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『鎌倉殿の十三人』 7~10話 全員が誇りと意地をもち、そのあり方に個性が表れる

相変わらずおもしろく見ています! ほんと、脚本家の力量って、大河ドラマを書くと残酷なくらい明らかになるよね。

まず、創作作品史上、最大級にやべー義経w 
出てきて間もなく「あー こいつ、平時になったら排除されるわ‥‥」っていう納得感がすごいのよw 

正直なところ、キャスティング段階では、29歳の菅田くんが日曜8時の地上波で義経をやるのは5年は遅かったんじゃないの? と思ってた。
「おんな城主直虎」だって利発できかん気な坊ちゃん役だった。かぶってるやん。「MIU404」や「共喰い」みたいに、ガチでやばい若者役だって既にいろいろやってきてるしさ‥‥。
これが「菅田将暉、キャリア多すぎ問題」だw

cf. キムソクジン、インタビュアー泣かせ問題w

閑話休題。
しかーし!
ふたを開けてみたら、このクソガキ‥‥もとい九郎のやばさよw 
新しいw さすが三谷さん、そして菅田くんw

昔から菅田推しの私ですが、菅田くんって、図抜けて芝居がうまいってわけじゃない。もちろん下手じゃないけど。上手だけど!
年齢が近いメジャーな俳優さんでも、もっと職人的にうまい人は何人もいると思う。

でも、やっぱり菅田くんには目を引くオーラがある。
登場すると、いつでもどこでも自分のステージにしてしまうというか。
スターの器だなあ~。

義経「経験がないのに自信もなかったら何もできない! 違うか!」

こういうオリジナリティあるセリフをばんばん書くのが三谷さんの才。
そして、義経の自信はダテじゃなく、軍略には既に天才の片鱗が。

くー、これからの数々の快進撃と、おそらく同時並行して出てくるだろう数々の “ やらかし ” が楽しみだ。

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「鎌倉殿の十三人」が良いのは、登場人物全員がプライドや意地をもっていることだ。

「人には、誇り高い人間とそうでない人間がいる」ではなく、「人にはみな尊厳がある、それは当たり前のことである」と感じさせる。

誰もがプライドを持っているからこそ、そこに個性が表れる。
畠山には畠山のプライド、和田には和田のプライド。女たちもみんなそう。鎌倉殿ワールドには、男に優しいだけの女は一人もいない。

プライドは劣等感と表裏一体でもある。
無暴力の使者に徹する覚悟を見せた直後、「おまえ、老けたなあ」と言われて反射的に相手を斬り殺す上総介。でも、それまでの描写の積み重ねで納得しちゃうんだよね。

自他ともに認める「強くて いい男」というのが上総介の誇りの源泉で、その誇りが毀損されるのは、頼朝の軍門に下るよりも耐えがたいことなんだと。年齢を重ねて「いい男っぷり」に翳りが出ているのは自分でも認めざるを得ないからこそ、激昂しちゃったんだよね。

一帯に名を響かせる武将が、こんな堪え性がないってことあるか~?
‥‥と、荒唐無稽に感じた人もいたかもしれないけど、これは戦国時代と平安末期との時代性の違いを勘案した作劇なんですよ。

「平家物語」などを読むとよくわかりますが、男も女も、権力者から下々の者まで、よく笑い、よく泣き、よく怒ります。人間のプリミティブな感情を率直に表現する、つまりとても人間的です。私がこの時代を好きな理由もそこにあります。
「鎌倉殿」の “ 全員がプライドと意地を持っている ” という人物造形も、それとつながっていると思っています。

これが400年経って戦国時代、それも信長の天下布武の段階くらいになると相当違って、城の大きさや軍勢の人数が全然違いますし、それに伴って組織の在り方や戦争の仕方も平安末期~鎌倉初期とは異なるわけです。信長の下の武将たちなんて、だんだん官僚的になっていきますよね。

(なぜ400年でそんなに変わったかというのはちゃんと理由があり、そういうのが歴史を知る面白さなんですが、本題から外れるので割愛。網野善彦あたりの本を読むとわかりやすいです!)

以前も、伊東が北条館に攻めてきたときのコントと紙一重なやりとりや、石橋山での合戦の時政の長々しい名乗りなどが描かれていましたね。
ああいうのも、三谷さんのオリジナリティもありつつ、当時の文献や軍記物の雰囲気が下敷きになってます。
牧歌的かつ殺伐とした時代です‥‥。

話がだいぶ逸れた😅

プライドといえば、小四郎のパパこと時政がすごくいいですよね! 「真田丸」でも草刈正雄が演じた昌幸はものすごい人気があったのですが、時政はまた全然違った魅力あるお父さんで、三谷さんが書く「人間くささ」のバリエーションは無限だなと感嘆するばかり。

大らかで人がよく、家族思いでまわりからも好かれている。頭がまわるタイプじゃないし不器用で、複雑な調整ごとには向いていない(まぁ、複雑な仕事に向いている坂東武者なんてほとんどいないのであるw)。

でも、「おまえにしか頼めない」と頼朝に送り出された武田への使者を「本当は誰でもいい仕事なんだよ」と正しく認識するくらいの洞察力はある。「大概にしろ、実際に戦うのは俺たちなんだ」と頼朝をいさめる胆力と迫力も持ち合わせた彼が内に抱えた、プライドと背中合わせの卑屈や屈折。今後の種を最初から蒔いてるな~と思う!

いわゆる敵役となった伊東のじさまや、ついに首になった大庭景親のそれぞれのプライドもよかった。身も世もなく命乞いする山内首藤と裏腹に、同じく縄にかけられても傲然とし、上総介に呪いの言葉を浴びせて討ちとられてゆく大庭。

大方のフィクションでは、嫉妬に狂う政子に虐げられるイメージしかない亀が相当なタマなのもいい。

てか、亀が出てきて以来、政子と頼朝がふたりで私室にいるシーンがない。政子がすでに「御台所」という「表の人」になっている。

そして、まさかこんなに長く出ると思わなかった八重! 
(せいぜい2~3話だと思ってた)

小四郎や頼朝に加え、今や三浦義村にまで狙われるほどモテモテな説得力はさすがガッキーなんだけど、八重にしても決して男たちの偶像みたいなキャラじゃないんだよね。最初からプライドとエゴを丸出しにしてて。

頼朝と引き離され、下人ふぜいと結婚させられ、小さい我が子は実父に殺されていて、さらには実父も滅ぼされて下働きの身になって、ボロボロのはずなのに、八重はまったく誇り高い姿のままですね。しかもそれが「聖女」みたいじゃなくて、彼女は彼女で嫉妬や嫌悪感をあらわにする人間臭い部分も変わってなくていいですね。

政子が、八重に嫉妬するというより「恐れ」をいだいていて、でもそれを表立っては見せまいとするのもいいですね。

小四郎について書く気力がなくなった(笑)

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