グループディスカッションを攻略する
選考の一形式「グループディスカッション(略してGD)」
学生の中でも得意、不得意が明確に分かれる選考形式です。
ただ個人的にGDは一度コツがわかれば、非常に通りやすい選考形式でもあります。
今回はこのGDのコツを簡単にご紹介します。
(人事の人から受けたフィードバックを参考にしています。)
参考にしていただけると幸いです。
GDで面接官に何が見られているか
グループ全体として見られている点はただ一つ。
「議論のプロセスの的確さ」です。
与えられた時間で確実に結論を出せるよう、いかに議論を組み立てたか。
このプロセスがグループ全体として評価を受けます。
議論の結論自体は一般的にあまり評価を受けません。
(多少は見られる場合もありますが)
そもそも20分や30分という時間で考えるのが難しいテーマを与えられるケースが大半ですので、テーマについて完璧に結論を出すことは不可能です。
それより、与えられた時間をうまく利用して、結論にどれだけ近づけたか、そのプロセス自体が評価を受けると考えた方が自然でしょう。
そして個人の評価はこの全体での議論の過程にどれだけ貢献したかで評価を受けます。
リーダーとして議論を主導した場合はもちろん、議論が脱線した場合に議論を軌道修正したり、議論が停滞した場合に別の観点から発言し、議論を盛り上げたりすると、評価を受けます。
GDの目的を明確に意識しよう
さて、いま一度GDの目的をチェックしてみましょう。
シンプルに考えると、GDの一番の目的は「選考を通過すること」
この目的を満たすには、
「いい議論のプロセスを全員で作ること」
「その議論のプロセスにうまく貢献すること」
の二つだけを意識すればいいわけです。
当たり前のように感じますが、ここを意識するだけでも通過確率は上がります。
というのもGDでよくある
・リーダーの主導権争い、奪い合い
・まわりを否定しまくる
・アピールしようと「演説」をする
といった行為がすべてマイナス要素であると分かるからです。
目的はあくまでいい議論のプロセスを構築し、そこに貢献すること。
そしてこれを実現するにはグループ全員の協力が不可欠です。
アイスブレイクはとても大事
上記を考えると、もしGD前に時間があれば、グループ内で積極的にコミュニケーションを取っておいた方がいいでしょう。
選考と考えると、どうしても相手を敵だと考えがちですが、この発想は誤っています。
目の前の選考では協力して、全員で通過するくらいのスタンスで臨みましょう。
実際に全員が通過することはあまりありませんが、グループによって通過率に差が出るのもまた事実です。
(僕が今まで参加したGDの中で全員が落ちたケースも全員が受かったケースも見たことがあります)
全体的によい雰囲気で進んだグループの方が、議論の過程で全員が協力します。結果的に通過率は上がり、うまく議論に乗っかるだけで、自分自身の通過率も上がるでしょう。
逆に協力に失敗すると、全員が正面から戦い合う状態に陥り、議論のプロセスをうまく組み立てる難易度が格段に上がります。よって選考を通過する難易度も上がります。
(腕に自信がある人はこれでもいいのでしょうが)
というわけでGDのスタート前に軽く自己紹介をしましょう
名前とか大学名とかどうでもいいんで、サークルや週末の過ごしたかといった楽しく場が盛り上がる話をすることが大事です。よく大学名で威圧してくる人がいますが、ここはそういう場ではありません。
そしてアイスブレイクの中で、「プロセスが大事だよ」「全員で協力して議論した方が通過しやすいよ」と一部の人間の暴走を防止する発言をしておくといいでしょう。
議論をうまく組み立てるポイント
一般的に、GDというとテーマの定義、役割分担、時間配分、ブレインストーミング等々多くの要素があるように考えられています。
ただここではあえてポイントをシンプルに説明します。
GDにおける議論でまず意識することは、
「テーマを分解して、的確に議論する要素を抽出すること」
です。
例えば「LINEの利用者数を1.3倍にせよ」というテーマであれば、
・LINEの利用者にはどういった層の人がいるか?(年齢、男女、国内外etc)
・「1.3倍にせよ」とはいつからいつまでの期間での話か?
・自分たちの立場はどうか?LINEのマーケターか?それとも第三者目線か?
といった具合に分解することで、いくつか議論する要素が分かります。
議論する要素が分かれば、あとはその要素をどういう順番で議論していけば結論が出るかを考えるだけです。
よく焦って冒頭からアイディアを出し合ってしまったり、テーマを吟味せず、役割分担といった形式上の議論に時間をかける人がいますが、落ち着いてテーマの分解に時間をかけましょう。
そして、テーマの分解に次いでポイントと考えられるのは、
「最終的に結論をどう出すか」
です。つまり結論を出すにあたっての判断軸をどこに置くかです。
例えば「2024年オリンピックの開催国をどこにするか」というテーマがあったとしましょう。
この場合、結論として出せるのは一つの都市だけです。
例えば、「ドイツ」と「南アフリカ」の二つが候補に挙がったとします。
資金面では先進国のドイツ、アフリカ開催という意義では南アフリカ…
というようにトレードオフが発生するはずです。
こうしたトレードオフを見通して、「最終的に現実的に開催可能かどうか」を最も重視するのか、「スポーツやオリンピックの開催意義」を最も重視するのかを、判断軸として話し合っておくと、結論を出しやすいです。
個人としてどう議論に貢献するか
次は議論全体の中で、個人としてどう貢献するかの問題です。
ここが言ってみれば一番難しいです。理由としては、
・人によって得意不得意がある
・議論によって毎回参加者が変わる
の二つが挙げられます。
つまり自分個人という要素とグループ全体の参加者という要素の二つの変数があるからです。
ただここでもシンプルに考えましょう。
GDの目的は冒頭で説明した通り、参加者で協力して、いい議論のプロセスを組み立てることです。
例えば、リーダーを積極的にやる人がいれば無理に奪わず、そのサポートにまわるのも戦略の一つです。
そして個人的におすすめのポジションは、この「全体を見渡し、グループが見落としている視点を拾ってあげる役割」です。
具体的には、
・「今はテーマを吟味する時間だよね?」
・「Aの軸に議論が集中しているから、Bの軸でも考えてみよう」
・「残り10分を切ったからそろそろ結論を出せるようにしよう」
といった発言を意識的にする役割です。
時間的制約がある中でグループ内には焦りが生まれます。
焦りが生まれると、グループではただアイディアを言い合ったり、話の本筋とは乖離した枝葉の議論に時間をかけてしまったりする事態に陥りがちです。
よって一歩距離を取って、目の前の白熱する議論に欠けている視点を拾う役割は、自然と貢献度が上がります。
もちろん議論が静かで、発言しにくい雰囲気であれば、逆に積極的に発言するのも手でしょう。
このあたりは状況に合わせて柔軟に姿勢を変えたほうがいいです。
その他 ちょっとしたコツや注意点
ここまで全体の議論の組み立て方やその中でどう個人が貢献するかについてお話しいましたが、ラストにいくつかちょっとしたコツや注意点をご紹介します。
・発表は他薦がベスト
発表者ですが、自然と他の人に推薦してもらえる状況がベストです。この状態であれば、ほぼ選考は通ったものと見ていいでしょう。
・発表で他薦が無い場合は発言量の調整を
他薦が無い場合は、発表は発言量の調整と考えると無難です。「喋りまくってしまった」と感じた場合は控え、「うまく喋るのに失敗した」と感じた場合は積極的に立候補しましょう。挽回のチャンスです。
・議論はホワイトボードか模造紙があれば模造紙を
人は他の人の話を理解しているようで実は理解にギャップがあります。そこで話した内容を文字にして明文化することでこのギャップが発生するコミュニケーションコストを削減しましょう。ホワイトボードが置いてある場合は「ホワイトボードを利用して議論してね」という面接官からの暗黙の要求だと受け取ってください。
・席に自由に座れる場合は真ん中の席に座る
席は指定の場合と自由の場合があります。自由の場合は、真ん中に資料を置いて議論をする場合が多いので、真ん中に座っておいたほうが無難です。何より中核で議論をしている感が出ます。
・書記は実は得だったりする
書記は大変ですが、議論全体の情報を唯一手元に持っているというアドバンテージがあります。このアドバンテージを生かして、全体に欠けている視点を拾ったり、議論を整理整頓する役割を担いましょう。