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ryotatanaka
書籍紹介
今回は日本における脱成長の先駆者と言っても過言ではない、玉野井芳郎の著作を紹介します。1960年代の環境問題、複合汚染に危機感を覚えた玉野井は、それまでの経済学説史研究から、経済過程に熱力学を導入したエントロピー経済学を構築し、「生命系の経済学」へと展開していきます。その後、ヨーロッパの地域分権にも興味を持ち、独自の地域主義を提唱します。そして、それまでの市場経済中心の経済学を「狭義の経済学」として、市場をその一部として含むような、「生命系を根底に据えた広義の経済学」の展開を晩年まで追求しました。
現在、玉野井の著作の多くは絶版となっていますが、彼の弟子や同僚が編集した『玉野井芳郎著作集』は日本における脱成長論を展開していくうえで、賛否両論あるものの、通過しておくべきものと思います。
玉野井芳郎『玉野井芳郎著作集1 経済学の遺産」学陽書房、1990
玉野井芳郎『玉野井芳郎著作集2 生命系の経済学」学陽書房、1990
玉野井芳郎『玉野井芳郎著作集3 地域主義からの出発』
玉野井芳郎『玉野井芳郎著作集4 等身大の生活世界』学陽書房、1990