうだった?の感想に
・見たけどよくわかりませんでした。
・引っ越したばかりで見てないです。
・見るの忘れていました。

A.おそらく資料を見ていない、言い訳が文頭にきてしまう方

上のすみません見ていません。と文章上では変わらなく見えると思いますが、悪びれる様子が無い、面倒くさいといった態度が出る方がいるそうです。
そんな人取った社長が悪い!と言った声が聞こえてきそうですが、面接では分からなく取ってしまったんです。経験ある。といった薬局さんも少なくないと思います。辞めさせるわけにはいかないのでなんとか慣れてもらうしかないという形で続きを書いていきますね。
 こういう方は業務継続は難しいかもなとは思いますが、実際にいらっしゃるようです。
 このような方が入った際は、配属店舗のメンバーに対して『ごめんなさい。ちょっと難しいタイプで慣れるのに時間がかかるかもしれないからみんなでご指導お願いします。敬語のルールを破るようなら社長まで報告をお願いします。』こんな感じで店舗メンバーにちゃんと伝えるそうです。そうすることで、入社された本人ではなく矛先が採用をした社長に向いてくれる事があるそうです。

■おふたかたの見解と、私の余計な解説
 どんな方が入ったとしても同じ対応で、今日から入社された薬剤師の〇〇さんです。皆さんお願いします。
と伝えるより、少し入社される方のタイプによって紹介の言葉を変えるだけで、既存の従業員さんたちの初期対応の柔らかさや、心持ちからくる態度が若干変わってくるそうです。
 
 一度コミュニケーション能力が充分にあり、気が遣え業務の覚えが早い方が入った事を経験された店舗の従業員さんたちは、その人くらいはできると、そのできる人の入社以降、そう考えてしまうのが一般的らしく、見る目のハードル(評価基準)がかなり上がってしまっている、それも実は早期退職へ追い込む原因だったりするそうです。
 私も経験がありますが、入社初日や入社間もないころは、自然にしているつもりでも気が張っていてすごく疲れることがありますし、変に集中している分、普段やらないようなミスも起こしてしまった経験もあります。
 学生の頃の飲食店バイトの最初の1週間は、それはそれはひどいものでした。スープをひっくり返したり、お釣りをだいぶ多く渡してしまっていたり、普段では考えられないような事がなぜか入社初期は起こります。
 ほんと不思議です。あの状態に名前があっても良いと思っています。
わかる!という方がいてくれると嬉しいです。
 
 そんな過度な緊張に加えミスをしてしまい、自分でも落ち込んだ状態なのに、他の方からガツンと怒られようものなら、だんだんと職場へ行きたくなくなってしまうんでしょう。
 「今まで何経験してきたの」とか心無い言葉をかけちゃう人も、もしかしたらいるかもしれません。自分でも落ち込んでいるときの追いひとこと、あれ地味に心へ突き刺さります。
 まぁ誰でも傷つきますし、家に帰って色々考えこんじゃう方もいると思います。辞めちゃおうかなとか。
 そういった魔の入社初期状態(約半年)をなるべく店舗メンバー全員穏やかな気持ちを保ちながら、越えてもらうための策だと話されていました。

 共通していたのは、入社される方のコントロールではなく、既存の従業員さんたち、入社の受け手側を少しだけコントロールすること。
 入る側は中々思い通りにできないし、難しいからということでした。
入社側へのOJTを設けている薬局さんはよく聞きますが、受け入れる側の従業員さんへの入社人物のタイプ周知と入社したての方との会話方法のルールを設けて、コミュニケーションにおける余計な考え事をさせない工夫、これは面白いと思い今回記事にさせていただきました。
 
 おそらく入社される全員が3つのタイプに当てはまらないと当然思いますし、新しいタイプが出てくることも予想できます。十人十色です。あとはなんのルールも守れなくてもすぐに店舗へ馴染む方も居るかもしれない。と言ったことは補足として書いておきますね。
 従業員さんへのお声かけのパターン分けに関しても、薬局さん独自でさらに細分化しても面白いと思います。
あくまで、薬剤師の定着率の高い薬局さんの入社初期対応の一例です。
 実践方法を詳しく伺った話ですので、余計な私のまとめ等あまり入れないほうが読みやすいと思いここまでにしておきます。

■さいごに
 どこかで聞きましたが、良いものは徹底的に盗んで、進化をさせる。
良いアイディアは盗んでしまえば良いと思いますし、自社の色に合うように進化させてしまえば良いと思います。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。
定型文で申し訳ございませんが、読んでいただいた方の薬局店舗の発展を本気で陰から応援しています。少しでも店舗運営の参考とお悩み解決の一手となれば幸いです。

#薬剤師 #薬剤師採用 #薬剤師定着率 #薬局運営

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ビックアイランド@岡村信二(薬局支援)
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