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カレッジの裏側

「カレッジの裏側」という冊子が発行されました。
大阪の泉北にある国際障害者交流センター「ビックアイ」
そこで毎年開催されているのが大阪府障がい者舞台芸術オープンカレッジ
2001年より始まり、年によって規模にばらつきがあるものの、地道に毎年開催されています。
私は、2017年出演、2018年出演&アドバイザー、2019年、2020年とダンス講師(兼、アドバイザー)として参加させていただいています。

オープンカレッジとは?
障がいのある方の芸術・文化活動の更なる裾野拡大やクオリティーの高い芸術作品の創造、それらを支える人材の育成や環境づくり等を目的として、初心者も含め芸術・文化に興味がある方々に、ダンス・音楽・演劇などの芸術・文化を体験するプログラム
(引用:大阪府HP http://www.pref.osaka.lg.jp/.../jiritsushien/college02.html
※今年の概要→http://www.big-i.jp/contents/art/detail.php?eid=00837...)

裏側2

さてこの冊子、主に昨年の取り組みが掲載されていますが、講師、アシスタント、参加者や保護者の方のインタビューまで掲載されている充実の一冊。
なにより受講してくれた方の笑顔がたくさん詰まっています。
これを読むと、各講師やアシスタントがそれぞれどんなこと考えながら参加者と向き合ってきたのか、その葛藤も読み取ることができます。
例えば、一人の参加者の特性やそれに伴う行動が、他の参加者を傷つけてしまったこともあります。
でも、障害として片付けてしまうだけではなく、一緒に作品を創る仲間としてどのように問題を解決したのか、
その解決方法は、きっとこの場だけでなく、社会でも必要なスキルになっていくでしょう。

そして特筆すべきはアシスタントの存在です。
特に大人数や多岐に渡る障害のある人を対象とする場合、このアシスタントという存在がとても重要になります。
「伴走者」いう言葉を使う団体もあります。
ただアシスタントはお手伝いでも介助者でもありません。
私は講師として関わっていますが、アシスタントの存在がないと成立しないくらい。私のコンセプトを伝え、私の身体では出来ないことを補ってもらいながら、各回のワークショップを構成しています。そしてアシスタントがリードをしたり、講師になってもうらう回もあります。
見てて凄いな、と思うのは、アシスタントの彼女たちは参加者のその日の体調やちょっとしたテンションの差にも気づき対処しています。そして上下関係なくフラットに接しています。特にカレッジはアシスタントもダンサーや俳優、演出家として活動している方ばかりなので、しっかりアーティストという立場での関りをしています。手助けではなく、参加者の能力を引き出し共に表現者としてそこに存在するために、アシスタント自身も頭をフル回転させ関わっています。

私はそこがとても大切だと思っています。

間違ってはいけないのが、オープンカレッジは障害のある人のためにやってあげるプログラムではなく、この取り組み自体が参加者のみならず講師やアシスタントを含め、関わるアーティスト自身にも影響を与えていくものであるということ。それは私が関わったこの3年間で大きく実感したことでした。

そして、もうひとつ。
ビックアイがアシスタントをちゃんとキャリア(仕事)として扱ってくれていることも重要なポイントです。
カレッジを通し、通過地点として、表現者としてスキルアップをしていく場であることを意味していると思います。

本当に読んでもらいたい一冊になっています。
どこかで手に入れてください(笑)
オンラインで読めるようになって欲しい、という要望は出しておきました。

今年のカレッジは全5回の講座、今2回目が終わり次で折り返し地点です。マスクを着用し、ディスタンスを保ちながらという、今までにない状態での形態で心配でしたが、毎回毎回を全力で楽しむ参加者と共に、またダンスとしてはそれぞれスキルアップして欲しい点や、こんなことを私が試したい、などいろいろな思惑があるので、それに挑んでいきたいと思います。


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