今年のクールモア牝馬はコントレイルを付けたのか

近年の日本の種付け事情で隅に置けない存在がクールモアです。2023年の種付けが終わってはや数ヶ月ですが、今のところどの牝馬が何を付けたのかについての情報はごく一部の個人からの発表を除いては公開されていません。なので、この記事のタイトルについては「分からない」というのが答えなのですが、この記事では一旦付けているものとしてクールモアから送り込まれてきた牝馬とコントレイルの配合について見ていきましょう。

JAIRSの軽種馬登録ニュースを見るところによると、今年クールモアから送られてきた牝馬は1頭のようです。

Etoile

2019年のナースジュヴェナイルフィリーズスプリントS(G3)の勝ち馬です。
2歳で引退し3歳から繁殖入りしており、No Nay Neverとの間に生まれた初年度産駒No Nay Metsはアメリカでブラックタイプ競走を3勝しています。

JBISサーチより

牡牝間で発生するクロスはFappianoのみ。
War Frontは米国でG2を1勝、G1の2着が2回とそこまで目立った競走成績ではありませんが、種牡馬としてデクラレーションオブウォーやAirforce Blueなど米国と欧州で優秀な成績を残しています。War Front自身はダートで走っていた馬ですが、産駒は欧州はもちろん米国でも芝の方が目立ちます。とはいえデクラレーションオブウォーはBCクラシックの3着馬ですし、多様な産駒が出ていると言ってよいでしょう。Sadler's Wellsと併せて日本の芝には向かないのではないかというレベルのパワー型で、コントレイルのスピードを乗せて欧州で活躍してくれることに期待したくなります。

さすがにRhododendron(Auguste Rodinの母で、現役時はG1を3勝)のような超一流馬を送り込んできているわけではなさそうですが、重賞で力を見せているクラスの馬ではあります。

また、Etoile以外にもクールモアに関わりがある馬が輸入されてきています。

Concert Hall

2歳時にウェルドパークS(G3)を勝ち、3歳になってからはサルサビルS(L)で後の愛オークス馬Magical Lagoonを抑えて勝利したほか、愛2000ギニー3着、英オークス4着、プリティポリーS4着など実績十分。
クールモアの馬ですが、現役中に吉田勝己氏との共同所有になっているため、ノーザンファームで繁殖入りする可能性が高そうで、クールモアが送り込んだ牝馬とは言えないでしょう。

Minorette

現役時は9戦して2勝のみでしたが、そのうち1勝がベルモントオークス(G1)です。
クールモア所有で現役を終えましたが、繁殖入りするタイミングで社台ファームが購入しました。ここまでの産駒5頭は全て日本に輸入されていて、6頭目のPalace Pier産駒が今年日本で生まれています。このタイミングで日本に輸入した意図は不明ですが、こちらもクールモアが送り込んだ牝馬ではありません。

Villa d'Amore

父Mastercraftsman、母の父Galileoという血統です。
勝鞍はメイドンのみですが、クレオパトル賞(G3)で2着に入っています(ちなみにそのクレオパトル賞の勝ち馬はEtoileという馬名ですが先述のEtoileとは全く関係ない別の馬です)
昨年ノースヒルズが購入したようで、昨年は欧州で種付けをして、今年に日本に輸入しているようです。

ディープインパクトを高く評価していたクールモアですから、その最有力後継種牡馬であるコントレイルの血を求めて日本に牝馬を送り込んできていても全く不思議はないですが、公式発表は出ていないのであくまで可能性として捉えていただきたいです。

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