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能傍タルツの実話怪談コレクション。その二十二「現代筑前奇談考」-10月-『超常現象うどん屋K』

 読者の皆さんは
 佐賀県の山裾にある
 一部の好事家の間で
「超常現象うどん屋」と称されていた
「手打ちうどんK」をご存じだろうか?

 筆者は九州在住だが
 ある女性たちから聞くまでは
 そんな店の存在は
 全く知らなかった。

 あるいはおそらく
 同郷の方々でも
 筆者同様、
 見たことも聞いたこともないかたが
 ほとんどではないだろうか。

 断っておくが
 決して怪しい店舗などではない。
 グーグルマップにも
 人気店として
 多数の好意的コメントを
 寄せられるうどん屋さんである。
 
 Kは佐賀市内からなら
 車で小一時間くらいか?
 片側一車線の
 一本道ではあるが
 やはりそれなりの距離ではある。
 福岡市内からなら
 車で二時間以上といったところか。

 筆者は数年前
 福岡中部に位置する
 背振山脈をバイクで
 三時間くらいかけてツーリングし、
 初秋のある日、
 この店を訪れたことがある。

 この背振山中に存在する
 「三瀬峠」「チロリン村」も
 いろいろ謂れがあるようだが
 今回は割愛する。

 さて、はるばる訪れた
 「手打ちうどん屋K」

 外見上はこれと言って
 なんの変哲もない
 うどん屋さんであるが
 年配のご主人が手打ちする
 うどんは大変に美味しかった。

 また、周囲には競合するような
 飲食店がほとんど無いことも
 相まってか
 店は多いに繁盛しているらしい。
 
 違う意味でもだが。

 ところで
 この山裾にポツリと立つ
 Kの隣の山道をひたすら行くと
 「巨石パーク」という
 場所に出る。

 パークといっても所謂
 遊具や砂場のある
 公園などではない。
 
おそらくは
山そのものが何らかの信仰対象
であったのか、
あるいは古代文明の名残なのか
山腹のあちこちに
巨大な石が存在する
一種のテーマパークである。

そして、
その上空は
俗に言うUFO、未確認飛行物体が
頻繁に目撃される場所でもあるのだが
Kのご主人は
何度もそれらを目撃、写真撮影にも
成功しており
それらの写真を
店内の壁と言う壁に
張り巡らせていたらしい。

残念ながら
筆者が来店した時には
それらはほぼ全て
噂を聞き付けたマニアたちに
せがまれるままあげてしまい
一枚もなかった。

せっかくなので
ご主人にいろいろお話を
伺おうとしたのだが
お店を共に切り盛りする
奥さんとおぼしきかたは
たいへん感じのいい方ではあった。

しかし
そういう話をしたがる
筆者のような輩には
正直、
困惑気味だったようである。

さらに
ご主人がうどん屋店主から
スイッチが切り替わり
市井の研究者として
熱く語り始めたら
「私たちは関係ありませんから」と
にこやかな口調ながら
筆者は一言
釘を刺された。

写真が存在しないのは
そこいらの関係性もあるのかもしれない。

帰りしなに
「ここの裏もパワースポットだよ」
と、言われたので
お店の裏に回ってみた。

すると
石造りの古墳か何かのように
ここもまた、巨石が山土から
顔をだしており
お榊とお水が供えてあった。

さて。
ここまでの話は前降りである。

筆者はわざわざ
山越えをしてうどんだけを
食べに来た訳ではない。

本日の探検の真の目的は
前述の「巨石パーク」にまつわる
不可思議な目撃談に対する
現場検証であった。

ここで目撃されたのは
UFOだけではなかった。

以下、来月。

(続く)


 
 
 
 
 

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