撮影秘話をちょっとだけ|書籍化までの道のり④
2年前、自称「料理ができない男性」を集めて始まった料理教室で偶然生まれた「図解レシピ」ですが、この度、なんと飛鳥新社さんから書籍化されることが決定しました!
前回は、発売前の目次を一挙大公開して図解レシピ本にどのようなメニューが載っているのかご紹介しました。
レシピ本で読者の心を掴むもの、それは「写真」
目次を見たら、中身も気になるところだと思うのですが、今回はレシピ本で一番大切な”写真”についてお話ししたいと思います!
図解レシピ本を手に取ってくださった方に「作りたい!」と思わせる「美味しそう」で、かつ「作れそう」に見える写真は、レシピの図解化と同じくらい大切な要素です。
その撮影秘話をちょっとだけご紹介しちゃいます。
一般的なレシピ本の撮影は、料理を作る人(料理家)と撮る人(フォトグラファー)のほか、本全体を構成・プロデュースする編集者、文章を書くライター、レイアウトを行うデザイナー、食器をコーディネートするスタイリストなど、各分野のプロたちが集まって行われます。
しかし今回の『図解レシピ』本では、編集者・ライター・スタイリストの3役を、なんと加藤洋子さんがお一人で担当してくださったのです。
そんな加藤さんと一緒に撮影を振り返りました。
ターゲットを意識した世界観をフォトグラファーと共有することからスタート
今回の図解レシピ本の撮影は、コロナ禍ということもあり対面による事前の打ち合わせがほとんど出来ず、フォトグラファーさんとの対面は撮影当日でした。我々料理男子プロジェクトのメンバーももちろんフォトグラファーさんと初対面です。
まず撮影前に、加藤さんからフォトグラファーさんへの想定読者層を共有することから始まり、そこから具体的なスタイリングのイメージや撮影方法のすり合わせが行われたのですが、その作業の中で出てきたのが、20~30歳代で料理を特別なことではなく日常としてとらえていて、例えばコーヒーが好きとかちょっとした趣味があって、「BEAMSっぽいイメージ」?
確かにBEAMSのシンプルでカジュアルだけど上質なファッションを好む男性と料理男子プロジェクトで想定しているターゲットはかなり共通項がありそうです。
事前に書いておいたコンテに沿って撮影を進めます
実際に料理撮影では、
食器の選定→調理・盛付け→スタイリング→写真撮影
というステップで進んでいきます。とくにレシピ本では、たくさんの料理を短時間で撮影していくので、できたての料理が一番おいしそうに見えるタイミングを逃さないようにしつつ、スタイリングや撮影のセッティングが効率よく進められるようにしなければいけません。さらに合い間にプロセスカット(調理手順)も撮影します。
撮影の方法は、加藤さんは事前にコンテを書いて入念なシミュレーションをしてから臨むスタイルで、図解レシピ本でも同様にコンテを制作していました。
また、本の流れを意識して全体のスタイリングのバランスなどを見やすくするため、今回は目次順に撮影を進めていきました。図解レシピでいうと、豚のしょうが焼きから撮影が始まったわけです。
撮影済みのカットを貼付した、実際の絵コンテ
実際に撮影にかかったのはもともと予定していた3日間と予備日も使った4日間で、毎日10~21時と撮影可能な時間をフルに使いきりました。
通常は何人かで分業する撮影作業を加藤さん一人で担当したことで、もちろん大変なことだらけでしたが、その分、分業ではできない加藤さんのこだわりが詰まった満足感の高い仕上がりになったのです。
図解レシピならではのこだわりポイント
「図解レシピは、今まで世に出たレシピ本とはちょっと違うコンセプトでとても良い企画なので、難しくもやりがいがありました」と加藤さん。図解レシピならではの撮影のポイントを改めてお聞きしましたので、実際の本でも是非確認してみてください。
①シンプルで真似しやすいスタイリング
料理のハードルを下げるため、極力、彩りの大葉や小葱などの野菜をあしらわなくても、シンプルで真似しやすくおいしそうに見えるように盛付けを工夫しました。
②同じ器をわざと何度か登場させた
男女問わず好感をもってもらえるようなシンプルでシックな器を選ぶようにしました。色柄のある器は料理と合わせるのが難しいので、なるべく無地で色も控えめなものを選んでいます。ご自宅で作る時のように同じ器が何度か出てくるようにしたのもこだわりポイントです。器を揃える時の参考になるようなコラムも巻末に掲載しています。
例)肉じゃがと汁なし坦々麺は同じ器を使用
③料理男子の家になさそうな小物は使わない
”これなら自分でもできそう”と、実際にご自宅で作って食べるイメージがしやすいスタイリングを心がけました。ランチョンマットを何種類も持っている人は少ないと思いますし、お花やグリーンを飾るのはハードルが高いと感じる方が多いのが実情でしょう。たとえば“箸置き”なんて、最後の最後に揃えるものだと思うので、使いすぎないように気をつけました。
図解レシピならではのこだわりポイント、どれも聞いて納得なものばかり。私たち料理男子プロジェクトの想いに共感し深くご理解くださっていることが改めて実感できました。加藤さんに編集を手掛けてもらえて本当に良かったです。
次回は、制約の多い紙面にどのように図解レシピを収めたのか、編集・デザインの苦労話について。どうぞお楽しみに!
いよいよ9/14発売です
Amazonで予約も始まりました!こちらからチェックいただけたら嬉しいです。