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能傍タルツの実話怪談コレクション 「現代筑前奇談考」 その二十九 -4月-『豊津にまつわる怪事件他 その一(親父の備忘録より)』


 筆者の父は
 五年前に八十七で世を去った。
 
 その父は生前
 生まれそだった福岡県豊津のことを
 事細かに備忘録をつけていたのだが
 その中から「怪」と銘打たれた項目を
 そのまま抜き出してみたい。

 「豊津にまつわる怪事件他(体験記)」

 怪No.1

 ◎H兄が
 焼けた離れの茶室で一夜
 (筆者注 
  本家は親父の若い頃、火事を出している)
 窓の外で足音がする。雨の音?

 その部屋を空き部屋にして
 古い布団を敷き伸ばしていた?
 母をH兄が発見。
 誰が寝ていたか?不明。

 倉を改造した部屋で
 皆恐がって寝ない。
 そんな馬鹿なことがあるか!と、
 H兄が寝て
 夜中大きい声で飛び起きた。
 何に憑かれたか!!

◎その部屋で
 N尾に貸していた時
 長男長女に中学生の妹二人。
 下の妹は脊椎カリエスで学校に行けず
 後妻の子二人、毎日のように
 継母が長女の髪を引きずり回す。
 (後妻、上海の女給か?)
 
 美人だったが先妻は
 よく家の石垣の下に居た。

 ある夜、
 長男が電灯を消そうとすると
 灯が増えて動く! 
 火の玉だった。
 翌日、後妻の男の子が
 私に教えてくれた。

 N尾はT鶴(背に太刀傷)の仲介で
 N尾は田川へ(市長になる)転居。
 

 (注のみ筆者。個人名はイニシャルにした。
 以外は原文ママ)

 (怪No.2に続く)


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