「チーム農業」という考え方
農家は一人で何でもやらないといけません。
あまりにもやることが多いために、多くの人が挫折していきます。
今、農業承継が上手くいかない、という話を多く聞きます。
食料自給率が年々減少している中で、事業承継がスムーズに進まなければ自給率はもっと大きく落ち込むでしょう。
実際、私が農業に関わる中で課題として感じるポイントは3つ。
・全てを少数で行う労力の負担
・収益性の悪さ
・収穫被害の多さ
今回は、この1つ目、全てを少数で行う労力の負担について考えていきたいと思います。
全てを一人でやるには限界がある
畝を作り、種を撒き、草を刈り、追肥をして、収穫をする。
収穫したものを販売し、回収して、次の種を購入する
日照りが続けば水をやり、虫が来ては駆除をして、鳥に食べられないように守っていく。
近頃は、猪や鹿の被害も増えている。
それを農家さんは一人ないし、家族でやっているのですよね。
当たり前のようにやっていますが、本当簡単なことではありません。
常に作物の状況を見て行く必要がありますし、専門の知識の吸収も必要となります。
これを毎日毎日繰り返し。
怪我することも、病気になることもできません。
やったからわかる色んな課題のある大事なお仕事。
農家にも休みは必要
毎日毎日のお仕事に休みはありません。
ちょっと見渡せば、周りは週末は休み、祝日も休み。
お盆や正月は長期で休み。
農家でももちろんお休みはあります。
でも、気になって見に行くのですよねー。
そして、長期ではなかなか開けられない。
ふと、ニュージーランドを見ると
大変だけど、皆さん自分の時間をきっちり作っている。
この違いは何だ?と思うのですよね。
何で日本の農家は休みなく、延々と働き続けるのか?
働くこと大事だけど、休むことも大事だよ、と思うのです。
多業種のネットワークで
求められることが専門的になり、
そして、作業量も膨大。
一人でやっていくにも作業量とのバランスが合わず、無理ばかりをする農業の世界です。
ついつい頼る農薬は、新しい虫がついたり作物が育たないという新しい課題がやってきます。
昆虫の生態、植物の生態、土・微生物に関することをしっかり理解することも大事です。
ただ、それだけではなく、木工・土木、農機具などの機械のスキルも欠かせません。
そして、お金のこと、法律のことも理解が必要となります。
その為に人を雇うにも限界がありますし、まず週40時間の労働基準法にこの農業は合っていません。
40時間で全ての作業が出来る訳がない。
最低時給でお願いしても、それを補う売り上げが立つかという問題もあります。
より価値のあるモノを提供するには、一人ではなくそれぞれの得意な分野を持ち寄るのが一番です。
その色んな価値観の人が農をテーマに集まることに意味があると思います。
一人でやることを手放すことから始める
自分で何でもやらんとあかんでー
と言われましたが、最初から自分でやることを手放しています。
次の世代に繋げる農業をテーマにした時に、自分が全てを出来るようになってからでは遅すぎるから。
一緒に学び、行動し、そして、それぞれが選択していくコミュニティを作ることで、出来る人を増やしながら、自分の役割・居場所を探していく。
給与を貰う仕事では、求められる能力があり、結果を出さなければなりません。
でも、給与ではなくシェアによる関わりでは、必ずではなく、やりたいこと、出来ることで自ら選んだ方法でチームと関わっていけます。
農をやっていますが、実は、新しい働き方を作ろうとしているのかもしれません。