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写真のお仕事の話。広告の仕事③
アシスタントをしていたころ、ほんとにたくさんの色んなタイプのカメラマンさんとお仕事をご一緒しました。
毎日色んなスタジオに行って、色んな撮影に携われて、あのとき得た経験値は、今となってはとてつもないほどの価値があります。
以前の記事で、坂田栄一郎さんの撮影にご一緒させて頂いたお話をさせて頂いたのですが、あのときの出来事はもう鮮烈でしたね!
AERAの表紙の撮影を京都のスタジオでするということで、朝イチから先輩と一緒にライティングの仕込みに入り、万全の状態で先生とモデルの方を待つこと数時間。
にわかに表がざわめきだしたと思ったら、ついに先生が!!
スタジオのシャッターの向こうから、ぞろぞろと関係者を引き連れて、まるでアルマゲドンのようにやってきた先生!
スタジオのキャットウォークと呼ばれるところでストロボの発光確認のために待機していた我々は、その様子を固唾をのんで見守ります。どきどき。
モデルの方も入ってきて、ついに撮影が始まります。
先生は4×5カメラのファインダーをさっと見て、もう本番!
え?!はやっ!!
先生専属のアシスタントの方が絞りを担当し、もう一人の方がフィルムを入れ替える。先生はシャッターを押す!!
数枚撮影したら、はい終わり!!
え?!はやっ!!
一瞬のうちに撮影が終わり、一瞬のうちに帰っていった先生たち。
そんな撮影を経験したことがなかった私は、ただただ圧倒されました。
だってこれまでの撮影現場といえば、いつ終わるのかわからない現場だったり、いつ帰れるのかわからないクソみたいな現場だったり、いつ寝れるのかわからない鬼クソみたいな現場だったりと、悲惨な目にしかあっておりません。。。
それが、10分も経たないうちに終わってしまった。。。
いや、私達は後片付けがあるので、結局は夕方までかかるんですけども。
それでもあれは今でも思い出すほどに強烈な思い出でした。
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それからしばらくたって、いつものように暗いスタジオでひたすら商品を撮るという地味な撮影現場で働いておりました。
モデルさんがくるわけでもなく、有名な媒体でもない、決して面白い撮影ではないです。ただ淡々とカットをこなしていくような撮影です。
その時撮っていたカメラマンの言葉が、今でもはっきりと思い出されます。
「こういう仕事をするカメラマンも、必要なんだよ」
若い頃は派手な仕事をしたかったり、有名になりたかったり、みんな東京に行って著名なカメラマンになりたい気持ちがあります。
でも撮影ってそれだけじゃないんですね。
いろんな需要があって、それぞれに頑張ってるカメラマンさんたちがいる。
撮った写真が誰かの助けになり、喜んでくれる人がいるのであれば、写真を仕事にする者にとってそれはとても嬉しいことです。
あれ?今日はなんだか真面目だぞ?!